夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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主演二人の自然体な演技
PMSとパニック障害の二人が交流し合うことによって、徐々にお互いの心境に変化が芽生える…ざっくり言うとこのような内容だが、上白石萌音と松村北斗あってこその映画だったと思う。
コミカルな役やシリアスな役も、それはそれで難しいものだと思う。しかし、一番難しいのは“市井の人”。私がここでいう市井の人は、私たちが生きているようなどこにでもある街で、毎日頑張って仕事をしているような人のことを指している。このような役はどうしても“オーラ”がつきまとう俳優には難しいし、実際に過去にそういう作品もあった。しかし上白石萌音と松村北斗に関しては、私たちのすぐ近くに住んでいるのではないかと思ってしまうほどの庶民臭を感じ、とてもリアルな雰囲気を感じた。
上白石萌音はPMSを抱えている主人公•藤沢を演じている。劇中ではPMS発症時と正常時の演技が見られるが、この演じ分けが素晴らしかった。見ているこちらまでがしんどくなるほどPMSの苦しみが伝わるほど非常にリアルな演技だった。
松村北斗はパニック障害を抱えているもう一人の主人公•山添を演じている。松村北斗は「すずめの戸締まり」といい、「キリエのうた」といい、アイドルのオーラを消して役になりきれる人だと感じていたが、本作でも彼の強みは遺憾無く発揮されていた。演じるというより、役そのものに憑依していると言った方が正しいだろうか。
上白石萌音と松村北斗の掛け合いの演技が本作では多いが、それが最高の一言で、それを見れるだけでも本作を鑑賞する価値はあると思えるほど良かった。過去に共演したことがあるとのことなので、もしかしたら仲の良さがいい意味で芝居にも現れていたのかもしれない。
脚本で良かったのは、安易に藤沢と山添を恋愛関係に発展させなかったことだ。共通点のあるもの同士が徐々に惹かれあっていく…というパターンはよくあるものだが、本作はあくまで二人を“同じ職場の同僚”という関係のまま終わらせたのが良かった。
また、主人公がプラネタリウムを制作する展開もかなり意味のあるものだった。主人公二人はもちろん、脇役もなにかしら影の部分を持っており、暗闇に中にいる人物が多かった印象だが、明けない夜がないように、人生にだって光り輝く時がくることを強調する役割を担っていたし、プラネタリウムで見ることができる星空のように、それぞれの個性を発揮して輝けばいいというメッセージのように感じた。
ただ、残念と言うか、もう少し明かしてほしかった部分も多い。例えば、栗田化学の社長の弟が亡くなったというエピソードだが、これはそこまで必要なことだったのだろうか。家族を亡くした経験を持つ遺族が集まる会の様子まで描いておきながら、弟の死因が明確に描かれなかったのも疑問だった。推測では自ら命を絶ったと思うのだが、それにしては理由がなさすぎる。
他にも、藤沢の母親(りょう)が車椅子生活になったきっかけはなんだったのだろう。病気なのか事故なのか、この理由も隠す必要がないのになぜか明かされなかった。無理に入れる必要がないエピソードを入れたのかだから、理由くらい描いてほしかった。
ただ、前述したように、主演二人の演技を見るだけでも価値があると思うので、お時間ある方は映画館へ足を運んでもいいと思う。
淡々と進む
PMSとパニック障害の二人の日常を描く。特にこれといったイベントもなく、淡々と進む。
上白石萌音の演技が上手で、身近にこんな人いるよな、PMSなのかもしれないな、でも確認できないな、とか思いながら観てました。
明日は今日とは違う朝
限りなく日常に近い空気感の映画で、観ていて心地よかったです。
主人公の2人が自分の特性と向き合い、もがき苦しむ時、「あー生きるのって辛いよな」と共感せずにはいられませんでした。
でも、そんなときでも隣の人に少し優しくできたり、優しくされたり、痛みを分かち合ったり、わからないけどわかろうとしたり。
不器用で弱い人間という生き物を、愛おしく思えました。
人と関わることで、傷つくこともあるけれど、救われることもあるんですよね。
その中で、昨日まで真っ暗だった自分の世界が今日は少し違って見える、そんなことを思い出させてくれた素敵な映画でした。
余談ですが、栗田科学のみなさんが良すぎて、今すぐ転職したくなりました笑
日本のどこかにないですかね、あんな素敵な会社
、、
考えさせられるけどいい感じの映画でした
随所に涙腺を刺激してくるシーンが満載、名古屋の映画館、朝イチ上映で観客数が数えられる入りに感謝でした。最初はお互い噛み合っていない山添(松村北斗さん)藤沢(上白石萌音さん)が色々と新しい知識を手に入れ病気に立ち向かう姿、お互いにケアできるんじゃないかと気遣う姿にも涙腺崩壊でした。
その中でも一番は「いつも結構訳あり、かつ強面」山添の前の会社の上司、辻本(渋川清彦さん)がカフェで元部下が生きる術を見つけたことに涙して息子からハンカチを受け取るシーンは今こうして書きながらも目頭が熱くなってきます。
同様にそれまで(おそらく?)かたくなに着ようとしなかった会社のジャンパーを山添が初めて着た姿、最初は藤沢からの申し出を断ったはずなのに自転車を活用している姿、これらにも感動しました。
逆にPMSのことを少し学んだ山添が「少しひとりで怒っててください」は笑えましたし、これまた随所でクスってくるシーンも多々ありましたよね。
松村北斗さん、いい味出してますよね。(コンフィデンスマンJPで毎度騙される江口洋介さんの若い頃みたいですね。そう僕は死にましぇ〜ん、の弟やってた頃の)
まあ上白石萌音さんは(最近やっと姉妹の区別がつくようにも私も成長しました!)発作が起こると「ここで働かせてください」って湯婆婆に迫る舞台での勢いでしたね!
少し前に観た『オレンジランプ』を思い出しながら、昔はクラスに1人くらいはいて「なんだか変なヤツ」みたいにやり過ごされていた病気に世界が理解をし始めていることに安心感を覚えました。そう言う自分自身もパニック障害もPMSも言葉は聞いたことがありましたがこの映画を観てググってみた次第です。
実際の世界ではまだまだ穿った見方をする人が多い気がしますがこの映画の中では栗田社長(光石研さん)を始め悪意のない方ばかりで嬉しく思いました。『波紋』で妻(筒井真理子さん)に歯ブラシで台所の掃除をされてた情けなさはありませんでした。
それにしても瀬尾まいこさんの作品は泣かせてくれますね。『そしてバトンは〜』でも泣かせていただきましたし、今回も淡々と進む話の展開で、ややもすると眠くなりそうならくらい静かに静かに進むストーリーの中でまんまとやられました。マイナー作品ですが『戸村飯店青春100連発』も好きな作品で面白かったです。映画化しないかな。
なんにしろこの映画の題材と配役が見事にマッチして素敵な作品になっていると思います。よかったです。
静かな良作
パニック障害とPMSという病気を抱えた男女のお話。
それぞれが抱える病気を乗り越えて、成長して行くと云うのでなく、適切な距離感で付き合って行く。二人の関係性も男女の恋愛として、安く描くでなく、ちょうどいい距離を保ったただの同僚。見ているこちらは、病気が原因で起きる事件とか、2人が恋愛関係に発展するとか、わかりやすいドラマはないので、退屈かと感じる方もいると思うが、静かに淡々と一つの優しいリアルな世界を見ることのできる映画でした。
人を救うのは人
冒頭、主人公のナレーションから始まって少しわざとらしい(?)なぁと思ったのと、警察に保護されて大雨の中、母親が迎えに来た際になんで傘を持ってきていないんだ。と思ったので少し疑念を抱いて観ていたが、すぐに立ち直った。
まず出演者の演技がかなり素晴らしいと感じた。中学生の子たちまでかなり良かった。主人公2人の症状が出てしまうあたりも、わざと感のない、リアルさがあって辛そうだというのをしっかりと感じた。
何人か特に良かった人をピックアップしようと思ったが、本当に全員自然体で全く違和感なかったので映画に入り込むことができた。
藤沢(上白石)は普段、周りに気を使いすぎるぐらい気を使う性格だが、PMSの症状が出たときは、ヒステリーで攻撃的になってしまう。そのギャップに相手は驚いてしまうし、それが重くプレッシャーにもなっている。改善しようとしているのに(薬を変える)それが裏目に出て、さらに自分の立場を弱くしてしまう。当初の上司がハッキリと怒らないのも、中々リアルで見ていて辛い。
時が流れて、転職した職場は小さいが理解のある会社のようで、観ていて「良かったね。」と安心できた。
そこの新人山添(松村)はとにかく愛想がなく、淡々と業務をこなす如何にも「最近の若者」感があり、とてもリアルに表現されていた。
山添は元々大きな会社のエリートで、上司や仲間からの評価も良かったと見て取れる。察するに本来の自身の能力と、パニック障害を患ったために入ることになった今の会社、自身の現状のギャップを受け入れられず、心を閉じている。そんなプライドから当初は藤沢や同僚を避けていたように見えた。
藤沢の優しさと、お互いの境遇から次第に打ち解けていく流れも多少強引(髪を切る件)だが良かった。
あと良かったのは、主人公2人の周囲の人物の描き方。栗田科学社員の人柄とサポートが素晴らしいのは奇跡的すぎる気もするものの、このような病気が題材の物語だと「理解のない人間」「病気をネタに攻撃してくる人間」が出てくることが多い。が、そのような人物は安易に出さずに、あくまで「発作に対して困惑する」程度にとどめている点が違和感なくてよかった。
二人のそれぞれの恩人である栗田社長(光石)と辻本(渋川 山添の会社の上司)が精神的ケア(詳しくは忘れた)の集会で繋がっていたのも、とても良い伏線回収だ。
2人のそれぞれの発作や症状がいつ現れるか分からないので、鑑賞中もなんだか一定の緊迫感は感じていた。実際本人たちも同様にこの緊迫感が常に頭の隅にあるんだろうなと思うと、辛さが少しは理解できたと思う。
後半のシークエンス、宇宙、プラネタリウムの一連のストーリーもとても良かった。栗田社長の弟が遺したテープの説明や宇宙の話は、シンプルに興味深く、ユーモアもあって楽しかった。プラネタリウムのシーンの最後のメモの締めを聞いていると、なぜだかとても感動的で涙が出そうになった。
そして最後は山添のナレーションだが、映画冒頭ではわざとらしいなあとか思っていたのに、こうやって締められると「めちゃくちゃ良い。」となるのだ。
山添の「自分のことはどうにもできないけど、他の人のことは助けることはできる。」(だっけか?)は素晴らしいセリフだと思った。
これはなにか病気やトラウマを抱えている人に限った話ではなくて、そうでない人も私たち皆がそうではないだろうか。時には自分を律せないときもあるし、悲しくもなるし、怒るときもあるし、失敗もある。自分を完全にコントロールすることは至極困難だ。それでも、自分の周りの人を助けること、助けようとすることは誰にでもできるはずだ。
山添はある時点から、元の会社ではなく、栗田科学に残る選択をする。当初は向上心や、やりがいの無さに愚痴をこぼしていたが、では物語を通して今の仕事に向上心・やりがいを感じたのか。もしくは自身の病気との折り合いをつけるための、ある種諦めのようなものなのか。
もちろん前職に復帰してどうなるか。という部分もあったろうが、私は、やはり理由は「人」であると思った。藤沢や栗田科学の社員、そこに関わる人たち。彼らと接することで山添は残ろうと、残っても大丈夫だと思えたのではないだろうか。未来を憂いていた山添はきっと救われたんだと思えた。
最後の昼休み?のシーンはとても平和で尊かった。
大傑作
あまり映画鑑賞して傑作って言葉使わないけど、夜明けのすべては別。ドラマチックな展開も恋愛にも発展しない。ただ日常を優しく描いているだけなのに、こんなに心が温かくなり余韻に浸れる作品なかなか無い。そして何度も見たくなる。この作品見れば見るほど奥深く丁寧に脚本が練られてるんだなと発見が毎回ある。
特にラスト栗田社長の亡き弟が出てくる場面…どんな理由で亡くなったのかはわからないけど栗田科学、そして宇宙や天体を愛し、ずっとここにいるんだよ…って表現してるみたいでグッときた。
主演の2人はもちろん、彼らをそっと見守る栗田科学の従業員や元上司。このキャストでなければ描ききれなかったであろう温かい空間。
16ミリフィルムの映像やヒーリング的なシンプルな音楽。全てが良かった。
何回でも見たくなる名作だと思う。
これも難しいな
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PMSの萌音とパニック障害の松村。会社の先輩後輩の間柄。
互いの前で症状が出たことがあり、心の病気を持つ者同士、
少しずつ理解し合うようになって行く。
同じプロジェクトを担当し、ぶつかることもあったが、
互いの家を行き来するような、特別な関係になる。
とはいえ恋愛関係ではない、何とも不思議な仲。
松村には彼女がいたが、海外に転勤になってしまった。
その後の描写はないが、おそらく自然消滅したんだろう。
やがてプロジェクトは見事成功、萌音は母の介護のため退職。
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2人の主人公を取り巻く登場人物がみんな優しい。
病気に対してしっかり理解してくれるいい人達だった。
おれは彼らほど重い病気はないが、HSPではあるので、
彼らの気持ちや辛さが少しは分かる気がする。
しっかり自分と向き合って、強く生きて欲しい。
ということで共感はできるし全く退屈などせんのやが、
でも何を伝えたい映画なのかが良く分からない。
色んな出来事が、悪く言えばダラダラと描写されるだけ。
これといった目的もなく淡々と進み、オチも特に無い。
この感覚、少し前にも感じたとこなんよな。
そう、「PERFECT DAYS」を見た時と同じ気持ち。
映画って本当に難しい、そう感じさせられる映画だった。
それにしてもタイトルが謎。「夜明けの全て」って何?
本編を見たら分かるかと思ったが、やっぱ分かんねーw
栗田科学
前回のケイコ目を澄ませてが良かったので
三宅唱監督の作品を視聴。
CGを使わず自然光や日常の音を上手に
入れる手法は好みで柔らかい。
役者さんのセリフの無い静かな間が心地良かった。
原作者の瀬尾まいこさんは他人との関り合い
と距離感を大切にしてるから表現出来る
のかもしれない。
パニック障害やPMSの症状が、そのように
なってしまう事を学ばされた。
現代における社会問題、介護や自死に対しての
シーンはライトに描かれていたが色々な意味で
脳内を彷徨いズキッとくる。
誰もが一つや二つ、人には言えない言いにくい
事はあるよね。特に家族の事は。
栗田科学の職場の人々は年上の方も多く理解が
あって良かった。茶化す人が独りでもいたら
山添君や藤沢さんも働きずらかったはず。
他人の生き方や生活を理解するのは難しい。
苦しみを抱えながら、時には周りも傷つけ
それでも優しくあろうとする真っ直ぐな二人。
恋愛とかではなく、時間をかけて丁寧に分かって
いこうとするプロセスが丁寧に表現されていた。
藤沢さんが山添君の髪を切るシーンは印象的。
ポケットに隠そうとしたり、山添君の吹き出しかも最高。あれで距離も縮まったんだね。
あと社長の弟さんのカセットテープを聞いた後は
不思議な息吹きが彼に漲った感じがした。
移動プラネタリウムから出てきた友人のご一行は楽しんだ表情もあり、安堵した一つの社会の
パズルが組み合った瞬間で涙腺が緩んだ。
元上司の渋川清彦さんのずっと優しく
見守る表情が良かった。
最後は山添君も軽快に自転車に乗る姿が
みんなの気持ちを現してたね。
夜があるから朝が来る。人生はそういう
物だが心の歩み寄りがあるから、優しい
朝が迎えられるのでは。
助けられるなら
パニック障害は何度も聞いたことがあったが、PMSは今回初めて耳にした。
改めて世の中には様々な形の障害があるのだと認識させられた。
これらは日常生活に支障をきたすために障害と呼ばれてしまうのだろうが、これからはひとつの個性として社会全体が受け入れられる土壌が必要なのではないかと感じた。
だいぶ以前から時代は多様性を認める社会を要求している。
PMSと診断された藤沢は、生理の周期によってどうしてもイライラをコントロール出来ずに感情を爆発させてしまう。
しかし彼女は普段はとても謙虚で気配りの出来る人間だ。
だからこそ彼女は心に障害を抱えてしまったのかもしれないと考えてしまった。
彼女は仕事を転々としながら、移動式のプラネタリウムなどを企画する小さな町工場で働くことになる。
どうやらこの工場の社長である栗田は、様々な問題で社会生活に支障をきたした人を積極的に雇っているようだ。
後に彼自身も弟を自殺で亡くしてグリーフケアに参加していることが分かる。
藤沢は同僚の山添のちょっとした態度に我慢が出来ずにイライラを爆発させてしまう。
確かにぶっきらぼうな山添にも問題はあるが、彼もまたパニック障害と診断され、この工場に転職したことが分かる。
初めはお互いに印象の良くなかった二人だが、次第に心を惹かれるようになっていく。
この映画が伝えるのは、人は分かり合えないかもしれないが、今目の前にいる相手と助け合うことは出来るということだ。
今の時代はあまりにも人の生き方が多様化したために、一概にこれといってすべてを括ることが出来ない。
パニック障害やPMSも、人によって症状は様々だ。
観ているこちら側は藤沢がPMSで、山添がパニック障害であることを知っているから彼らの感情に寄り添うことが出来る。
しかし社会全体で見ず知らずの人がどのような事情を抱えているかを完全に包括することは不可能だ。
が、今身近にいる人間を助けることは誰にでも出来る。
これからの時代により求められているのは、自分がどうしたいかよりも、いかに誰かの助けとなれるかなのだろう。
藤沢と山添の互いを助け合う関係もとても微笑ましかった。
おそらくこれは恋愛感情ではないのだろう。
とにかく優しい世界を描いた作品で、観終わった後に心がとても暖かくなった。
今の時代にはこのような作品が必要だ。
この映画の中で決して彼らの抱えている問題が解決するわけではないが、それでも彼らはひとつひとつの出会いに感謝しながら、すべてを受け入れ前に進んでいく。
夜明け前が一番暗いという言葉がとても心に響いた。
いつ夜が明けるのかは分からなくても、闇の後には必ず光が射す。
エンドロールもほのぼのとしてとても心が癒やされた。
なんにも前情報入れないで観に行けばよかったのかな?
もうちょっと仲良くなっていく過程をじっくり観たかったかなあ
展開が急なように思います
入り込めず
社長さんは特性のあるひとを受け入れる方針なら、ほかの社員全員に前もって伝えておいたほうがいいのでは?
プラネタリウムの司会進行 生まれて初めてであんなすらすら暗唱…
転職エージェントの人にはPMSの事言ったっけ?
なんとなくおとぎ話って感じかなあ
リアリティが薄いかな
演技は素晴らしかったです
タイトルなし
ゆるやかに流れる時間の、小さな一つ一つにぐっときてしまった。
山添が初めはキャリア思考で離コジマでイヤホンしながら仕事して、上司のコミュニケーションもだるそうにして、前職場の後輩や元上司に少し見栄やバリアを張って、元上司と会う時は公園だったのに、
職場にたい焼き差し入れしたり、一緒に買い食いしながら帰ったり、お供えのお酒を注いだり、後輩達をプラネタリウムに呼んで、テラスで外食できるようになった姿に涙がでた
PMSのイライラのきっかけになるエピソードが絶妙ですごいリアルだったな…
炭酸開ける音とか、誕生日LINEに返すのどーしよーとかどうでもいい会話とか…絶妙にイラッとするよね
主人公以外の上司も親も、みんな何かしら何か傷を抱えてるのもよかった
病にどっちが上とかないし、男女=恋愛とかだけでもない
恋人、家族、友達だと、逆に距離が近すぎて見返り求めたり衝突したりしてしまうけど、
同僚とか同じ経験をした他人同士のコミュニティとか知人程度の距離感でも、だからこそ、お互いをゆるく助け合える、そういう関係性がもっと必要なんじゃないかな
親しくなきゃ、”絆”がなきゃいけないなんてことなくて、自分が躓いてしまったときにだめなままでいられる、自分がちゃんとしてなくても影響を気にしなくていいくらいの利害関係が少ないコミュニティをもっと持ってたほうが、命綱になる気がする
「明けない夜はない」と言う言葉に救われる人もいるけど、夜が必要な人もいる
いつでも元気でいる必要はないし、幸せだって不幸だって等しく終わりがくる
みんなそれぞれそういうことを繰り返しながら生きていて、自分のことなのに上手く御せなかったり理解できなかったり、生きる意味とか人生を揺るがす大きな悩みとかなくても浮き沈みを抱えながら生きている
その事実に救われることもある
後半なんかやたら泣いてしまった…
恋愛じゃなくても救われていいし、助けあえるし、変化しながら出会いと別れを繰り返しながら生きてくんだ…
映画館の音響でより輝く映画
映画館で観る映画を選ぶとき、つい派手なアクションや音楽映画を優先してしまうのですが、
この映画は劇場で観れてよかったです。
アクションもクラシックも流れて来ないけれど、
作品を彩るBGM、私たちの生活との地続きを感じさせる環境音、そしてなにより主演の松村北斗と上白石萌音の声が強い没入感を生んでいました。
彼ら彼女らの抱える病は完治しないものであったり、長期間付き合っていかなければならず作中では完治や「元の生活」に戻ることはありません。
それでも、ひとりでは辿り着かなかったところで少しずついろんな人の助けを受け、また自分も誰かを助けながら生きていく姿が描かれていました。
説教くさいシーンがなく、人によってこの映画の言いたかったことの解釈が分かれると思いますが、小難しいことは忘れてゆっくりこの穏やかで優しい世界に浸るだけで少し他人に優しくなれる気がしました。
とてもよかった
思いやりを正面から描く。恋愛に発展しそうなものだが、恋愛に発展しない。主人公の男女は心の病を抱えていて、それに対して理解ある職場で暖かい人たちに囲まれている。クライマックスが移動式のプラネタリウムで、非常に地味だけど心に沁みる。夜空を見上げたくなるのだけど、北斗七星とカシオペア座しか分からない。
知っている人で、いろいろな心を病を抱えている人がいる。その人もあのような暖かい人たちに囲まれて過ごせればどれだけいいかと思う。主人公の男女は、幸運だが彼らは善人で親切にされる資格がある。もし心の病を抱えていながら、意地悪な性格だったり、嘘つきとか、嫌われ者だったらどうなのだろう。どうすればそんな人は救われるのだろうか。全く考えが及ばない。そんな人にも幸福がありますようにと願うしかない。
上白石萌音の母親が若いのに車いすで介護サービスを利用している。事故にでもあったのだろうか。
周りの優しさ、思いやり
原作未読です。
パニック障害、PMSの当人よりも
周りの人の立場でついつい鑑賞してしまった。
山添くんの上司の方は彼をがっかりさせないように
今色々調整してるから、って言ってたのかな、
本当は元の職場に戻るのは難しいけど、
それを表さないようにしてたのかな、とか。
周りへの伝え方、周りの理解、
現実は色々難しいけど、
お互いに相手を理解しようとする
姿勢が大事なのかなって思いました。
星の図鑑を片手に持って、あなたの夜空を探しに行こう
2024.2.13 イオンシネマ京都桂川
2023年の日本映画(119分、G)
原作は瀬尾まいこの小説『夜明けのすべて(水鈴社)』
PMSを患う女性とパニック障害を持つ男性の交流を描いたヒューマンドラマ
監督は三宅唱
脚本は和田清人&三宅唱
物語の舞台は、東京都内某所
そこで会社勤めをしている藤沢美紗(上白石萌音)は、月経前にイライラしてしまうPMSという病気に悩まされていた
医師(宮川一朗太)は新薬を処方するものの、それは異常に眠気が出るもので、それを服用すると仕事にならない
それから五年後、美紗は科学商品を扱う「栗田科学」の事務員として勤めるようになっていた
PMSの発作が発症しても、先輩の佐川(久保田麻希)がサポートし、社長の栗田(光石研)も病気については寛容だった
会社では、小さな組み立て式のプラネタリムや望遠鏡などの「小学生が科学にふれる機会を作るもの」がたくさんあって、それらの梱包や発注を任されているのが美紗だった
佐川は経理を担当し、開発は鮫島(矢崎まなぶ)が担い、デザインは鈴木(大津信伍)、技術的なことは猫田(中村シユン)、営業に関しては平西(足立智充)が担当していた
そんな中、栗田は弟の康夫(斎藤陽一郎)がストレスを起点とした自死をしていて、そのセラピーの一環として、ピアサポートの会に通っていた
そこには最近栗田科学に入社したばかりの山添(松村北斗)の元上司・辻本(渋川清彦)もいて、この交流がきっかけで縁ができていたのである
山添は一見するとやる気のないマイペースに見えるのだが、実はパニック障害を患っていて、何がきっかけで発作が起きるかわからない状態だった
ある日、蛍光灯の交換を起点として発作を起こした山添は、美紗が見つけた薬で落ち着きを取り戻す
栗田の命令で自宅まで送る事になった美紗は、会話のきっかけで「自分と同じだと感じていた」と語るもののn、山添は「全く違うものだ」と断じた
映画は、恋愛要素を完全に排除し、誰かが誰かを助けられるんじゃないかという希望を描いていく
発作が起きるとどうしようもないと思えるものの、その状態を理解し支えてあげることはできる
そういった心の拠り所があれば、人は生きていけるのと思えるのではないか、という命題がある
そして、「3回に1回は発作を止められるかもしれない」という山添の言葉は、お互いの心を少しだけ軽くしていくのである
原作は未読ながら、舞台は金属工業の会社のようで、かなり改変が加えられている内容になっていると知った
後半のプラネタリウムのシークエンスは映画のオリジナルで、このシーンでは栗田の弟が残したノートが引用されていく
夜明け前は一番暗いというヨーロッパの諺が引用され、ユーモアたっぷりの星についての物語が展開される
山添が見つけたものに色を加えていく作業が生きていることを肯定し、さらに希望を感じられる言葉が紡がれていて、この改変は映画ならではのビジュアライズと相まって素敵な時間を演出してくれていた
この改変が原作の何を変えてしまったかはわからないが、映画的には正解だったように思えた
いずれにせよ、パニック発作の部類は経験があって、自分の場合は山添ほど酷くはなかったのだが、それが起きた時のどうしようもなさというのを経験しているかどうかで理解は変わってしまう映画のように思える
大人になり、自分を理解していく上で、そうならない人間関係の作り方、職場の選定ができたおかげで再発はしないものの、あるトリガーさえ揃えばヤバい事になるのは理解している
そうした視点から観る映画は、こんな理解者がそばにいてくれたらいいなと思う一方で、いつまでもそばにいるわけじゃないから依存もできなくて苦しいようにも思えてくる
映画は、そういった経験を持つ人へのひとつの救済のアイデアのようなもので、ピアサポートのような同じ悩みをある人との繋がりの場所を探してみるのも良いと思う
そういったきっかけになれば良いと思うし、今ではSNSなどの普及によって容易になっている面とハードルが高くなっている面はある
映画を鑑賞することで、少しでも心が軽くなる人がいるのならば、それだけで素晴らしいことだと思うので、気になる人は足を運んで体感しても良いのではないだろうか
心が素直に温かくなる。こんな映画は初めてでした
大好きだった朝ドラ、カムカムの二人(萌音ちゃん、北斗くん)が主演ということで、原作も読まぬ状態、前知識もほとんどないまま映画館にGO。
結論から言うと、観てよかった、本当によかった!!!
PMS(月経前症候群)とパニック障害を抱える男女二人が、偶然出会い、なぜか気が付けば、お互いを支えて、笑い合っていた…。恋愛ではなく、同士のような、そんな関係。
PMSもひどい場合は、こんな風に精神不安定になることもあるんだなあと納得できたし、パニック障害は、予想通りの大変さ。
でも、主人公二人には悲壮感がない。そこがいい。辛いし、情けない、そういう悲しみはあるけれど、ちゃんと前を向いている。
それぞれの周囲の人たちも、みな普通に優しくて、押しつけがない。
そう、この作品には押しつけがない。そこが本当に、気持ちいい。
主人公に、無理に同情する必要も、ない。
登場人物の誰かを憎む必要もない。
だって、みないい人なのだ。
普通、悪役の出ない話はつまらない。
でも、この物語に悪人はいない。でも、つまんなくない。いや、むしろどんどん話にひきこまれる。
また、登場人物に、悲しみを背負う人はいても、悲しみにつぶされたままの人はいない。
観終わって、心がこんなに温かくなった映画は初めてだった。
普通に生きてれば、それで充分。心からそう思えた。
萌音ちゃんと北斗君の会話が本当に面白くて、何度も笑ってしまった。あまりに二人が、自然にやりとりしているので、映画というのを忘れて、自分も二人の横に座って、同じ空間で話を聞いているように感じたりもした。
それにしても、北斗君、今フジテレビで再放送中の「救命病棟24時」に出演当時の、江口洋介さんにそっくりで、びっくり。
萌音ちゃんの普通の子感もよかった。りょうさん、やっぱりお美しい!
若い人にも、丘みつ子さんがわかる私たち世代にも、ぜひ観てもらいたい作品。
しつこいけれど、本当に観てよかった。
観終わって、「たいやき」が無性に食べたくなって、帰りがけ、閉店間際のたいやき屋さんに駆け込んだ。
暁
心の病を抱えた同僚の2人の日常のお話。特典はフィルムしおりでした。
宣伝文にもあった恋愛関係でも友情でもない独特だけど朗らかな距離感が絶妙に描かれており、「ケイコ 目を澄ませて」の三宅監督の手腕がこれでもかと発揮された作品でした。
出会った当初はいがみ合っていた(というか藤沢さんがPMSで苛立っていた)2人が、お互いの症状を話し合ってわかり合っていく流れに優しさが滲み出ていました。
パニック障害が起こってしまうから美容院に行けない山添くんの髪を切ろうとして、切りすぎちゃう藤沢さんがアワアワしてて、それを見てもう笑うしかない山添くんの姿がこれまた微笑ましかったです。
藤沢さんがイライラしだしたなという事を即座に勘付いて、外に連れ出して車を磨いておいて〜と1人で声を出せる状況に連れていったシーンがとても良くて、あの場で連れ出していなかったら中学生の2人に怒りをぶつけていたと思いますし、そうなると会社での立場も危うくなる、山添くんの反応速度はお見事なもので、2人になってからはフフッと笑える場面もあったのがまた良かったです。
2人で互いの症状を茶化すまでいかずとも、こういう状況で発作が起こったらどうしてたの?とかこの症状になって良かったことってあった?と距離感が近くなったからこそ色々聞けあっていたシーンはかなり印象的でした。
会社の人たちが優しいというのが今作の良いところで、どうしても怒りが爆発してしまったら放置したりなぁなぁで対応してしまいそうなもんなんですが、しっかりと宥めて落ち着かせて、本人が罪悪感をなるべく感じさせないようにするのが見ていてとれて素敵だなと思いました。
この手の作品はどうしても感動に強引に持って行きがちなんですが、2人の日々を余す事なく描くことによって自然に感動へと連れていってくれてるのがまた素晴らしく、2人それぞれの前進と転機、どちらも前向きに次の事を考えており、その姿には見惚れっぱなしでした。
なんて事ない会話を大袈裟に映さず、その一コマ一コマを切り取った演出も素敵で、全てのシーンにうっとりしてしまいました。
役者陣の何気ない人たちの様子がこれでもかってくらい表現されていて、観ているこちら側も思わず共感したくなるシーンばかりでした。渋川さんがこれまた優しい上司として出ていたのがいつもの暴れっぷりとのギャップが感じられて思わぬ収穫でした、
優しい日向の中、会社でのんびりと過ごす社員たちの姿をエンドロールで綴ってくれるので、とても微笑ましかったです。
鑑賞日 2/9
鑑賞時間 18:00〜20:10
座席 O-3
淡々と語られる生きづらさとヒント
三宅唱監督、前作と同様16㎜フィルム撮影なのか多少荒れた画質も地味に抑えられている色合いも、このストーリーにマッチしてる。松村北斗と上白石萌音と、スター主演ながら恋愛要素を入れなかったのが新鮮。パニック障害とPMSに悩む主人公たちの物語だが、そうなった理由とか原因とかを簡単に説明しようとしないのがまたいい。確かに、自分の感情はコントロールできないが、他人の行動を抑制したりトラブルを予防することはできるのかもしれない。勉強になりました。
全86件中、41~60件目を表示