「みんなで助け合おうとする人はやさしい」夜明けのすべて わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)
みんなで助け合おうとする人はやさしい
なんて優しい映画なのだろうと思った。
冒頭とラストにだけ使われるモノローグ。必要なことを語り必要以上に語らない。
最近の生きづらい世の中をただ単に描くのではなく、PMSとパニック障害という病名を出しつつも、それをセンセーショナルに前傾化させすぎずに互いにできることを探っていく。
自分自身も病気のことをわかりきったと断言せずに学んでいこうという姿勢なのも良い。
気を遣わせたと思う相手にお菓子を差し入れする気持ちわかるな…気を遣わない相手の前ではポテチを丸飲みするのもわかるな…この対比が素晴らしい。「ルールになっちゃうと…でもこのお店の大福好き」人間として出来過ぎている。
淡い映像に適度な湿度。『ケイコ 目を澄ませて』でもそうだったように、エンドロールまでサボらない。中小企業は優しく大企業は冷たいなんて安易なラベリングもしない。
男女に友情は成立しなくても、男女に助け合いは成立するよね。どんな世代間でも。
どうしても気になった点は、飲んだ薬から「パニック障害?」と聴く流れがちょっと辛かったかな。この映画の中では唯一勇み足というか。でも、その図々しさから信頼を得たとも言えるから好みの問題。
あと、優しい人しか出てこない映画の居心地の良さが凄く良くて、ただ、「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」の新谷ゆづみが演じた役柄のようなキャラクターが1人いるほうが好み。
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