「グループセラピー」夜明けのすべて レントさんの映画レビュー(感想・評価)
グループセラピー
主人公はお互いPMSとパニック障害を抱える美沙と孝俊。美沙は少々自意識過剰気味で職場の上司が女性にもかかわらず自分の病の相談もできずに結局は辞職する羽目に。孝俊も周りには自分の病気のことを話してない。
いまの職場では周りはそれとなく気づいてるけど特に過剰に心配などせず普通に接してくれる。それが二人には居心地よかったんだろうけど、美沙はやたらと職場に茶菓子を差し入れたりして気を使いすぎだし、孝俊にもおせっかいが過ぎた感じ。でもそんなおせっかいに孝俊も次第に打ち解け始める。
自分の病気のことをわかった風に言われて気分悪い、なんて思った孝俊も相手の病気のことわかってないなと気づく。そうして自分のことだけでなく相手のことも気遣えるようになる。
彼らの職場の社長や孝俊の前の上司はグループセラピーに通っている。皆、家族のことでつらい体験をしたため同じつらい思いをした者同士がそれをお互い吐き出すことで気持ちが楽になったりする。グループセラピーは互いの悩みを他人に話して共感しあい、相互作用によって傷ついた心を癒す効果があるという。
一人よりも二人、二人よりも三人。一人で悩んでいても何も解決しない。流れる水は腐らない、流れが止まった澱みはたちまち腐ってしまうというように人の心も同じ。一人で心を閉ざすよりも他人を受け入れて自分の心の中に新鮮な空気を入れてあげればいやな気分も押し流されていくはず。
美沙と孝俊はグループセラピーには通わないものの、二人の関係はまさにセラピーそのもの。プラネタリウムの企画を共同する傍らでお互いの病気のことやお互いのつらさを分かち合って、それで二人の心は楽になったんだと思う。
ゆっくりとした時間が流れる作品。周りは少しづつ変化してゆくけれど、けして置いてきぼりになんかなってない。自分は自分の人生の時間の流れの中で生きていけばいい。焦ることなく病気と付き合ってゆけば、いずれは肩の荷が下りるように楽に生きられるようになるはず。
美沙と出会ってから孝俊の表情が徐々に明るくなっていくのがとても印象的。
こんにちは。
個人的に、グループセラピーなどには懐疑的です。
ただ、本評を読んで、メイン2人のような関係性を無理矢理つくるのがセラピーなのかも、と感じました。
(書かれていることとは逆の捉え方ですが)
そう考えると、2人の出会いや関係性は本当に得難いものなのでしょうね。
決しておいてきぼりになんかなっていない、という言葉に共感しました。「頑張れ」は禁句とよく言われますが、それぞれの中ではもがき、頑張っている。逆に「そんなに頑張らなくてもいい」「完治しなくても大丈夫」と周囲が伝えてあげると快方に向かうと考える次第。
過剰おせっかい、勘違い? な役は上白石姉の真骨頂。
コメントありがとうございました。「愛がみなぎる」と書かれるとものすごく照れ臭いのですが、確かに、とても好きな作品になりました。
先日、別の新作とどっちを見ようかなと迷った時には、ついこの映画を選んでしまいましたから。
自分ではあまり意識していませんでしたが、確かに、普段はレビューも書きっぱなしのことも多いのですが、この作品のレビューにコメントを書いてくださった方々には、つい長い返事を書いてしまう傾向があるようです。(照れ笑い)