劇場公開日 2024年10月11日

「見かけに反して極端に(日本では)難易度が高い作品。要覚悟。」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5見かけに反して極端に(日本では)難易度が高い作品。要覚悟。

2024年10月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年367本目(合計1,459本目/今月(2024年10月度)18本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。

 社会人にとって3連休というのは貴重なもので、福岡に行ってきました。
以下は福岡の映画館で見た感想になります(まぁ旅行まででも映画館に行くんですか?っていうのはあるんでしょうが…)。

 さて、こちらの作品です。
結構評価としては難しくて、主人公を巡る人格の違いを描く映画かな?と思ったら、インド映画でもないのに音楽マシマシで(もちろんインド映画ではないので左下の例のお得意の謎の警告表記はないが、インド映画お約束のダンスシーンではないものの「歌シーン」は他の映画よりも多く、インド映画よりも割合では多い?)、後述の問題もあいまって(映画をご覧になった方はご存じと思いますが、「暗い」映画です。この「暗い」というのは、主人公のおかれた環境による。詳細ネタバレ回避)、理解が一度では難しいかなというタイプです。

 おそらく多くの方が理解ができず詰むだろうというのは「アメリカの刑事裁判制度」を使うシーン後半全般で、日本ではこれを深く扱うようなことはないし(資格持ちはある程度はわかるが…)、字幕上の日本語も漢字文化圏という事情から理解を類推できる部分も多々ありますが、アメリカの裁判制度それ自体を知らないと??な字幕もいくつかあり、そこがかなり評価が分かれるのだろうと思います(ただ、元はアメリカ映画なので、アメリカでは当然常識範囲の扱いなんでしょう)。

 今週は(10月2週)はおそらく本命に来るのかなと思いますが、視聴にあたってはかなりのハードルが高い映画であることは書いておきます。また、いわゆるマーベルシリーズでは「そもそもない」ようですが、他の方が書かれている通り「マーベル化」(マーベルシリーズではないが、マーベルシリーズにありがちなイベントや特徴を備えている)している部分もないわけではなく、そこもちょっと厳しいところです。

 採点に関しては以下まで考慮しています。

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 (減点0.3/(日本から見ると)アメリカの刑訴法を理解することが困難)

 日本の法律系資格ではこれらは当然試験範囲内ではなくごく最低限のこと自体しか学習しないので、まぁ多少類推できる「地の利」はあっても、後半の法廷シーンは結構理解につまづくのかな…といったところです。

 アメリカでは、刑事事件についても「通し番号」はつきますが(日本も同じ)、「誰が誰を訴えたか」ということについて「○○vs××事件」という呼び名がつく特徴があります(2024年だったか、「オッペンハイマー」でもこのことは描かれている)。この点を知らないと、ストーリーとは異なる部分での対立関係が2軸存在するのかという理解の把握が難しく、そこで詰むような気がします(もちろん、「陪審員制度」と日本の「裁判員制度」の異同などの論点もあるが、こっちはもう常識扱いか)。

 もう少しこの辺、特に後半の法廷シーンはもう少し字幕に工夫が欲しかったです(日本は漢字文化圏なので、漢字である程度推測が付く部分はあるが、それでも限界はある)。
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 (減点なし/参考/「法廷侮辱罪」について)

 これは、アメリカではなく、まだ三権分立の概念が怪しかったイギリスにおいて発祥した概念で、主にイギリスの影響を受けた国や、イギリスの統治を受けた国で見られます。アメリカもそうですね。実は「アメリカ発祥ではない」のがポイントだったりします。

 日本では、「法廷等の秩序維持に関する法律」という中で、「法廷侮辱罪」にあたりうるような行為を別に規制しています(日本では「法廷侮辱罪」は慣用的にしか使いません。日本では戦後の混乱期に生じたいくつかの裁判でのトラブルをもとに作られたのが同法律(日本でいう「法廷侮辱罪」は、「監置」という制裁)ではありますが、現在では抑止的にしか運用されていません(そもそも秩序を乱す行為は退廷を命ずることができるので、日本では同法が登場するのはレア)。

 (減点なし/参考/t-joy博多さんのラインナップ)

 映画館って、時間(10分前が多い)になって入ると、予告等がいろいろ流れ、例の「無断撮影しちゃだめよ」や「鑑賞中のマナー」等が流れるのが多いかなと思いますが、地域ローカルCM(博多市内の明太子がどうとか)が数本と、例の「撮影しちゃダメよ」だけだったのがある意味びっくりしました。

yukispica