劇場公開日 2024年2月9日

「生きるのは当たり前じゃない」夜明けのすべて けつおさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0生きるのは当たり前じゃない

2024年2月15日
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鑑賞方法:映画館

人は第一印象と違うんだってセリフがすべてのように思える。
主演の二人は障害があり生きづらさを感じても社会に生きてどうにかしようと思ってあそこにたどり着き暮らしている。そんな職場の人たちも社長は弟を自死でなくされ、他の人たちもなにか事情がありそう。第一印象通りではないなにかが。
気遣いしながら向き合って補いあう、今の社会には無くなったような人と人との掛け合いがとてもあたたかくしみて自然と涙が出た。
懐かしくも的確な画角が演出の妙だと思う。
主演の二人はすごい演技。パニック障害とPMS患者が見るものの胸を刺すようだ。
そして辻本役の渋川さんは泣けた。
まさに第一印象を裏切る温かさ。これまでの役の印象も手伝ってこの映画一番の落涙演技。プラネタリウム会社に残ると告げられたときの涙は美しい。奥さんが出てこないのも含めて人はそれぞれ何かを抱えて生きているし支えになりたいと考えているんだね。
自分自身の事もあって、山添パートが身に沁みた。
山添の彼女はもっと寄り添いたかったろうに…
ロンドン行きを告げたあの夜はどんな思いだったのだろうと想像するに泣けてくる。
同僚の人たちもどんな思いでプラネタリウムを見に来たのだろうか。
二人のそれぞれの選択後平和な雰囲気で世界で映画は終わる。これから先も平和に夜が来て明けて朝が来る、そんな毎日を過ごして欲しい。この映画に出会えて自分の世界も広がった。感謝。

けつお
Mさんのコメント
2024年4月24日

「この会社のよいところは?」と聞かれたシーンですね。
人は知れば知るほど、関われば関わるほど、深みが増します。
でも、実際の職場で、そんなには人と深くは関われませんよね。
この映画で描く何か自然な関わりが、とても心地よく感じました。
あまり、注目していなかった恋人の気持ちも、このレビューを読んで、初めて考えてみました。
新しい視点、ありがとうございました。

M