「プラネタリウム(天文)の分野が雑に過ぎる」夜明けのすべて yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
プラネタリウム(天文)の分野が雑に過ぎる
今年60本目(合計1,152本目/今月(2024年2月度)13本目)。
(ひとつ前の作品「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」、次の作品「風よ あらしよ 劇場版」)
この映画自体は原作があるので、それを無視することはできない状況です。
一方、この映画の「主軸となる見方」では、PMSやパニック障害の当事者に対する接し方などが論点になってくると思うのですが、もう一つこの映画では主人公が務めている科学系おもちゃ等の製造の中小企業という前提から、いきなりプラネタリウムや天文の話に飛ぶという「飛びよう」がすごく、そこは一定知識があると???という部分は否めません。
一応にも趣味が天文観測であるのでこの部分はかなり気になったところです。映画の感想自体は多くの方があげられているので、感想というより上記気になった点をメインに書いていきたいと思います(あらすじ自体は多くの方が書かれている通り)。
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(減点0.4/天文に関する描写が不用意だったり、配慮が足りない(個別につき下記)
・ 後述しますが、2023~2024年の映画で、「サブ筋として」プラネタリウムや天文(星座ほか)の話が出る映画としては極端にマニアックな話題が出るかと思いきや、ちゃんと拾っていると???な部分が多々あり、ここは配慮ができなかったのか、と思います。
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(減点なし/参考/ベテルギウスまでの距離)
・ 映画内では「500光年」としてストーリーが進みますが、日本の科学館(博物館、プラネタリウムを併設する施設ほか)では、450~700光年と資料がバラバラです(どの観測結果を引用したかによって異なる)。この点、「一説によれば」の一言がほしかったです。
(※) 似た事例に、NHKアニメの「ふたつのスピカ」において、アニメ版は「スピカまでの距離は約350光年先」とあったのに対し、のちのコミック版ほかでは「当時の知見であり、現在では250~300光年とされる」と書かれたものがあります(同アニメの公開時期と現在とでは、こうした配慮の有無については当然差はあるもので、ここに触れていないのがかなり厳しい)。
(減点なし/参考/「なくなって(墓場ではなく)天に上る星座」)
・ 映画の中では冬の星座の一環として、オリオン座とふたご座が示されていますが、そうであれば「ぎょしゃ座」もそうであるはずです。
(減点なし/参考/移動式プラネタリウムの描写が不十分)
・ 移動式プラネタリウムなのである程度色の表現に限界がある点理解はしますが、オリオン座のリゲルが真っ赤に表示されていたり、そのすぐ近くに比較的明るい星が描写されていたり(この星は、エリダヌス座の「クルサ」で3等星)、やや変な部分が多々あります(かつ、この映画はエンディングロールで示される通り、科学館等がクレジットにあがっているので、そこが何か言わなかったのかという気もする)
(減点なし/参考/うみへび座のアルファルドの扱いについて)
・ うみへび座は全天で最も広い星座で、そこに2等星のアルファルドがあるため「孤独なもの」として描かれているのですが、星空を見上げても星座境界線等が実際に見えるのではなく(描かれているのではなく)、星座を問わなければ近くにレグルス(1.4等星)などがあります。
※ なお、うみへび座は一般に春の星座とされますが、ある地点から一周ぐるりと見渡したときの360度のうち220度を占めるほど「横に長い」星座なので、実際には「どの季節でも見える」星座です。
※ また、「うみへび座」と「みずへび座」の混同が多いので注意です(後者は日本では沖縄でしか見えない。