「アメリカ映画の良さ」バービー かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ映画の良さ
冒頭の「2001年~」のパロディで爆笑しました。
そりゃそうだよね、オンナは子供のお人形遊びからして「赤ちゃんのお世話」に洗濯に家事。本人自身の楽しみというより、母性を自覚させ、主婦予備軍、奉仕者として刷り込まれる感じ。
女の子の世界に「なりたいものになれる」意識革命をもたらしたバービーは、まさにモノリス級の画期的存在、ってのにものすごく納得した。
この掴みだけで、この映画が只者ではないのが分かる。
そして、ちゃんと楽しいので、アンチな盛り上がりに乗って観ないとしたらもったいない。
アメリカ映画は架空の世界を借りてガチンコでは言いづらい現実社会の実情とか問題を語るのが上手い。最初の「アバター」もそうだった。
的確な現状認識と深い洞察、問題点を掴む鋭い目が、「バービー」にはあると思う。
視点が多角的なので、どの立場のだれに共感するか反感持つか、どの解決策なら許容できるかも含めて見る側に委ねられる多角性がある。
私は、ケンダムランドの後始末のところ、今の女性の位置と思った。急に持ち上げられて重要な立場に抜擢されてもお飾りか付け焼き刃で歴史がなく経験もないから上手く行かない、それをみて「だから男はダメだ」と言われがち。なので、これから力をつけて、すこしづつ上に行こうというのに、大きく頷きました。
バービーたちがケンの扱いを反省し、今後は改めると言うのは、世の夫たちにこうあってほしいという願望を見ました。
アメリカ人でも女性の社会的立場がまだまだ、というか日本と大差ないみたいなのが意外だったが、日本の女性にはグロリアが語ることに加えて、外で働くのは当然なのに家事や育児、介護はオンナの仕事で、しかも手を抜くなとか、夫の家族に尽くせ、みたいな圧力があったりする。
それから、夫は自分のことしか興味なし、娘も反抗期でさびしく、仕事も半端、癒やされたいのはママだったというのはよく分かる。子供が小さい頃は大変だけど、かーちゃん、かーちゃんって寄ってくるのは幸せなんだよね。こういうところも排除しないし。結局、娘は頭脳明晰しっかりした女性に育っててママを愛していて、ママも幸せを再確認できるし。
単純に、バービーの(ピンクの!)世界を見られるのが楽しい。
マーゴット・ロビーがリアル・バービー。おちょくられがちなケン、(「トイ・ストーリー」とかでも!)ライアン・ゴスリング、よくやったと思う。
グッズ見るのもよいし、いつも快晴、階段は使わないとか、飲み食いは真似だけ、へんてこバービーは、やりがちで大笑い。髪の毛切っちゃったり顔に落書きしたり、脚のジョイントの問題で縦に大開脚するんだよ、確か。色々なタイプのバービーがいて、職業様々、有色人種や太った彼女もいるんか、と思うし、廃版キャラたちも見られて興味深い。
結局定番タイプのバービーのみが「なりたいものになれる」(そりゃそうでしょう。)、だからって人間になっちゃうなんて! ピノキオ!?
バービー産みの母の延々説教はどうかと思った。
でもって、ヒトになるには、まず、それ!?
ヒトにあるものが無いんだから確かに外せない問題よね。専門家に相談を。
基本コメディで、軽く見られるのが良いと思う。
ただし、その分女性に権利を主張されたら都合が悪い国や地域では上映禁止になったりするんだろうとは思う。
それにしてもリアル・マテル社の皆さん、太っ腹!
かばこさん、コメントありがとうございます♪
自社すらイジるかなり際どいギャグが多かったにも拘らずそれを許したマテルさん、立派です👏
男女両方の生きづらさに焦点を当てている点に、本作の公平さが表れていますよね。ただ、おっしゃる様にケン側のバカバカしさがより際立ってしまっており、そこだけ切り取ると女性優位/男性蔑視的な映画にも見えてしまいます。何はともあれゴズリングは凄い!