「前作との整合がいまひとつ」マッドマックス フュリオサ Tiny-Escobarさんの映画レビュー(感想・評価)
前作との整合がいまひとつ
★3ですが、長々と文句しか書いていません。
2015年のフューリーロードとはテーマが違うので、映画のジャンル自体別物だということは理解していても、全体的にちょいと雑だなという感じがしました。
以下、文句の箇条書きです
1・あのSKSカービン
冒頭、フュリオサの母が構えたのを見て、私は何度も静かに小膝を打ちました。フューリーロードで、フュリオサがマックスの肩にレストした状態で撃つ、あの銃です。はいはいはい、あれはお母さんの銃ね、なるほどね~となったのですが、同じようなSKSカービンが何挺も登場して最後の方はよく分からなくなってしまいました。
そこは、あの母親の銃ってはっきり分かった方がよくないか?
2・フュリオサの器用さ
マックスがキングオブ陰キャなら、フュリオサはクイーンオブ陰キャ。両方飲み会では「ソッスネ」しか言わない。そういうタイプだと思ってました。
しかし、本作のフュリオサは、母親を殺したディメンタスにしても、女性を物扱いするイモータンジョーにしても、特別扱いされるのがデフォルトというか、気づいたらいい立ち位置にスポっと収まっているんですよね。逃げ出せるタイミングでも男装してちゃっかり戻るし、子供時代から中々器用に立ち回るなと。
あと、自分のために作られたか分からないものを、結構ぱっぱと持って行きます。
3・左腕の地図
悪い大人たちが「これは何?」って興味津々で聞き始めたとき、私はまた勝手に小膝を打って、「これは、緑の地を守るために自分で切り落としたな」と想像していました。
その腕、クレーンに残していって大丈夫かと。
4・ディメンタス
ちょっとプレイングマネージャーすぎて、もう少しどっしり構えておいてほしいんですけどね。ヒューマンガスとウェズの間ぐらいの人でした。会社組織だと、関わるとややこしい係長ぐらいじゃないでしょうか。本棚に「嫌われる勇気」が置いてありそうなタイプの。まずは、「ついていきたいと思われるリーダーになる51の考え方」を読んでほしいです。
5・ジャック
ジェネリック版マックス
どうして、ビジュアルをモノマネ芸人ぐらいの半端な絶妙さで寄せてくるのでしょう。全然違うキャラでいいじゃないですか。あの見た目でタンクローリーを運転している姿は、マッドマックス2と被るんですよね。退場もやたら適当でした。
6・フュリオサの子役
アリーラブラウンという名前の女優ですが、大人フュリオサ役のアニャテイラージョイにバトンタッチしたとき、目の形だけではどちらか分からないぐらいに似ていて、驚愕しました。このキャスティングは奇跡だと。あとから調べたところ、子役の顔をAI補正でジョイに似せていたことが分かり、今度は膝の裏を打ちました。
それは、子役にクソ失礼では?
補正するなら、ブラウンとジョイの両方を変形させて、真ん中の地点に寄せろよと。
7.リメンバーミ―
フューリーロードでの、フュリオサの決め台詞です。
片腕がなく、坊主頭。イモータンジョーの部下でありながら、実は宿敵。一体、どんな過去があったのか。幼少期に親を町ごと焼かれたのか、何かの因縁で腕を切り落とされたのか。前作から十年近く、それはずっと頭の片隅にありました。今回答えが出たわけですが。
普通に会っとるんかーいと、背もたれがなかったら後ろにコケていたと思います。
フュリオサはディメンタスにも同じことを聞くので、前作での台詞も初老向けの認知クイズに思えてきました。
8・左ハンドル
アメリカの車が、どうして、世紀末のオーストラリアに、ある? (これは前作でも思いました)
9・マックス
お前は、ずっとそこでソロキャンしてたんか?
※演じたのがトムハーディのスタントマンなので、立ち姿はよく似ていました。
あと、片腕になったフュリオサを洞窟まで引っ張って助けたって解釈でいいんですよね? もし面識があるなら、前作で水をがぶ飲みした後「フュリオサやんけ、ワレ」と言いたかったのにまずボコボコにされた可能性もあるわけで、それはそれで悲しい。
前作とのつながりを考えるとあちこち変ですが、それを忘れることができれば面白い映画です。