「明けない夜はない、、、」夜明けのすべて TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
明けない夜はない、、、
本作、正直言えば三宅唱監督作品でなければ観ていなかった可能性が高く、逆に言えば鑑賞前の興味はその一点でした。むしろ意外だったのは、旧ジャニーズの方が主演にも拘わらず、初週のシアターはそれほど大きくないTOHOシネマズ日本橋のSCREEN9(同映画館9スクリーン中5番目の座席数)で、実際の客入りもサービスデイの夜回で5割弱。ただ、本作、観ておいてよかったと思える良作でした。
三宅監督の演出、余計なところがなくてとても観やすいです。扱われる題材に対して変に誇張したり、同情を誘うようなことを一切しません。私は当事者ではないのでどれだけリアリティーがあるかは判断できませんが、そもそも必要なことは「理解」だと再認識させてくれます。
昨今では少しずつ「人が抱えることのある症状」の見識が一般にも広がりつつあります。とは言え、それらのことを正しく理解できて、対応できる非当事者は殆どいないと思います。私自身も症状を持ち、通院・投薬されている方と一緒に仕事をしたことがありますが、お互いに負荷がかかっているような状況では相当に削られることもありました。そして今、本作を観たことでより社会全体が理解を深める必要があると再認識しました。(あの人は元気でやっているだろうか。。)
飾り気のないセリフに、思わず吹き出しそうになるユーモアや、ホロリきそうな温かみに救われた気がする作品。特に当事者の方には「引け目」さらには「強迫観念」を思ってしまうことがあると思います。「明けない夜はない」わけですが、変わらなければ同じ朝が繰り返す。だからこそ理解を深めることが重要ですね。
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