「幾つもの気付きがある作品」夜明けのすべて ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
幾つもの気付きがある作品
PMS(月経前症候群)に悩まされ、せっかく入った会社を辞めた藤沢さん。パニック障害で電車にも乗れなくなり、転職せざるを得なかった山添くん。
現在の会社の同僚に支えられ、また、人はそれぞれ悩みを抱えていることを知り、自分自身と向き合えるようになっていく。
「自分にはこんな事しか出来ない」と考えるより、「自分にはこんな事が出来る」と考えた方が、「出来る事を一つずつ増やしていこう」と前向きになれます。
今は将来に希望なんか持てないと感じていても、時間をかけて少しずつ良い方向にもっていけば良い、と思える作品です。
導入部の藤沢さんのパートの演出は、少しわざとらしく感じました。わざわざ雨の中で座り込む。母親が、雨が降っているのに傘も持たずに迎えに来て、二人で上着を被って帰る。
PMSと診断された人が身近にいないのであまり知識はありませんが、女性の多くが経験する症状の、特にひどくて生活に支障をきたす状態と認識しています。訳もなくイライラするし、毎月体の不調が起こる事にもイライラします。あそこまで急激にキレて、その後ぱったりと鎮まるようなものでもなく、体調不良とイライラが続くんだろうと思います。親友に対して悪態をつかずにはいられない場面、あそこがリアルなんではないでしょうか。
でもとにかく、辛いのは確か。会社の人達のような人格者にはなかなかなれませんが、人の辛い気持ちを少しでも理解できるようにはなりたいと思いました。
仰る様に、出来ることを一つずつ増やしていくことって、
大事な考え方ですね。本人の気持ちを積極的にする考え方ですね。
私のレビューにも書きましたが、うつ病は心の風邪と言われて久しいですが、心の病に対する社会の寛容度はなかなか高くなりませんね。
ゆり。さんのレビューを読んで、
社会が心の病についてしっかり知ることと、心の病に罹った人であっても、ここまで出来るんですよという、両面作戦でいくしかないと思いました。
では、また共感作で。
ー以上ー
共感&コメントありがとうございます。
よくよく考えると今作は、健常者が励ますシーンが少なかったような気がしました。同病相憐れむ、自分の辛さは分かりっこない、のかもしれませんが、理解しようという考えは大切と思いました。ロンドンへ行って消滅した彼女の描写もちょっと冷淡、病室に付き添って食い気味になってくれてたのに。松村くんも自分で手一杯だったんですかね?