夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
全351件中、241~260件目を表示
夜があるから朝が来る
2006~2010年頃だろうか、
『荻上直子』監督により撮られた
〔かもめ食堂〕〔めがね〕〔トイレット〕といった一連の作品群。
「異文化交流」とのテーマはありつつ、
センセーショナルな事件は起きず、
ゆったりとした時間が流れて終幕に至るとの共通項
(出演者もかなり重複していたわけだが)。
が、それなりに興行収入もあったことから
続けざまに制作されたとの認識。
本作を観ていて、それらを想起する。
「PMS(月経前症候群)」で月に数日は情緒が不安定に。
周囲にきつくあたり軋轢を生んでしまう『藤沢美紗(上白石萌音)』。
「パニック障害」で、大企業の激務はおろか通勤することさえ困難になり
町の小企業に派遣されている『山添孝俊(松村北斗)』。
同じ会社に勤める二人が
最初は反発していたものの
あることをきっかけに互いを気に掛けるように。
相手の症状に興味を持ち理解することで
最初はとげとげしかった心持ちが次第に柔らかくなり、
結果、生きることにも前向きになる。
ただそれで、自身の症状が改善するわけではないにしろ。
とは言え、そこから劇的な展開が待ち受けるわけではない。
物語りはやはり淡々と進む。
彼女や彼の周囲も
二人のことを理解している
所謂、良い人で構成されており
(もっとも、そのうちの幾人かは
心に傷を負っていることが、ちょっとしたエピソードで示される)、
心地好く観続けることができる。
中途、人生の岐路とも言うべき
『美紗』の決断や『孝俊』の決意はあっても、
大きな山場となることはない。
傍から見れば大きなメルクマークなのに、
何事も起きなかったかのように恬淡として。
明けない夜は無く、
暗闇があるからこそ分かることもあるとのメッセージは明瞭で
心にも沁み入る。
シルキーなトーンが全体を貫き、
ある意味安心して観ていられるのは、
直近で公開された〔PERFECT DAYS〕と
近似のテイストとの記憶。
同じような作品が作られ受け入れられるのは、
時代がそうした癒しに近い感覚を求めている
シンクロニシティなのかもしれない。
どんな人でも生きていける場所がある事を表現していた作品。 本年度ベスト級。
淡々と進むストーリーに加え単調だけど心地好いBGMが睡魔を誘発したけど何とか鑑賞する事が出来た(笑)
月経前症候群(PMS)の女性とパニック障害を抱えた男性の二人を中心に進むストーリー。
悪い人が誰も出て来ない作品なので観やすかった(笑)
幸い自分は障害を持っていないので共感する事は無かったけど、障害を持った人に難しいけど優しく接しようと思えた作品。
2人が抱えている障害を乗り越えようとするシーンが辛くも、お互いを助け様とする感じが良かった。
散髪のシーンで山添が初めて大爆笑する姿に安心する(笑)
上白石萌音さん演じる藤沢。
ヒステリックに怒るシーンが上手い。
一方、プラレタリウムで話す言葉が優しい感じでずっと聞いていたかった。
2人が安住の場所を見つけたラストが印象的だった。
芋生悠さん目当てだったけど、あまり登場しなくて残念。
栗田科学の年商がどの位なのか?
気になります( ´∀`)
心が穏やかなまま
こんなにも映画を見終わるまで心が穏やかで柔らかなままでいられる映画に出会えたのは初めてでした。観るのが辛いかも…と思っている方も一握りの勇気を振り絞って観に行ってほしい。是非とも。行く前の振り絞った勇気はきっと自分の心の中にしっかり燈ってくれるそんな作品だと思います。主演の松村北斗さん、上白石萌音さんお2人の自然すぎる佇まいとセリフの掛け合い。この2人だからこそ生まれた空気感は圧巻。この2人の周りにいる方々もとにかく優しさに溢れていてただただ素敵な日常のひとコマが描かれていて誰かの幸せを感じながら自分もふと幸せになれている。こんなにあと味よく幸福感に包まれる映画は他になかったほど初めての感覚を味わえました。
助けられることは、ある
とにかく静かなストーリーだがちっとも退屈しないどころか、すごく引き込まれた。松村北斗、上白石萌音が思った以上に良かった。声の仕事もこなしているだけあり、それぞれのモノローグもよい。
片やパニック障害片やPMSという自分ではどうしようもない感情の波を抱える主人公たち。でもその波をやり過ごす時に当事者でも手を差し伸べることができるのに気づき、ひとまわり世界が広がる。
松村北斗演じる山添くんの決断を耳にした時の、渋川さんと光石さんの表情に涙が出た。
こと男女が主役となると恋愛を絡めがちであるが、そういうのが一切なかったことでテーマがブレず非常に見やすかった。そして意地悪な人も出てこない。実際はなかなかないだろうが、そこも心穏やかに観れた点かも。
社長の弟さんが遺したカセット、資料、メモ。夜明けについて。移動式プラネタリウムのナレーションが胸に響く。生きづらさを抱える人そうでない人も、光が見える映画だと思う。
ラストが秀逸!
他人のために涙を流さない二人
基本的に主人公達、とりまく人々の演技はとても良かったんですが、脚本、演出に疑問が残りました。
「まず主人公達の関係性について」
互いのプライベートな悩みや弱みを正しく理解するってのは男女を問わず人間関係構築の早道と考えてます。
本作の主人公達の悩みは、互いに社会生活の継続に支障をきたすような重篤な疾患(パニック障害、PMS)であることから、彼らの「関係の深まり方」に個人的には期待(何を:笑)してたんだけどなんだかとても肩透かしでした。
異性を部屋に上がらせながら互いに異性を意識さえしないのもアレ?ですけど、相手のことを何より思い遣って率先して行動するという流れが脚本でも示されてたのにねえ。
やはり、自身の疾患が完治しない、する見込みさえ確かでないのでそれどころではないかもしれません。ですけどラストの「互いに全然関係ない方向に向けた笑顔」が、私にはドライ過ぎて、言い方悪いけどどっちも自分本位にしか見えず・・・違和感が酷かったです。
「そして彼らの周囲の恩人に対して」
少なくともお世話になり生きるための筋道を作ってくれた関係各位(全方位の限りなく良い人々)に対して時に涙くらい流したっていいじゃない、と思うのは野暮なことなんでしょうか。表現、演出が上部だけなんですよね、何事も。
では。
すべてのショットが確信に満ち力強い
派手なことは何もおきない。映されるのも日常目にするものだけ。だけど片時もスクリーンから目が離せない。すべてのショットが確信に満ち力強い。なぜ藤沢さんはブチ切れたのか、山添くんは自転車に乗って頬にあたる風に何を感じたのか、セリフではなくしっかりと画面で描ききっている。
また、「ケイコ 目を澄ませて」でもそうだったが、今回も撮影同録の環境音をうまく使っていた。耳障りな音も残ってしまうけど、やっぱ付け足しの音では出せないリアルさがあって、藤沢さんが炭酸水の音にブチ切れる雰囲気も伝わってくる。
あと、前作ではジムのそばの土手の階段、今作では会社のそばのトンネルみたいなところ。三宅唱は毎回とんでもなく良い場所を見つけて重要なフックにするよなー。ああいう所で、登場人物の状態や複数人の関係性を見せたりするですが、これが本当にうまい。
松村北斗は計算された演出にうまく乗って相手と素晴らしいバディ感を出していた。上白石萌音はさすがに上手い。ブチ切れ、ダルダル、普通時、顔芸をやらずに演じ分けるのが素晴らしい。あと食べ歩き時のかわいらしさはヤバイ。そら山添君の彼女も警戒度ゼロになるわ。
グッときたショットはたくさんあるけど、やっぱ「自分があげた自転車を元気よくこいでる山添を日の当たるベランダから見ている藤沢さん」が一番ですね。二人とも救われた瞬間ですからね。ベタですけど。
あと、まあジャニーズおよびホリプロの力もあるんだろうが、客がたくさん入っていたのがうれしい。三宅唄の映画にこうやって右肩上がりで客が入ることは本当に大切なことだ。
誰もが何かを抱えている
完治
苦しさに寄り添うこと。
なんと、良い作品でしょうか
友人に誘われて鑑賞しました。
予告で何度も観ていましたが、
こんなにも優しく素晴らしい作品だとは‼︎
終始丁寧にゆっくり時間が流れていきました。
PMSの藤沢とパニック障害である山添を
受け入れるというのは、会社そして周りも
決して簡単な事ではないと思います。
ですが、どんな状況の人でも働ける場が
あるというのは素晴らしいことですよね。
藤沢が迷惑をかけたと、会社の人にお菓子を
買ってきてみんな「ありがとう」って素直に
受け取るのも優しさが溢れていて
温かいなと思いました。
星の話しがどう繋がるかな、と思っていたら
最後でやられました。
めちゃめちゃ良い話涙
障害やハンデの有無に関わらず
どんな人の心にも届くものがあると思います。
誘ってくれた友人に感謝です。
オリオン座が北極星になる‼️
これは素晴らしい作品でした‼️パニック障害とPMSに悩まされる山添くんと藤沢さんの、恋愛関係を越えた絆が描かれてます‼️藤沢さんが山添くんの髪の毛を切ってあげたり、自転車を譲ってあげたり、山添君が藤沢さんの症状が出そうになったら社用車の洗車をさせて落ち着かせたり‼️ホントに淡々と微笑ましく物語は進んでいきます‼️お互いに好意は持っていて、もちろん嫌いじゃないんだろうけれども、まずはお互いを認知し、理解し、許諾し、助け合って、ともに前に進んでいく‼️そこに恋愛感情があってもなくても関係ない‼️そこに二人の職場の催しであるプラネタリウム、星座のことが絡めて言及される‼️変わることがないように思われる数々の星座も、1万年後にはオリオン座が新たな北極星になる‼️変えることが出来ないようでも新たな道は目の前に開かれているという事でしょうか⁉️深かったです‼️
こんな作品を待ってたのかもしれない
嫌な人がいない映画
たまたま時間が空いて、タイミングが合ったから見た映画。予告で見たなーくらいの気持ちで鑑賞です。
下町(?)のとある会社での日常、優しい先輩社員さん達に見守られながら働く若者2人のお話です。
口に出すか出さないかは別として、人それぞれ抱えている事は色々ありますよね。そんな当たり前の事に改めて気付かされて、自分の日常の振る舞いは大丈夫か考えてしまいました。
朝ドラは見ていなかったのですが松村北斗君と上白石萌音ちゃんが良いコンビすぎて、途中から2人のラブストーリーになる?とヤキモキしてしまいました笑
それにしても社長の光石研さん、こういう役をやらせたら右に出る者はいませんね。私もこの会社に就職したい!社長の優しい気持ちがそのまま社風になっています。とにかく暖かい良い会社なので、新入社員も伸び伸び育つんでしょうね。
ただ1つ、PMSがあそこまでひどい人を見たことがなく…生きづらさを解消する他の方法があるんじゃないかと思ってしまいました。
瀬尾さん原作、希望(夜明け)を感じる力作
挫折とか、出自とか、自分の力でどうしようもない状況にあっても、何かのきっかけでその境遇を力に変えていく 瀬尾さんの作品には、いつか立ち上がる、そんな希望を感じるものがたくさんあります 観る前からドリンク剤を飲むような、2時間後には元気になってくるような期待感を持っていましたが、期待通りでした
若く最も可能性を秘め、伸びしろだらけの20代に、逃れられない疾患がわかり、それがガンやケガのようにいつか終わりが来るものではなく、いつまで続くかわからない、それでいて周囲に理解されにくく人間関係も壊してしまう疾患であることがわかった二人
会社に自分の役割・居場所を、自らの能力ではなく簡単には治らない病気によって失っていく無念さ 普段の態度から決して疎まれるはずのない二人のキャラクターは、自ら逃れることのできないところで苦しんでいる そんな自分であっても、自分以外の人の苦しさを共感でき、相手を支援する・支える役割を持てることで、自分の価値・意味を感じ取っていく展開が清々しかったです 私たちが生活のためと思っている「仕事」の中にも、自分が果たしている役割が存在し、その役割に気づくことができれば、苦境の中にあっても自分の価値・意味が見いだされるかもしれない あの小さな会社は、そういった労りあいがあって、(光石研さんの会社だからこそ)尖っている山添君を暖かく見守り、藤沢さんを優しく送り出し、二人各々が自分の価値・意味に気づかせてくれたのであろう
光石研さんの役回りに加えて、渋川清彦さんの暖かな役も嬉しかった
(2月12日 イオンシネマりんくう泉南にて鑑賞)
文句なし!よくぞこの作品を作った。意外と考えさせられる作品
夜明けのすべてを観てきたが予想以上に良かった。
ポイントは3点ある。
まず、松村北斗、上白石萌音の息があった呼吸、セリフが素晴らしかった事。
二人はNHK朝の連続ドラマでの共演もあったが、息があっていた。
次にPMS、パニック障害と今、理解しなければいけない症状を取り上げ観客に
考えさせる機会を作った事。最後に、人間の親切、心の温かさが出たストーリーに
なっていた。ラストも後味がいい。
素晴らしかった。色々考えさせられた。2024年邦画ランキングベスト作品でも
おかしくない。おすすめします。
全351件中、241~260件目を表示