夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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何度でも観たいあたたかさ。
押し付けがましくなく、日常を優しく生きるその日々が描かれている。
上白石萌音と松村北斗の自然さが心地よく、表情や声の変化が秀逸。
何度でも観たくなる心に寄り添ってくれる映画。重いテーマが根底にあるが、クスッと笑える要素も多く、曲や風景描写で柔らかい気持ちにしてくれる
共感度120%!主人公の心境と夜空の景色の対比が鮮やかだ
内容は「PERFECT DAYS」のように淡々と進んでいきます。
主人公の藤沢(上白石萌音)はPMS、山添(松村北斗)はパニック障害に苦しんでおり、現代のストレス社会では多くの人が何らかの病気や症状を抱えており、職場等でトラブルが起きやすくなります。自分自身もいろいろ思い出すことがあって大変共感できる内容でした。
このような病気や症状を持っている人は、どうしても自分の殻に閉じこもりがちになり、窮屈な小さい世界で過ごすことが多いと思います。
山添と藤沢がお互いに向き合うことで、
小さな世界から夜空やプラネタリウムの大きな世界に流れていく対比は鮮やかで、開放的な気分になりました。
「太陽は動かない」と劇中で語るように
自分中心でなく、世界を広げて物事を見
ていくことが重要だと感じました。
仄かな希望、生きるチカラを、胸の裡にそっと宿らせてくれる傑作。
生きるということは「どうにもならないこと」。どんなに頑張ってもなかなか思いどおりにならない。そんな「制御できないもの」といかに折り合い、遊ぶか。本作は、そこのところを焦らずに語っていく。
ファーストシーンは、意表をついて藤沢さん(上白石萌音)の長いナレーションから始まる。加えて、彼女のこみあげる怒りや恥じ入る謝罪のことば…。ときに深いため息までも交えたそれらの「声・音」に、いつしか耳そばだてている自分に気づかされる。
「声・音」に続いて印象的なのが、数々の「映画的記憶」とでもいうものだ。
劇中「おじいちゃんたちが宇宙に行く話」「月に向けて親指を立てる話」といった映画絡みのセリフも出てくる(『スペ●●● ●●●●●』『ア●●●』のこと?)が、そんなフレーズだけでなく、むしろここで言いたいのは16ミリフィルムで撮られた豊かな映像が喚起してくれる個人的な妄想のたぐいだ。
たとえば、室内から扉の間口越しに映し出された戸外は、思いがけずジョン・フォードの『捜索者』や小津安二郎の『晩春』を連想させる。また何度も挿入される列車の遠景シーンは侯孝賢の『珈琲時光』を思い出させてくれる。それは、いずれも純粋に映画そのものを推進する“チカラ”としてひたすら美しく、心地よい。
特に中盤の、山並みを背に画面左から右へと走り抜けていく列車のロングショットでは、大好きな『東京物語』の尾道のシーンと不意に「記憶」がダブり、泣いてしまった。このあたりから涙腺の緩みは加速してゆく…。
山添くん(松村北斗)が、早退した藤沢さんに忘れ物を届けるため、職場の制服をごく自然に羽織り、チャリをゆるゆる転がして(このシーン、山添くんの表情と自転車のスピード感が絶妙!)坂道を下るあたりで涙腺決壊。以後ラストシーンまで波状的に涙がこみ上げ…。映画でこれほど涙してしまったのは『わが谷は緑なりき』以来かも(苦笑)。
一方、藤沢さんがサンドウィッチや蜜柑をほおばりながら歩く、あるいは部屋でポテチの缶に口をあてて一気食いするといったシーンでは、彼女の人となりがさりげなくあふれ、思わずにっこりほっこりしたりもする。
このふたりの関係は、『はじまりのうた』のキーラ・ナイトレイとマーク・ラファロの結びつきに近いか。親友とも恋人とも違う。ここで三宅監督のことばを借りると、やはり「同志」と呼ぶのが一番しっくりくる。自分とは異質の人とどんなコトバを交わし、異なる生活感や価値観にどう橋を架けるか。そんなふたりの会話が実にスリリングだ。その向こうにゆるやかな連帯感が広がる。映画のラスト、ふたりの関係性は時や場所を超えて、山添くんのナレーションでゆるやかに閉じていく。
三宅監督はインタビューなどで、本作を「『特別な人』の『特別な話』にならないようにしたかった」と語っている。「主人公たちはいずれも前進しようとする人」で「相手が困っている時、何かできることがあるんじゃないかと小さなアクションを起こす。それは必ずしも正解と限らないがチャーミング」なのだと。
けっして他人事でも例外的なことでもない。日々暮らすうえで、私たちが否応なく感じさせられる無力感や幻滅。それにどう向かい合い、かすかなりとも希望を見出していくか。本作は、そこを考えるチカラを与えてくれる、私たちの心にそっと寄り添いながら。
映画終盤、「移動式プラネタリウム」に主な登場人物が一堂に会する“見せ場”があって、ここでも泣いてしまったのだが、その時ふと思い出したのが木下順二の戯曲『子午線の祀り』。壇ノ浦の戦いであえなく散った平家武将らの姿を、天空の運行と対比させつつダイナミックに描いた叙事詩だ。
そしてもう一つ。この「移動式プラネタリウム」内で“天空”を捉えたショットは、無限な宇宙の「拡がり」よりも、カメラが収める「狭さ」をむしろ感じさせた。この印象は、映画『晩春』で室内から窓越しに捉えられた裏山の景観を観た時に感じたものと同じだ。
私たちがふだん眺める光景はごく限られた狭いものに過ぎない。そこに、人の意思とは無縁の“天空からの視点”を加えることで、新たな風景・人々そして自分の立ち位置が立ち上がってくる。それは歴史的人物であろうと無名の自分だろうと変わりはない。
本作を観終わった後は、だれしも自分のキモチがちょっぴり変わったことに気づくだろう。映画に心から「ありがとう」と言いたくなった。
※監督のティーチイン付き試写会にて鑑賞(あまりにも泣いてしまったので、もう1回、劇場で観直します)。
無題
映画館で観た番宣で
興味を惹かれ観に行きました。
素敵な役者さんが揃った映画です。
人によって、生きづらい事はなにかしらあり
重い軽いで分けられないもの…
最近、佐藤二郎さんも共生していくと
お話があったな…と。
PERFECTDAYSほど
淡々とした映画ではない印象です。
観終わって
自分を大切に生きて行こうと
感じました。(#´ᗜ`#)
是非映画館で観てください。
じわじわと感動で泣けてきた
公開日のお昼過ぎの鑑賞でしたが平日にも関わらず松村ファンと女性達とシニアの方々で8割程度埋まってました。私もそうですがここ数週間の映画館での予告編がきいてますね。素晴らしい原作と監督と役者さん達でちゃんと映画を作るとこのような素晴らしい作品ができるというお手本のような作品です。冒頭のショッキングな出だしから普通の日常生活が淡々と進んでいくのですが、何時間でも見てられますね。最後の移動式プラネタリウムの萌音ちゃんのナレーションでとても静かなで大きな感動に包まれました。
二人の変化から学べる様々な人の生き方
パニック障害とPTSDという二つの病とそれぞれ向き合う男女の物語。二人の会話のシーンやプラネタリウムのシーンなど人の生き方について考えさせられる箇所が多かったです。作品の雰囲気に落ち着きがあり、二人とも徐々に変わっていき、それに伴って段々と変化していく二人の関係性は見ていて少し力をもらえました。
ずっと癒され続けているような、素敵な時間でした
皆様のレビューにあるように、本当にただ日常をそのまま観ているような、そんな映画でした。
起承転結がはっきりしていたり、何かイベントが起きる訳では無いので、人におすすめするのが中々難しいですが、映画に流れるゆっくりとした時間、人と人との繋がりの暖かさは、他の映画では味わえないものではないでしょうか。
自分には合わなかった
精神的に障害や疾患を抱えていてなかなか社会に馴染めない2人が仕事を通して徐々に社会に馴染んでいく様子を描いた作品。
同じ共通点を持つ2人が恋愛に発展していろいろ起きる事件を2人で乗り越えていく恋愛映画なのかな?と思っていましたが全然違いました。
個人的には起承転結喜怒哀楽がはっきりしている映画が好きなので、残念ながら今回の映画は内容的にはかなり平坦で自分には合わなかったと言いますか、正直退屈に感じました。
どちらかといえばややドキュメンタリー寄りの作品で社会認知を目的としているようにも感じました。
夜明けとは何を指しているのかもいまいちよく分かりませんでした。もしかしたら寛解のことですかね?
最近の映画にしては解像度がずいぶん低いのが気になったので調べてみたら16mmフィルムで撮影していたんですね。納得しました。
栗田科学就職希望
原作のファンで映画化の発表があってからずっと楽しみに待っていました。
さらに大好きだったカムカムのお二人が主演。もう待ちきれず朝一で見てきました。
今まで何度か好きな作品が映画化されて思ってたのとだいぶ違う…みたいなこともあったのですが、この作品は、自分が作品の中の一員であるかと勘違いしてしまうような原作そのままの世界でした。そのままの藤沢さんの山添くんがいました。
生きているのが楽になるような、深呼吸したくなるような、空を見たくなるようなそんな映画です。
ずっとこの世界を見続けたいなと思うような不思議な感覚でした。
主演のお二人の声がとても心地よくてずっと聞いていたかったです。
光石さんの社長も優しい中に悲しみも秘めていたり、凄く良かったです。
またエンドロールもよくあるタイアップの音楽がバーンって流れる感じじゃなかったのもとても良かったです。
またひと息つきたい時見に行きます
ゆったり生きよ
いろいろあるけど、なんかまぁ肩の力抜いて、ちょっとした幸せを噛みしめて生きようか、そんな風に思える作品かな。なんか人の温かみがある会社や、ちょっとした理解者がいる環境って素敵。辛くならない程度に、ゆったり生きましょう。
優しく静寂に包まれた─
正直それほど見たいと思ったわけではありませんが、非常に良かったです。
あまりに淡々としていて、あまりに何も起こらないので、もしかしたらつまんないかもしれません。あっさりしているし、常に引いた目線のようなものも感じるし─。でも、個人的にはその雰囲気が非常に好きだったし、映像の質感とか静かに流れるメロディーなんかも好きだったなぁ。ロケーションとかもかなり良かったと思ったし、基本的に映像だけでかなり引き込まれたんですが、テキストで魅せるところと映像だけで見せるところのメリハリとかバランスが絶妙でしたし、何よりも優しさに満ちていたので、予想外の笑いとか涙がとても心地よかったです。
過剰な優しさなのかもしれないし、表面的な優しさや丁寧さなんかも感じたので、内容に対しての良し悪しはかなり一人一人違ってくるんでしょうけど、映画としての完成度とかクオリティはかなりのものだと思います。
内容や台詞、情景なんかに所々疑問符がついたところもありましたが、いい作品でした。
普通の日常を素晴らしいと
原作未読。
誰にだって悩みはある。
それぞれにとって大きさが違っても重大な悩みなのだ。
松村北斗がとても良い。
さりげなさの中に他者を受け入れ難いパニック障害と言う症状を上手く演じている。
しかも上白石萌音に心開いていく速度も見ていて丁度良い。
彼を見守る光石研も見事なキャスティング。
全ての流れが本当に心地よかった。
特に北斗が会社のブルゾンを羽織るシーンにグッときた。
会社を去る上白石萌音をもう少し見たかったけど尺的にもあれで良かったのかな?
渋川さんにしてもりょうにしてもホントにハマってるなと。
監督の次回作に期待します。
何も起きない日常の中の非日常
人は皆、それぞれの個性がある。
その個性をお互いに認め合うということは、難しいことなのだろうか。
その個性は場合によっては敬遠されることもある。
この映画は、時として敬遠されそうな個性=病気を通して
人としてどう接すればいいかを教えてくれる。
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