夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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じんわり温まってフッと軽くなる映画
特別な何かが起こるわけでもなく
何かが解決してハッピーになるわけでもない
でも、観終わったらなんか軽くなったなってフワッと浮き上がるような気持ちになる。
最初からずっとリアルな苦しさで潰されそうになるけど
それでも前向きに自然に過ごす温かさとユーモアに触れて笑顔になれる。
上白石萌音さんと松村北斗さんの醸し出す自然な空気感に静かに笑って泣いて二人と出会えてよかったと静かに思えるそんな静かだけどずっと心に響いて残るふんわりとした映画
三宅唱考
彼の映画は静止画を一枚一枚パラパラ漫画のように綴って、ゆっくりゆっくりめくっていくようで、何気ない日常で始まり何気ない日常で終わる。劇的な変化はないけれど、少しずつ少しずつ感情や情景を変化させ、細やかな希望が見えるとこで終わる。
きみの鳥はうたえる、ケイコ目を澄ませても同じである。
米国寄りというより欧州寄りの作風
本作でもやはり安心の安定感というべきか
観たあと暗闇も悪くないなと思えますよ。
個を見つめる
私もPMSとまではいかずとも(そもそも諦めて診断を受けたことがない)生理前は偏頭痛と微熱に悩まされている。また、息子が軽度の発達障害と自閉症で、たぶん私自身も。今でこそ病名がつくけれど、20年30年前は、その生きづらさがただの甘えだと片付けられていた。
映画の中で藤沢さんが「病気にもランクがあるか、PMSなんてまだまだだよね」って。これを聞いて私は憤った。これを聞いてというか、この言葉を言わせた山添君に憤った。何が辛いかなんて人それぞれで、弱い、甘いと言われればそれまでだけど、姿形が違うように、好きな歌が違うように、人が人である限り同じ物を見聞きしても人が10人いれば10通りの感じ方がある。勝手に決めつけないでほしい。と同時にこれを言わせてしまった山添氏も自身の失言を感じ変わるきっかけを作ったように思う。
栗田科学の朴訥な優しさの中で出会った事で二人は救われて、二人の成長で社長も救われて、本当にそれぞれの夜明けがあった。
自分の弱さを受け入れる事、人を思いやる事で少しでも生きやすい世界になればと思える作品だった。出来る事なら、新たな1歩を踏み出した藤沢さんをこの先も見守りたい。
ひとを思いやり、優しくすることは、自分を思いやり、優しくすることでもある。
とにかく優しいストーリー、日々、生きていくにあたって感じている悩みなどを優しく包み込んでくれるような作品。
自分ではどうにも出来ない症状を抱える主人公たちはひとに対してなら思いやり、優しくすることが出来ていることが印象的だった。
そんな彼らの生きる姿をみていると、ひとに優しくすることは、結果的に自分をやさしくすることに繋がるのではと感じた。
淡々と物語が進む作品であるが感動するシーンが多い。そのシーンも感動を押しつけるような演出ではなく、ユーモアが盛り込まれており、深刻にはならない演出であり前向きさのある演出に感じた。
劇場ないで笑い声が多く生まれる、重くなりすぎない前向きな作品だと思った。
ヒーリング効果あり!
パニック障害を抱える山添と、PMS(月経前症候群)を抱える藤沢の2人の男女の関わりを軸に、周囲の人達の温もりのある接し方を描いた実に癒される人間ドラマでした。浅学非才のためPMSという症状があることを知らず、この映画で初めて知ることになりましたが、妻に聞いてみると友人にもこうした症状を持つ人がいるそうで、意外と身近な存在のようです。パニック障害に関しては、かつての自分の同僚にもいたのですが、果たして本作の山添や藤沢が勤める会社の栗田社長や同僚のような優しい接し方が出来てたかと言えば、全く逆だったような気がして、今さらながら反省することしきりです。
話を作品に戻すと、藤沢が山添に対して「お互い頑張ろう」と言うところ辺りから、てっきり2人が恋愛関係になっていくのかと思いきや、全くそんなことにはならず、それでいてお互いを支え合うという関係性が続いたことが、本作を単なる恋愛ドラマではない、ヒーリング効果抜群の人間ドラマにした主因だったように思えました。
またもう一つの本作の特徴は、登場人物がみんな良い人だというところ。現実の世界には中々こうした状況はないようにも思えましたが、何となく観た後に優しくなれたような気がしたのも本当のところ。ヤクザ映画を観た後に肩で風を切って歩くのとは逆の効果が、本作にはあったように思えます。
俳優陣では、やはり主役の2人、山添役の松村北斗と藤沢役の上白石萌音が、非常に良かったです。普段は極々普通なのに、一旦パニック障害やPMSの症状が出てしまうと、人柄が豹変して別人のようになってしまうところをメリハリを付けて表現していました。また栗田社長役の光石研も、過去に弟を自死で亡くしたという心の傷を抱えつつも、2人を暖かく見守る役柄にピッタリの演技でした。
BGMについても、マッサージ店などで掛かっているようなリラックス出来るヒーリング音楽が掛かっており、これも癒し効果を増していたように思えました。
最後に、内容には関係ありませんが、監督や出演者の舞台挨拶が全国の劇場に配信された回に観に行くことが出来ました。三宅唱監督は、敢えて説明をしない映画であると言っていたので、少し身構えて観ましたが、そんなに分かりにくい作品ではなく、安心しました。映画館もほぼ満席で、このままヒット作となるといいですね!
そんな訳で本作の評価は★4とします。
優しい映画、原作を読んでからもう一度観たい
大きく感情を動かされたりするということではないのですが、とにかく丁寧に作られていて、登場人物が皆優しくて温かくて、好きな映画だなと感じました。主演のふたりの塩梅とか空気感がすてきです。個人的にはあっという間すぎて、あと2-3時間あっても観られそう。
ネタバレということではないかもしれませんが、藤沢さんがみかんを食べながら歩いているのがなんだか妙によかった。原作もそうなのかな、と読んでみて、今度は夜観てみたいと思いました。
無理しない、誰でもそうだと思うけど、、、
とても優しい映画でした。
パニック障害やPMSは知っていますが、重度だとこれだけ大変たのだと初めて知りました。
私も仕事のストレスでパソコンに向かうことが苦しくて、精神科を受診したことがあります。家族や友人の支えもあって、今はストレスとの距離のとり方を学びました。
精神科に行くのは勇気が必要でした。心療内科とかカウンセリングなど、もう少しハードルが低いと良いのですが。
無理しない、
誰でもそうだと思うけど、
ってところが大切ですね。
また、周りに理解者が1人でもいるとどれだけ救いになるのか。思い知りました。
とても高評価の映画ですが、北斗効果もあるのかもしれません。ちょっと辛いシーンもありましたが、優しくて良い映画でした。
ドキュメント映画のようでした
上白石さんの天然さがキャストの設定にベストマッチしており見ごたえのある作品でした。
前半はのんびりと眠りを誘うシーンが多かったのですが、後半はスクリーンに引き込まれるようなストーリーになっており、とても良い作品です。
鑑賞後プラネタリウムに行きたくなりました。
夜明けはすべての人に訪れる
そこにある日常
どこかにある街の景色
自分以外のものに目を向けた時に気づけることが きっとあると教えてくれる作品
優しい、とか温かいだけじゃなく肌で感じるものは自分の一部だと思わせてくれる作品
まだまだ受け取りに行きたいので、今日の評価は4.5★
前作ケイコと変わらぬ世界観でした
素晴らしかった。瀬尾まいこ原作と聞いて、松村・上白石と聞いて、やっぱりもっとメジャーな感じの三宅監督作品かと思っていたのが、予告編がやけに地味だな、と思っていたけど、完全に三宅監督作品でした。前作と同じくフィルム撮影。
原作がどんなものかは知らないですが、この伝えたいもやっとした孤独や光や未来やら人生やらをストレート言わせないで、障害を持つ若者と、それを預かっている経営者の会社での日常が細かく描かれている。職場がプラネタリウムやってるという設定がよく、狭い中と広大な宇宙と過去と未来を立体的に交差させる。男女が主人公であるが、愛だ恋だではない私たちの友情みたいなものがいい。不機嫌でとっつきづらく、初対面ではウザっと思ってた世界が180度変わった瞬間の喜び。
この伝えるべき物語をどストレートに自分の映画文法で伝え切る三宅監督と俳優陣に感銘受けました。
少なくとも会社や上司には説明しよう
PMSを抱える藤沢さんと同僚でパニック障害を抱える山添君の共助の話。
重度のPMSにより職場で爆発し、更に薬の副作用で仕事中に居眠りし、就職して2ヶ月で退職してから5年後、再就職して働く藤沢さんが後輩の山添君に当たってしまい巻き起こっていくストーリー。
最初は病気マウント?みたいな発言もあったけれど、PMSとパニック障害に死後鬱等の誰でもなりうる精神的病を題材に、みんなで受け入れみんなに優しくという感じのお話しですね。
当事者が受け入れられるのは当たり前という意識はないし、自身で決めつけることを否定している描写もあるし、それでいて周りは受け入れて当たり前と醸しているし、まあこれはこれで良かったけれど、何だか妙に世の中がキレイ過ぎて、当事者達の一人相撲感があるような。
進行にしても終盤は優し過ぎちゃって欠伸ものだし。
どうも自分はメンタルが激強らしいので、本当の意味で理解出来ていないんだろうな…今のところ。
見る度に心が綺麗になれる気がする映画
優しさだけで出来た世界に心がほっこり。
人はみんなそれぞれ色んな傷や苦しみを背負っているけど、同情ではなくお互いに心から寄り添って支え合うことが出来ればこんな優しい温かな世界を現実世界でも作ることが出来るのかな…。
優しい人になりたいな、他人の痛みや苦しみに気付きちゃんと寄り添える人になりたいな、そんな風に思わせてくれる映画。
心温まる作品
大きな事件は起きないけれど、日常のなかで苦しさ孤独を感じながらも、人を思いやりながら真面目に生きる人々に心が温まりました。
映像や控えめにしか使われない音楽も、すべてが素敵でした。
主演のお二人の自然な演技、とても良かったです。上白石さんのナレーションを聞いた時の松村さんの表情ひとつだけでも、心に染みました。これからが楽しみなお二人です。
他のキャストのみなさんも抜群に良いです。
光石さん渋川さん…良かった…
三宅監督のファンになりました。
夜明け直前が一番暗い❓‼️
原作知らずですが、原作の心理的機微を省略して、ビジュアル的に洗練されたそうです。
舞台挨拶を見ましたが、あまり病気や自殺に関して掘り下げていく気はなさそうでした。
原作者が了解されたか、気になるところですが、原作知らずとしては、良い演技でした。
松村くんのセリフにあるように、男女の友情以前に、相手に異性を意識する魅力の有無で、上白石さんには無い、同感です👍
二人とも良い演技ですので、すれ違う会話は楽しめます、機微は有りませんが、ビジュアル優先ですから仕方有りません。
自殺遺族の会も、形だけのようですが、良い演技です。
演技は大変素晴らしい👍ので、原作軽視で叩かれるのは、胸が痛いです。
扱う病気の方には、違和感があるでしょうが、それなりに癒しをもらえる良い演技なので、製作者になり代わり謝るので許してください、関係無いけど。
内容はともかく、演技を楽しむために、どうぞ。
【"人に優しく、自分に優しく。そして明けない夜はない。”今作はPMSの女性とパニック障害の男性の関係性の変遷を軸に心に哀しみを抱えながらもきちんと生きる人たちの姿を優しい視点で描いた映画である。】
◆感想
・藤沢さん(上白石萌音)はPMSの為に、最初の会社を入社直ぐに辞めざるを得なくなる。だが、5年後に小さな所帯の栗田科学で勤めている。
山添君(松村北斗)は、2年前に発症したパニック障害の為、栗田科学に就職する。電車にも怖くて乗れないからだ。
ー 栗田金属の社長(三石研)や社員たちが、藤沢さんや山添君に接する態度が優しい。社長は仕事熱心だった弟をある日突然亡くし、喪失感を抱えながらも毎日一生懸命に生きている。山添君の元上司(渋川清彦)も同僚を過去、過労死で亡くしている。
故に、社長も元上司もグリーフケアに通っているのだが、今作を観ると心に哀しみを抱えた人ほど、人に優しいのではないかなと思ってしまうのである。-
・藤沢さんはPMSの症状が出ている時に、山添君がいつも飲んでいる炭酸飲料の音が気になると言って、山添君にキツク当たってしまうが、直ぐに謝る。
ー 彼女は、頻繁に会社の人達にお土産を買って来る。PMSの症状が出ない時は、他人に気を使う良い人なのである。-
・山添君は、少しづつ隣席の藤沢さんがPMSの症状が出そうな気配を察し、気分転換の為に洗車をさせる。
ー 山添君も、他人の気持ちが分かる良い人なのである。そして、山添君は彼を気遣う元上司に”今の会社で働きます。”と告げるのである。その言葉を聞いて涙を拭う元上司の姿が沁みる。-
■二人の関係は、恋愛には発展しない。但し、いつもお互いに相手の事を気遣っている。そして影響し合っている。藤沢さんは山添君に自転車をプレゼントし、山添君は藤沢さんが体調不良で早退した時に、その自転車で山添さんの忘れ物(スマホ)を以前藤沢さんが山添君の体調を気遣ってイロイロと買ってくれた時の袋に入れて持って行き、帰りに会社の皆にたい焼きを買って来るのである。藤沢さんのように。
<今作は、PMSの女性とパニック障害の男性の関係性の変遷を軸に、心に哀しみを抱えた人たちが生きる姿を優しい視点で描いた映画なのである。>
地球は動いてる。
PMS(月経前症候群)のせいで月1にくるイライラが抑えられなくなる藤沢(上白石萌音)さんと会社の同僚、山添君(松村北斗)の話。
月1のイライラがくると上司であろうと怒ってしまう藤沢、それもあって会社で居づらくなり転職、その転職先の栗田科学で何かそっけなく愛想なしの山添君と出会うが…ある日、会社で発作をおこす山添君を目にした藤沢さんは、病気は違えど同じく病気で苦しむ山添君に少しだけ歩み寄っていく…。
本作の予告や解説を見ると、パニック障害、PMSとちょっと重たそうなんて思ってたんだけど違った。
とりあえず何か説明しにくいけど雰囲気が終始いい、ここ最近使われてるフィルム?昭和の様な色合いが、この作品に良くあってて心地いい。
恋人ではなく会社の同僚という関係性だったけど、互いへの思いやりの優しさと言動には涙。「友達以上恋人未満」という言葉があるけど、どの辺りにハマるんだろう。
人との関係性やストーリー、フィルムの色といい温かい作品でした。
瀬尾まいこ原作は雰囲気が優しいので全体に好き。 これも例にもれず優...
瀬尾まいこ原作は雰囲気が優しいので全体に好き。
これも例にもれず優しい。
距離感がいい。べったりせず、程よい関係。
藤沢さんと山添くんの距離もそうだけど、栗田科学の人たちの距離感。
職場が優しくて、いい。
誰かを助けることができる、かもしれない。
普遍的なケア、宇宙を貫く光(映画の)
2024年。三宅唱監督。月経前の極度の心身不調を抱える女性と、パニック障害を抱える男性が、小さな教育素材製作会社の同僚になることから、お互いを思いやるようになるまでの様子を描く。症状を抱えたマイノリティ当事者の特殊な話でありながら、恋でも家族でも友情でもない普遍的な「ケア」の形を描いている。
原作小説がありながらさらに映画作品化する意味は、症状が現れる人間の表情の変化や、周囲の人々の様子を、映像として直接的に、かつ、時間経過を含めた文脈の中で、映し出すことにあるだろう。宇宙からの光を子供に説明する教材の製作(プラネタリウムの巡回)が、主人公たちが症状による生きづらさを引き受けていくこと(そしてお互いにケアしあうこと)と自然に重ねられているのも、「光」を扱う映画表現でこそ可能となっている。星々の様子が光によって把握することができるように、主人公たちの様子も様々な光の中で描かれる。もちろん、映画自体、光の投影によって可能になる「光の芸術」なのだから、この作品からは「映画の光は宇宙を貫く光だ」という強烈なメッセージを感じられる。
主人公たち二人の帰宅途中になるトンネルがすばらしい。
静かに、淡々と。
劇中に出てくる2つの病気のどちらも体感は無いので正確には分かりませんが、
でも何かのきっかけで酷く落ち込んだりする症状の出る人は見たことがあるので、何かの病気とかを抱えながら生きている人達は居るんだろうな、と思いました。
病名の付く症状であるかどうかに関わらす、劇中の2人のように「自分を理解してくれる人」がいたら幸せだと思います。ちょっと変な自分やちょっと他の人と違う自分も「あなたはこういうとこもあるから無理しなくていいよ」って解ってくれる人。
てっきり主演の2人はそのまま恋人どうしになるのかな?と思ったらそんなに単純な話ではなかったけれど、
恋人になる前に既に「人生の相方」というか。。「自分の理解者」になってる感じは良かったです。理解し合ってても依存はし合っていないというか。ベタベタにくっついていなくても離れていてもそもそも1人ずつちゃんと1人でも生きていける上で絆はあるというか。
原作とかは何も知らないんですが、5年後くらいとかにまた再会して2人は一緒に暮らしていけてたらいいな、と思いました。
ほんわか、静かに過ぎる時間で良き、でした。
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