夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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ずっと余韻が残って心がまぁるくなる映画
どの人にも抱えてる何かがあって、そこに想いを馳せながら山添くん藤沢さんと一緒に私も心を緩めていった感じでした。激情をあらわにしたりドラマ的な盛り上がりをさせず表情や声色、行動の変化が心に迫って泣けました。
山添くんがじわじわと目の力を取り戻して心が柔らかくなっていく過程が自然で「気がついたらこんな顔で山添くん笑ってる…!」と私もニコニコしながら涙が。
自分の中にある厄介で手に負えないものをお互い理解しあっている。互いがしんどいなと感じてる時にさっと手を差し伸べる。心許せる関係。だけど恋愛ではない。
おそらく山添くんと藤沢さんが一緒にいた期間は半年くらいではないか。その短い間の出来事はきっと2人とも一生忘れないだろう。
自分のことを理解してくれる人がいる。
それだけで人は支えになるしあったかい気持ちになれる。
三宅監督の言う「余白」を何度も見て味わいたい。
発作を起こして会社を早退する山添くんの心もとない歩き方に松村北斗の役への潜りの深さを感じ、食べ残しのポテトチップを筒ごとかき込む上白石萌音は山添くんに心を開いている藤沢さんそのもの。
この若い2人の演技力のもの凄さ、そして共演の光石研、渋川清彦をはじめとした俳優陣が皆素晴らしかった。
ラスト近くの山添くんが「栗田科学に残ります」と言ったシーンで辻本さんと同じタイミングで泣いた。きっと私もあの世界のどこかにいて、同じように励ましたり励まされたりしているんだろうな…。
心を癒しに何度も映画館に足を運びたいと思います。ずっと余韻が残って心がまぁるくなる。こんな素敵な映画、なかなかないです。
夜明けのすべてとは言えるか?
最初、藤沢さんが主役でPMSに悩む彼女の話と思っていた。
そして山添さんと知りあい、パニック障害の彼と仕事をこなす為に相手の病状を理解して一緒に病気に向かい合う。
山添さんは藤沢さんの病状を理解して、相手を助けてあげて少しでも互いに力になる。
そして山添さんは彼女がロンドンへ転勤して、藤沢さんも田舎に介護しに帰ったとしても、彼の病状は夜明け前の手がかりを掴んで将来は明るい。というのを松村北斗さんの最初の頃の顔と最後の顔の表情の違いですべてを物語っています。だから途中から二人が主役で、最後は山添さんが主役になっていました。
けれど、私生活、仕事場、親兄弟など、まだまだ彼山添さんにはいろいろな出来事がすべて良くなるってわからないまま不完全燃焼する話でした。
上白石萌音さんの演技は良かった。松村北斗さんの演技も良かった。話は広がる話でなかったので、感動とかはしなかった。
考えさせられるかといってもどうしようという衝動もなかった。
何か訴求してくるのを映画に求めている自分にはモノ足りない作品でした。
生きづらさと無縁の人ほど観るべき良作
予告から、心の病気をもつ人々のヒューマンドラマを期待して鑑賞してきました。なかなか見応えがあり、本作を通して初めて知ることもあり、多くの人に観てほしい作品だと感じました。
ストーリーは、PMS(月経前症候群)のため定期的に情緒不安定になる藤沢美紗が、そのせいで前の会社を辞め、今の会社に転職してしばらくした頃、同じように転職してきた山添孝俊の些細な行動にまたもや腹を立ててしまうが、彼もまたパニック障害を抱えて悩んでいることを知り、自身と似たようなものを感じた二人は、互いの存在に少しずつ救われるものを感じるようになるというもの。この二人の関係に恋愛を持ち込まなかったところが、本作の価値を高めていると思います。
恥ずかしながら、PMSというものを初めて知りました。生理に伴うということで人には話しにくく、知らない人も多いのではないかと思います。そうでなくても、自分の持つ病気はなかなか口に出しにくいし、とりわけ心に関する部分は外見からもわからないので、周囲も気づきにくいと思います。もしかしたら自分のまわりにも、心の病気で苦しんでいる人や大きな苦しみや悲しみを抱えている人が何人もいるかもしれません。もっと心を開いて話せる雰囲気が生まれ、互いにわかり合えるような職場や社会になるといいなと感じます。
そういう意味では、藤沢と山添の職場は、一つの理想形だと思います。二人の持つ病気を理解し、必要以上に踏み込まず、それでいて温かく包み込むような職場の雰囲気がすばらしいです。藤沢がこの会社に勤め続けることができているのは、まさにそのおかげだと思います。そして、山添との出会いも、彼女にとって大きな支えになったのでしょう。苦しみを慰め合うのではなく、助け合って前に進もうとする様子が素敵です。一方の山添も、転勤した頃の無愛想な態度が和らぎ、心を開くようになり、元の会社に戻ることをやめ、この会社に残ることを決めます。藤沢との関わり、同僚との出会い、離れても親身に寄り添う元上司のサポートが、彼の心を少しずつ解きほぐしていったのでしょう。
そんな二人の絆や生き方を象徴するかのように、プラネタリウムが印象的に描かれます。中でも、プラネタリウム上映中に藤沢が語る「夜の暗闇があることで外の世界に気づくことができた」という言葉がとても印象的で、なんて素敵な考え方だろうと思いました。暗闇の中だからこそ見える星があるように、苦しい時だからこそ気づけるささやかな優しさがあるのです。「夜明け前がいちばん暗い」のなら、星の瞬きのような優しさは、最も苦しい時ほどたくさん降り注がれているのです。そして、それらすべてが夜明けへと繋がっているのだと、本作のタイトルが伝えているような気がします。
主演は、松村北斗くんと上白石萌音さんの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」ペアで息ピッタリ。脇を固めるのは、光石研さん、りょうさん、渋川清彦さん、芋生悠さん、藤間爽子さんら。中でも、渋川さんの演技が秀逸で、思わずもらい泣きしてしまいました。
今回は上映後に舞台挨拶中継がありました。萌音さんはコメントの端々から優しい人柄が伝わってきたり、光石さんは栗田社長同様に現場を和ませていたという話が聞けたり、三宅監督は強面の見ためと違って周囲への感謝と気遣いを忘れない手紙が素敵だったりと、作品に負けない温かみのある舞台挨拶でした。
原作とは全く違う話。
公開を楽しみにしており、小説を読んでから行きました。
小説を読んでいる間、心が震える瞬間がいくつかあったのですが、そこは全く映像化されていませんでした。
設定も変えられており、あくまで映画用になっているのかなと。
栗田金属という社名から栗田科学に。夜明けのすべてというタイトルの伏線を回収するためにプラネタリウムを持ってきたのか…?
好きだった倉庫でのシーンや、草むしりのシーンも別のものに変えられていてショックでした。
まず小説の方が元上司との距離感がリアルで共感できていましたが、今でも付き合いがある描写。
おまけに上司も暗い過去を抱えているという余計な設定…この辺からもう観るのがつまらなくなってしまいました。
大好きなお守りのシーンもただ藤沢さんがポストに入れるだけで、それに対してのアクションは全くなし。
それなら神社に行くシーンはいらないのでは?
自転車も、藤沢さんが押し付けたことになっていましたが実際は違います。そこに至るまでの過程が良かったのに、全く違うものになっていました。
おまけに母親が病気で退職するという設定も…
映画用に書き換えられててすごくガッカリしました。
原作を読んだ際、本当に松村北斗と上白石萌音がぴったりだと思いました。
実際2人の演技を見て、藤沢さんも山添くんも素なのかと思うくらい自然で引き込まれました。
症状が出るシーンは2人ともうますぎて、過呼吸のシーンに関してはこちらも引っ張られそうでした。
キャスティングがよかっただけに、脚本と設定がとても残念です………
原作を読んでいなければ、こういう話として受け入れられ楽しめたと思います。
別物のお話だと思えば、面白かったんではないでしょうか。
心が温まりました
早くも今年一番と感じることができる作品に出会えました。
三宅監督の作品はケイコ〜から見始めましたが、登場人物を俯敗で見せるのがとても心地よい作品作りをされる方だと感じてます。本作も登場人物の表情を映すというよりは、その時その場所で起こっていることを切る取ることで、しっかりと物語を紡いでらっしゃるなと思います。
題材としては藤沢さん山添くんそれぞれが抱えてる病に注目される方が多いかもしれませんが、症状というよりは病と共存しながら生活する人々の共存を描かれていて、そういうものを押し付けるような形は一切なかったです。とは言っても、自身がPMS持ちで友人がパニック障害を抱えてる身としては、苛立ちやパニック発作のシーンもとてもリアルに感じ、役者がちゃんと学んで芝居に取り入れたことが伝わってきました。
プラネタリウムの締めの言葉や、山添くんのラストの語りは、言わずもがな心に温もりを与えてくれましたが、個人的には栗田科学冒頭の藤沢さんが大福を買ってきた時に久保田磨希さん演じる先輩が掛けた言葉がとても優しいフォローで、なんてことないシーンなのに刺さりすぎて泣いてしまいました。
上映期間が終われば、サブスク配や円盤化はされると思いますが、ぜひ劇場で観て優しさに包まれて欲しい作品です。
暖かい陽射しが素敵な映画
キャラの解像度が高いようで低い。それが人生ですか????ん?
原作未読。不安障害を抱える身として何か共感できる部分はないかと思い視聴。PMSとパニック障害に翻弄されるふたり、グリーフケアの会に参加する社長と元上司、の割に掘り下げられない登場人物たちの背景に少し物足りなさを覚えたが、綺麗な映画。
PMSにあそこまで苦しめられてたら、いくら家族に血栓症がいたってピルを処方してくれないものなのか。ピルがダメだからと精神安定剤を処方されていたが、パニック障害が発作を起こした時に服用するような薬をPMS患者に一発目に処方するものなのだろうか。そっちの専門家ではないので単なる疑問だが。(主人公2人を引き合わせるキーポイントとして使いたかったのは分かる)私だったら、仕事中に眠ってしまうほどの薬なら先生に再度処方しなおしてもらうけどなぁ。そもそも、最初の辞職するまでのストーリーを急ぎ足にする必要はあったのか?
また、月に一回必ずヒステリックになる、というのも中々生理に対する解像度が低いのではないかと思った。ものすごく単純すぎる。映画として分かりやすいようにしているのだろうけど女って、PMSって、そんな単純なものではないはずだ。あ、今月はなんか平気^^みたいな演出一個でもあったらめちゃめちゃおもしろかったのにな。
主人公1人くらい背景とストーリーをもっと深掘りしてほしかった。
ただ、お友達に謝りLINE考えてるシーンの「俺パニック障害なんで(笑)」のくだりは妙にリアルで心にチクっときた。パニック障害もPMSも、受け取る人からしたら言い訳にしか聞こえないこともあるだろうし、逆に過保護にされることもあるだろうし、難しいね。
人の温かみ、繋がりに焦点を当てたせいか、細かいところにツッコミどころ、気になるところ満載で主人公たちに対する没入感はそこまでだった。
主演2人、他の俳優陣にあそこまでの演技力がなかったら、なかなかの駄作になってたのではないだろうか。なんだか奥にすごく濃いミソが固まってるのにうわずみだけ飲まされてる感覚。だが、それが人生なのだ。みたいなメッセージを込めた作品なのだろうか。みんな何かを抱えながら生きている^_^みたいな映画なんだろうか。
映像的にあの放送部の子達が撮った映像を見せられてる体なのだろうか。
パニック障害ではないからなんとも言えないが、気持ちがいっぱいいっぱいになった時帽子を被ったり、2人で読書してる時、「あとがき」のページまで読んだら本を閉じたり、終盤になって初めて会社のみんなの朝の挨拶が聞けたり、細かな演出はすごく気を使っているのは良かった。
「PMSとパニック障害って比べものにならなくないですか。」みたいなセリフもよかった。生きづらい、なにかを抱えてても比較になるものではないし、そこで一回対立があってもおもしろかっただろうな。でも、開口一番パニック障害ですか?とか、あ、僕PMSに興味あるだけなんで。とかなんかこう節々にモヤつく部分がある。
まあ、あの世界の2人が良ければいいんだけど。
と思わせてくれるくらい現実味のある世界観。なんだけどなんだか足りない、物足りないなぁ。
明けない夜はないと言うほど単純ではなくて
原作未読。ただ、瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」を読んでいたので、誰かが誰かを思いやるような作品を期待しており、その期待は裏切られませんでした。
山添(松村北斗)と藤沢(上白石萌音)がお互いに相手を知ろうとしたり、「会社のいいところ?どこかな~?」とズバリと言葉にできないような、周囲の人々が彼らに向ける視線や優しさが、穏やかな夜明けの薄ぼんやりした淡い光を感じさせる映画でした。
明けない夜はないと言うほど単純ではなくて、この先も同様に悩まされていくとしても、一人ではないと思えることが救いになることがあるかもしれないと思えました。
ひとつ分からなかったのは、栗田社長(光石研)の弟。あのナレーションから感じられる彼はウィットに富んで、余裕もありそうに思えるのに何故?
主演の2人は役に非常にマッチしていました。特筆すべきは、光石研さん。いつもアイドル主演映画で脇をビシッと固めてくださるのですが、今回も秀逸。彼の悲しみと優しさがこの映画を一段上に上げていると思いました。あとは、丘みつ子さんがテロップ出るまで分からかったのと、りょうさんがこの年齢の役?というのが驚き。
移動式プラネタリウム、行ってみたいな。
人のやさしさ、あたたかさ
PMSのため月に一度、イライラが抑えられなくなる女性。
パニック障害のため転職してきた男性と同僚となる。
その二人は、最初は互いに苦手意識を持ちながらも、
恋愛感情や友情ではなく、お互いが持つ症状を少しずつ理解、
まるで同志のようにお互いに支え合っていく。
そして、その二人を温かく見守り、時には助ける、中小企業の社員たち。
素敵すぎでしょ、この二人の関係、そしてこの会社の人たち。
私もそこまでメンタルが強いわけでもない、平凡な人間であるが、
この映画を観た人がそれぞれいろいろな感想を持ち、そして救われる、
とても素敵な作品でした。
夜明けの直前が一番暗い、でもその後に新しい明日がある。
周りが支えてくれる日常の大切さ
お守りになる映画
今を生きるみんなへの贈り物
生きた例を知らないと共感難
正しく知ること。
栗田科学は理想郷だった
病気
生まれてから病気とは無縁で、ズル休み以外で学校を休んだこともない少し前の自分だったら、この映画はほとんど響かないものだったろう
2週間前に突如体調を崩し、この前久し振りに病院に行ったばかりの自分にとって、この映画に出てくる登場人物はとても共感できるものだった
この手の映画の傾向として、同じ境遇の男女は必ず恋に落ちるものだが、上白石萌音と松村北斗の二人はフラットな関係である
片方が実家に帰りますとなっても、涙(´;ω;`)は皆無
重くなりがちなテーマながら、結構観客を笑わせる ブラック萌音がサイコ~🎵
期待値がほぼゼロだったが、三宅唱監督の前作「ケイコ目を澄ませて」が素晴らしかったので鑑賞してみたが、結果的に今年一番響いた作品
終わってみて題名の意味も理解できましたョ
自転車で動ける範囲の共生社会
原作をしっかり受け止めて消化しさらに主張に拡がりと深みをもたせた素晴らしい脚本、演出だと思う。
原作を読んでいないと理解し難いシーンがある。早退した藤沢さんの忘れ物を山添君が届けにいくところ。山添君は藤沢さんに借りた自転車に乗る。パニック障害の彼はそれまで電車にもバス、タクシーにも乗れず行動範囲は徒歩で行けるところまでだった。このシーンは自転車に乗れるようになった彼の世界が大きく広がった瞬間を捉えている。日が射し風が吹き世界は美しい。
原作も映画も軸となっているのはPMSの藤沢さんとパニック障害の山添君で変わりない。自分でコントロールできない不具合を抱えている彼らはお互いを理解し助け合うこととなる。
ただ三宅唱監督は、この話を映画に置き換えるときに、大事な人を亡くして心に傷を負う栗田社長や辻本課長、リハビリをする藤沢さんの母親を周辺において、共生の範囲をやや広げた。とはいってもそこは栗田科学の職場中心のごく狭い地域社会ではあるのだが。(山添君が自転車で動ける範囲)
三宅唱は「ケイコ、目を澄ませて」で同様な手法を使っている。そこでは聴力障害のボクサーケイコを中心に、ジムを始めとした地域社会が描かれた。
つまり地域社会における共生=インクルーシブの可能性を三宅唱は提示しているのだろう。そしてその中ではハンディキャップのある人たちも一定の役割を果たす。映画の中で、藤沢さんは「パニック障害で良いことってあるかな」と山添君に問いかける。この時点で山添君の答えはないが、回答は映画の中にある。つまりハンディキャップのある人は、自分の経験に則りハンディキャップのある人の状況を理解しやすい可能性があるのだ。彼らの手も借りて相互理解と共助が進めば、ハンディキャップは最終的にはただの個性として社会の中で馴化される。
「夜明け」という言葉について原作には言及がない。映画ではプラネタリウムの設定で説明がされている。世の中にある無数の家庭、職場、社会にそれぞれの夜があり闇がある。でも手の届く範囲からでも相互理解と共生が進めばより暮らしやすい世界が到来するかもしれない。そういうことを感じた映画であった。
ゴメンね
開始1分ナレーションで設定と心情説明かよ、ダメ映画かも。
と不安になったけど、
正直すまんかった俺が悪かった。
もうね、主演お二人の芝居も5年くらい語り続けたい素晴らしさなんだけど、やっぱ三宅唱監督凄えな。
主演2人の、何処か近くに居そうな、身近に居るかもって、観客に寄り添った芝居に乗せる演出の素晴らしい手腕よ。
自転車を漕ぐ先に刺す光に、人が去って歩き行くトンネルの影に、コツンと聞こえる小さな生活音に。
僕達に見える世界にどんだけ人の心を乗せ、心情を描くんだ。
だからこそ、この映画の全員に心が宿り人が人を想う気持ちが真っ直ぐに描かれる。
時に人は人を憎んだり、誰かに腹立ったりするけど悪いヤツなんて居ないんだよ。
昔バイト先に居たアイツとか、職場に居たアイツとか、好きだったあの子とか、俺なんかに好きって言ってくれたあの娘とか、そうだったのかも知れないな。
あの時俺がもっともっと優しかったならなあ、
ゴメンね、やっと学んだよ。
みんなで助け合おうとする人はやさしい
なんて優しい映画なのだろうと思った。
冒頭とラストにだけ使われるモノローグ。必要なことを語り必要以上に語らない。
最近の生きづらい世の中をただ単に描くのではなく、PMSとパニック障害という病名を出しつつも、それをセンセーショナルに前傾化させすぎずに互いにできることを探っていく。
自分自身も病気のことをわかりきったと断言せずに学んでいこうという姿勢なのも良い。
気を遣わせたと思う相手にお菓子を差し入れする気持ちわかるな…気を遣わない相手の前ではポテチを丸飲みするのもわかるな…この対比が素晴らしい。「ルールになっちゃうと…でもこのお店の大福好き」人間として出来過ぎている。
淡い映像に適度な湿度。『ケイコ 目を澄ませて』でもそうだったように、エンドロールまでサボらない。中小企業は優しく大企業は冷たいなんて安易なラベリングもしない。
男女に友情は成立しなくても、男女に助け合いは成立するよね。どんな世代間でも。
どうしても気になった点は、飲んだ薬から「パニック障害?」と聴く流れがちょっと辛かったかな。この映画の中では唯一勇み足というか。でも、その図々しさから信頼を得たとも言えるから好みの問題。
あと、優しい人しか出てこない映画の居心地の良さが凄く良くて、ただ、「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」の新谷ゆづみが演じた役柄のようなキャラクターが1人いるほうが好み。
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