劇場公開日 2024年2月9日

夜明けのすべてのレビュー・感想・評価

全437件中、361~380件目を表示

5.0救われました

2024年2月11日
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鑑賞方法:映画館
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玉響

5.0心の隙間が温もりで埋まる

2024年2月11日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

観た後、柔らかく優しいキモチが溢れてたまらない…何気ない日常の中でふと寄り添える所の温度を知る事で人は救われて支えられる。よかったなと思える事が増える。
特別感動的なシーンではないのに涙がじわじわ溢れる。だけど心の水分量は潤おう作品。出逢えた事に感謝。

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クガヤマ

4.5【ほぐす映画】

2024年2月11日
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PMSにパニック障害、一見固そうな映画のテーマも、穏やかな描写とクス笑いの連続で脳と心が解きほぐされる。配布される冊子の印象が鑑賞前後で変わる、映画としての影響力を持つ作品。

◆概要
2024年・第74回ベルリン国際映画祭フォーラム部門出品。
【原作】
「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこによる同名小説(2020年刊行、累計発行部数5万2000部超(2023年2月時点))
【監督】
「ケイコ 目を澄ませて」三宅唱
【出演】
松村北斗(SixTONES)、上白石萌音、渋川清彦、芋生悠、藤間爽子、久保田磨希、足立智充、りょう、光石研
【公開】2024年2月9日
【上映時間】119分

◆ストーリー
PMS(月経前症候群)のせいで月に1度イライラを抑えられなくなる藤沢さんは、会社の同僚・山添くんのある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。転職してきたばかりなのにやる気がなさそうに見える山添くんだったが、そんな彼もまた、パニック障害を抱え生きがいも気力も失っていた。職場の人たちの理解に支えられながら過ごす中で、藤沢さんと山添くんの間には、恋人でも友達でもない同志のような特別な感情が芽生えはじめる。やがて2人は、自分の症状は改善されなくても相手を助けることはできるのではないかと考えるようになる。


◆以下ネタバレ


◆藤沢さん
雨のバス停で倒れている藤沢さんの画で始まる冒頭。モノローグとともに、本作でPMSという生きづらさが描かれる事が輪郭化される。職場で当たり散らし、家でも死んだように倒れ込む姿は見ているこちらの気も重くなるほど。そんな中でも、ポテチのカス喰いや散髪など、風変わりでコミカルなキャラが重すぎない。そんな藤沢さんが出会う山添くんも、パニック障害という生きづらさを抱える点で共通し(彼が全然違うと苛立つ場面はあったが)、お互いに寄り添い合っていくという内容がなんとも心温まる。生きづらさという点では、栗田科学の社長も弟を、山添くんの元上司も身内を亡くしており、本作に様々な生きづらさを抱える人物が多数登場する。が、栗田科学の面々をはじめ、マッチングアプリの話をあげたあのご年配のように、その誰もが他者に寄り添える優しい世界観だった事がまず何よりも素晴らしい。

◆寄り添う
PMSを調べだした山添くんは、車を洗いながら藤沢さんをなだめると(1人で怒っといてくださいのセリフには吹いた笑)、やがて彼女も彼女自身で車を洗い自分をなだめる描写も。山添くんが拒否した藤沢さんからの唐突なマウンテンバイクのプレゼントも、いつしか彼はそれを心地良さそうに乗りこなす。そんな2人の寄り添いあいが、決して直接的ではなく、描かれ方そのものも穏やかで優しい。ひとつ印象的なのが、山添くんがプラネタリウムの話を元上司にするシーン。山添くんが障害を抱え、信用する栗田社長の職場に預けたのはその元上司なわけで、本作で最も山添くんの身を案じていた存在。そんな元上司が楽しそうに職場の話をする山添くんを見て涙、そんな彼に息子がハンカチを差し出す。寄り添う事で生まれる幸せが連鎖するような、本作の根本が何気に現れていたシーンのように思えた。

◆山添くん
藤沢さんの怒りを買うほどはじめは態度が悪かった山添くん。彼女のPMSに真剣に向き合うことで、彼自身にも徐々に変化が現れ始める。藤沢さんがくれたマウンテンバイクに大事そうに乗り、スマホを届け戻った職場に渡したたい焼きには、冒頭の藤沢さんの気づかいが重なる。原稿が“ありきたり”と藤沢さんに注意されるほど興味のなかった星座も、元上司を泣かせるほど楽しげに話せるまでに。本作は、そんな山添くんの成長の物語としての軸もあった。冒頭の藤沢さんのモノローグに対して、ラストは山添くんのモノローグでエンドロールへ。つまり主観が藤沢さんから山添くんへと変わっており、その意味でも後半は彼が主役。まさに“夜明け”を迎えた、栗田科学の清々しい日常を捉えたロールバックが印象的。脳と心がゆっくりとほぐされていくような感覚で、鑑賞前には不要に思えたPMSの冊子が、鑑賞後には不思議と目を通したくなるのだから、本作には映画が持つ影響力もある。監督が絶賛する、主演2人の相手の話を聞く表情の芝居に注目して次回は見てみたい。

◆関連作品
○「ケイコ 目を澄ませて」('22)
三宅監督の代表作。第46回日本アカデミー主演女優賞受賞作品。文字通り目を澄ませて見るべき映画。プライムビデオ配信中。

◆評価(2024年2月9日現在)
Filmarks:★×4.1
Yahoo!検索:★×3.9
映画.com:★×4.3

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てっぺい

5.0優しく、そして強くなれる映画でした

2024年2月11日
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幸せ

静かに、本当に静かに淡々と進む心に病を抱えた2人の、そしてその2人を囲んだ人達の物語。大きな盛り上がりが有る訳でもないそんな物語にただじっと見入ってしまいました。同じ職場で出会った藤沢さんと山添くんの関係が日を追うごとに変わって行き、やがてお互いの心の病を理解し合い、自分にまたまっすぐ向き合えるようになっていく様が心に響きます。またその2人を見守る職場の社長と同僚たち。そして前の職場の上司。この人達の存在が温かい。社長も、前の職場の上司も自身の大切な人を突然失った悲しみを抱えているので人の苦しみを良く理解し、寄り添う事が出来るのですね。病は自分ではどうする事も出来ないけど、相手の事は少しは助ける事が出来るのではないか?自分の弱さに向き合える人はとても強くなれますよね。山添くんが藤沢さんに言った「しばらく一人で怒っててもらっていいですか」この一言がとても優しく聞こえました。辛い状況にいても決して一人じゃない、星のようにまわりにたくさん人がいてみんなで動いてる。そして新しい夜明けがやって来る。いつまでも心に残るであろうと思わせる、優しさ溢れる映画でした。

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たつのこ

5.0このキャストで良かった

2024年2月11日
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とにかく優しくて暖かい映画でした。
主演の二人はもちろん、他のキャストの方たちも演じている感じが全く無くて日常を見ている様でした。
台詞のないところも表情と音で伝わってくるのが良かったです。

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ゆうけい

5.0大きな声の人のばかりだから

2024年2月11日
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とても優しいテイストの心地の良い作品。無理に解決しようとも、無理に話を進めて盛り上げようともしない、そんな劇的なことは日常的に起こらない。人は生きづらさ、行きにくさを抱えて生きている。同じではないがどちらが大変ということもない。劇的に変化する訳ではないので、うまく付き合っていくしかない。そんなことを丁寧に淡々と伝えてくれているように感じた。主人公二人の距離感がとても良かった。周りも無理に支援しないと躍起になってないところが実は自然に受け入れてということなのだろう。そのスタンスとても大事だな。

⑨H-10

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shige12

5.0良質で素朴な優しい作品

2024年2月11日
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泣ける

笑える

幸せ

何より、お二方の演技が素晴らしい。そこにいるのは、山添くんと藤沢さんです。実在するかのような二人の自然体な姿が、見ていてドキュメンタリーを見ているような感覚になります。
そして、その周りの俳優さん、演出もすごく良い。優しさが厚かましくなく心地よい。素朴なのに心の奥にぐーっと入ってくる、そんな作品です。
内容は重いものを扱っていて、しっかりその病や苦しさについては伝わってくるのに、終わったあとは重くならず、むしろ軽やかさを感じられて。
あったかい気持ちになり、心の奥に残る映画でした。

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assa

5.0生きづらさだけじゃない

2024年2月11日
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泣ける

笑える

原作がとにかく素晴らしいため、映像としてどう描かれているのかと不安と期待が入り混じりつつ鑑賞。
原作とは違う設定、原作にない場面も多数あるけれど、演出、脚本、役者さん全てにおいて秀逸。
余白も含めとても丁寧に大事に描かれている印象。
みんな生きづらさを抱えている。それでもその生きづらさだけが人生ではないのだと、藤沢さんと山添くんの出会いが生き様が物語っている。

それぞれに病気や過去を抱えて生きている藤沢さんと山添君やその他の登場人物たちが、特別肯定する訳ではなく、互いに自然に受け止め認めあっているような空気感が日常を通して流れていて、とても不思議な温かさと心地よさに満たされる。現実もこんな世界で満ち溢れてほしいと願わずにはいられない。
登場人物たちが言葉を交わすシーンは勿論のこと、セリフのないシーンもどこをとってもその登場人物たちの人間性や関係性が透けて見えてくるのが良い。
何より、藤沢さんと山添君もユーモアに溢れていて、原作で描かれているクスッと笑える2人のやり取りが映像として観ると想像以上におかしくて面白くて最高。

上白石さんの藤沢さんと松村さんの山添君が本当にピッタリで、これ以上のキャスティングもこれ以上のお芝居もないのではと言うほど素晴らしかった。

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yuu

5.0穏やかな映画

2024年2月11日
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原作未読です。

⁡16ミリフィルムの温かい映像や⁡落ち着いた音楽が心地よい⁡⁡プラネタリウムの様な映画でした。⁡

⁡⁡⁡1箇所どーしても気になったのは、⁡山添さん(152cm)と藤沢くん(177cm)が⁡⁡同じサイズの自転車乗れるわけない(笑)

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khs69

5.0凄く良かった‼️

2024年2月11日
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興奮

映画って観てみないと分からないですね。こちら度々映画館で予告編をみていてイマイチ期待してない作品だったんですが、一応の拝見でした。ただ原作が瀬尾さんだったんでもしかしたら?とはありました。

いやー最初から最後まで観い入ってしまいました。
映画を見てる感じではなく、面白いドキュメンタリーをみてるような釘付け。

今回、改めて心の病の大変さを知りました。
皆んなが生きやすい、居場所がある世の中、日本でありますようにと願うばかりです。

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ノブ様

5.0鑑賞後温かく爽やかな気分になれる映画

2024年2月11日
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幸せ

とてもシンプルで淡々と毎日が進む。
エンタメ的なドタバタはほぼない。恋愛もない。
でも、確実な変化がある。
静かだけど観ていて飽きないし、くすっとするところもあって、ほろっとして、心が温まる。

いい映画見たなと思える時間をありがとうございました。

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すえ

4.5ただそこにある日常

2024年2月10日
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幸せ

ゆったりと穏やかに観ていられる映画。病気で順風満帆だった歩みの行き先変更を余儀なくされた2人だけど、無理なく自分に出来ることを見出だしていく様に励まされる。原作からの変更があったにも関わらず、見終わったときの余韻は原作を読み終えた時と同じでした。何度でも観たくなる映画です。

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ひので

5.0自分の住む街や生活がほんの少し愛しく思えるかも

2024年2月10日
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幸せ

「普通に生きてるだけでもみんなそれぞれいろいろあるよね」という当たり前のことを、みんながあたたかく受け入れて助け合っている。
「いろいろある」部分を描いているので、多少辛く苦しい面の描写もあるが、それが主題ではないし、笑えるやりとりもあって、苦しいなという部分に囚われ続けることはないんじゃないかと思う。

16ミリフィルムで撮影した映画を見たのは初めてな気がする。光がふわっとしていてあたたかくてすごく綺麗だった。
画だけでなく音もナチュラルで街の息遣いが聞こえてくるようで、自分の暮らしと栗田科学で勤める人たちの暮らしは地続きな気がした。
ハレでもケでもなんでもない日常にぴったりの映画。

いい漫画を読んだら漫画を描きたくなるし、いいライブに行ったら楽器を弾きたくなる。それと同じで、あったかい世界に触れたら自分もあったかい人になりたくなる。そんな映画だと感じました。

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からし

5.0自分でも信じられないくらい泣けた

2024年2月10日
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sow_miya

3.5じんわり温まってフッと軽くなる映画

2024年2月10日
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特別な何かが起こるわけでもなく
何かが解決してハッピーになるわけでもない
でも、観終わったらなんか軽くなったなってフワッと浮き上がるような気持ちになる。

最初からずっとリアルな苦しさで潰されそうになるけど
それでも前向きに自然に過ごす温かさとユーモアに触れて笑顔になれる。
上白石萌音さんと松村北斗さんの醸し出す自然な空気感に静かに笑って泣いて二人と出会えてよかったと静かに思えるそんな静かだけどずっと心に響いて残るふんわりとした映画

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Mmya123

5.0三宅唱考

2024年2月10日
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彼の映画は静止画を一枚一枚パラパラ漫画のように綴って、ゆっくりゆっくりめくっていくようで、何気ない日常で始まり何気ない日常で終わる。劇的な変化はないけれど、少しずつ少しずつ感情や情景を変化させ、細やかな希望が見えるとこで終わる。
きみの鳥はうたえる、ケイコ目を澄ませても同じである。
米国寄りというより欧州寄りの作風
本作でもやはり安心の安定感というべきか

観たあと暗闇も悪くないなと思えますよ。

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ちゆう

4.0個を見つめる

2024年2月10日
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ぽちゃこ

4.5深い

2024年2月10日
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劇中で、流れる音楽が耳に心地良い。

出てくる人がみんな優しくて良い世界でした。

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ゆうすぎ

4.0ひとを思いやり、優しくすることは、自分を思いやり、優しくすることでもある。

2024年2月10日
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とにかく優しいストーリー、日々、生きていくにあたって感じている悩みなどを優しく包み込んでくれるような作品。

自分ではどうにも出来ない症状を抱える主人公たちはひとに対してなら思いやり、優しくすることが出来ていることが印象的だった。

そんな彼らの生きる姿をみていると、ひとに優しくすることは、結果的に自分をやさしくすることに繋がるのではと感じた。

淡々と物語が進む作品であるが感動するシーンが多い。そのシーンも感動を押しつけるような演出ではなく、ユーモアが盛り込まれており、深刻にはならない演出であり前向きさのある演出に感じた。

劇場ないで笑い声が多く生まれる、重くなりすぎない前向きな作品だと思った。

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モトコ

4.0ヒーリング効果あり!

2024年2月10日
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パニック障害を抱える山添と、PMS(月経前症候群)を抱える藤沢の2人の男女の関わりを軸に、周囲の人達の温もりのある接し方を描いた実に癒される人間ドラマでした。浅学非才のためPMSという症状があることを知らず、この映画で初めて知ることになりましたが、妻に聞いてみると友人にもこうした症状を持つ人がいるそうで、意外と身近な存在のようです。パニック障害に関しては、かつての自分の同僚にもいたのですが、果たして本作の山添や藤沢が勤める会社の栗田社長や同僚のような優しい接し方が出来てたかと言えば、全く逆だったような気がして、今さらながら反省することしきりです。

話を作品に戻すと、藤沢が山添に対して「お互い頑張ろう」と言うところ辺りから、てっきり2人が恋愛関係になっていくのかと思いきや、全くそんなことにはならず、それでいてお互いを支え合うという関係性が続いたことが、本作を単なる恋愛ドラマではない、ヒーリング効果抜群の人間ドラマにした主因だったように思えました。

またもう一つの本作の特徴は、登場人物がみんな良い人だというところ。現実の世界には中々こうした状況はないようにも思えましたが、何となく観た後に優しくなれたような気がしたのも本当のところ。ヤクザ映画を観た後に肩で風を切って歩くのとは逆の効果が、本作にはあったように思えます。

俳優陣では、やはり主役の2人、山添役の松村北斗と藤沢役の上白石萌音が、非常に良かったです。普段は極々普通なのに、一旦パニック障害やPMSの症状が出てしまうと、人柄が豹変して別人のようになってしまうところをメリハリを付けて表現していました。また栗田社長役の光石研も、過去に弟を自死で亡くしたという心の傷を抱えつつも、2人を暖かく見守る役柄にピッタリの演技でした。
BGMについても、マッサージ店などで掛かっているようなリラックス出来るヒーリング音楽が掛かっており、これも癒し効果を増していたように思えました。

最後に、内容には関係ありませんが、監督や出演者の舞台挨拶が全国の劇場に配信された回に観に行くことが出来ました。三宅唱監督は、敢えて説明をしない映画であると言っていたので、少し身構えて観ましたが、そんなに分かりにくい作品ではなく、安心しました。映画館もほぼ満席で、このままヒット作となるといいですね!

そんな訳で本作の評価は★4とします。

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鶏