「夜明けに向かって一歩を」夜明けのすべて しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
夜明けに向かって一歩を
通常スクリーンで鑑賞(一夜限りのダイジェスト付き)。
原作は未読。
松村北斗や上白石萌音他、キャストの演技が自然体でとても良く、まるでドキュメンタリーを観ているみたいだった。
「ケイコ 目を澄ませて」に続いて使用された16ミリフィルムの柔らかな質感が、物語にマッチしていて引き込まれた。
PMSやパニック障害を抱える若者が主軸なので、「特殊状況に置かれた人」の物語と云う第一印象だったが、ストーリーが進んでいくと、それだけではないのだと思った。
藤沢さんや山添くんらの日々を追っていく内に、誰しもが何かしらの事情を抱えて生きているのだと思い知らされる。
本作がPMSやパニック障害について知るきっかけになるのは無論のこと、ふたりの姿を通して自分の中にある悩みにも向き合うことが出来るよう誘われていくのが心地良い。
自分だけじゃない。だからこそ誰かの痛みや苦しみを察することが出来、寄り添えるのが人間なのかもしれない。夜明けは必ず来ると言うが、人生の夜明けに向けて一歩踏み出すのは難しい。と言うよりも、人は誰かの支え無しには生きていけない生き物。私も誰かのそう云う存在になれたらいいなと思う。
[余談]
パンフレットにそれぞれのキャラの裏設定がびっしり書いてあるし、ラストに登場するとある文章も掲載されていて鑑賞の副読本として最適な構成なのが嬉しい。ベルリン国際映画祭のダイジェスト映像も作品への理解を深めてくれた。
[以降の鑑賞記録]
2024/08/10:Netflix
※修正(2024/08/10)
共感ありがとうございます。
栗田科学を継続していくのは困難かもしれませんが、現実離れした人は少なかった印象です。善人ばかり・・という評も有るようですが今のご時世、◯◯ハラの烙印を押されると命取りですからね。