「神話と涙の邂逅」マッドマックス フュリオサ talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
神話と涙の邂逅
ディメンタスは涙という液体を知らなかった。喜びの涙と悲しみの涙では成分が異なるという説明を聞き、小さい女の子が流す涙を手にとり舐める。15年後、同じ涙をフュリオサはディメンタスの前で流す。二人は過去の悲しみと怒りを忘れない。ディメンタスはフュリオサを忘れていない。名前と異なり「忘れない」ディメンタスはフュリオサの「怒り」を受け入れる。
砦の中で絵画を模写する男がいる。前期ラファエル派のような絵で豊かな黒髪の女性、背景は緑したたる草木や花で自然に溢れている。フュリオサが髪に隠していた種から育てた、砦の中の唯一の木、緑の葉を沢山つけた木は誰の目にも触れない。この木があるからフュリオサは生きていける。
語り手がたまに入る。設定されているのはずっと先の未来なのに神話や伝説のように語られることでこの作品の質が高まったと思う。実際にあった過去の数々の戦争、今も続く戦争、これから起こるかもしれない戦争、映画の世界ではもう既に起きていた第三次世界大戦と、いつでもどこでも戦争は繰り返され終わることがない。
前作では弦楽器のメロディーを本編中で何度も耳にしたが今作ではエンドロールになって初めて聞いた。神話の人物は感傷的にならないことを、または感傷を自らに禁じたアニヤ=フュリオサの強さを表現しているようだった。アニヤはもちろん、難しい役回りのクリス・ヘムズワース共に適役だった。
おまけ
ジョージ・ミラー監督は「アラビアンナイト 三千年の願い」の監督でもあることを今更ながら知りました。彼の「アラビアンナイト」に号泣し、「フュリオサ」に感動したのは両作品に通底するもの(物語を希求する)があったからかも知れません。
今晩は。
コメントを頂いており、ありがとうございました。
talismanさんだと、欧州映画がお好きというイメージがあるのですが、今作が嵌られたようで良かったです。ではでは。
他作品ですがこちらで失礼します。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」への共感、コメントありがとうございます。
「どろろ」のアニメ映画なら、多分白黒だったと思います。(カラーアニメは映画になっていないと思う)
実写版は、もちろんカラーです。妻夫木聡さんが、カッコよかった!
他作品ですみませんが、共感コメントありがとうございます。
「どろろ」のアニメ(白黒)は自分も幼少の頃、見てました。ちょっと前に放送していたカラーのアニメも面白かったですよ。