「娘を愛して」aftersun アフターサン りかさんの映画レビュー(感想・評価)
娘を愛して
若い頃にできた11才の娘との旅行に行く父30才。
念の為前妻に電話しておく。
右手にギプス、ケガするような危険な肉体労働か。
カメラとビデオを持って思い出に残そうと。
娘に護身術を伝授する父親。
若いけれど心配する気持ちに年齢は関係ない。
日差しが眩しいトルコの観光地。
狭いロビーのあまり高くなさそうなホテル。
手違いからかダブルの部屋しか無く、
サイドベッドを入れて貰い父が使う。
娘は躊躇なくデカいダブルベッドに寝て
父は、小さなベッドで身体を縮こませて眠る。
父との再会を喜び屈託なく楽しんでいる娘。
プール、ビリヤード、
まだ若い父も久しぶりの再会を
楽しんでいるかと思えば、なんか暗い。
知人との事業の話をし、
ロンドン郊外に家を買う、君も来ないか。
娘にも誘っているのにまた暗い顔。
楽しみのディナーだったのに、
財布忘れたからか二人で逃亡してしまう。
エンゲージという言葉に期待する娘の言葉にも
返事しない。
楽しんでいるようで心ここに在らず。
また、40歳なんて想像できない、と呟く父。
踊っているモノクロフラッシュの映像❗️
娘が聞いた 落ち込んでいる時無い? に
グッと来てしまう父。
肩しか映らない映像。荒い息遣い。
何を動揺しているのか。
髪を編んで飾りを付けてちょっとオシャレに
なって得意なソフィ。
絨毯屋で選んで値段を聞くと850ポンド。
娘はプールバー、父は太極拳。
父は絨毯買ったよう、記念かな。
ビデオ撮りつつ、
娘から、
自分と同じ11才の頃、
パパは将来何してると思った?
何になっていたと思う?
と聞かれてごまかす父。
部屋のベランダで
何を考えているのか?父。
ソフィに聞かれてスコットランドの家には
帰らない、と断言し、
生きたい場所で生きろ、なりたい人間になれ、
と言う父。
父はそうできなかったのか。
またモノクロフラッシュ❗️
ベランダの手摺りの上に立って手を広げる父。
何をするつもりか。
プールサイドで、娘にオイル塗ってやる。
タイトル❗️通り。
最後の数日だ、楽しもう、と声かけする父。
ディナーショーで、
なぜビキニ着てる?と心配する父。
スクール水着なら安心なんだな。
司会、カラムたち呼ぶが、ソフィだけ歌う。
ソフィにお金も無いのに、と言われ黙る父。
しばらく何も言わずに先に帰ってしまった。
部屋でビデオを観て外へ出て拾いタバコする。
部屋の鍵忘れたソフィ、部屋に入れずやむなくロビーに。
父は暗い海に行っていた、何をするつもりか。
ソフィ従業員に開けてもらい、部屋の中に
やっと戻れた。
父はソフィのベッドに寝てしまっていた。
苦しんでいる父の顔が浮かび上がる
モノクロフラッシュ❗️
現在のソフィだろうか?
足元には父がトルコで求めた絨毯が
敷かれている。
パートナーとの生活。
ツアーの日、父の誕生日。
バスで父にハッピーバースデー❣️と。
ソフィ祝う。
二人で太極拳して
クレオパトラも使った泥の池で
泥を塗りたくり合う二人、幸せそのもの。
ゲームで知り合った男の子とキスしたこと言う。
同年令ならいいか、と父。
遺跡で参加者に頼みまくって
皆でお祝いの歌、大合唱❗️
なのに裸で嗚咽しつつむせび泣く父の後ろ姿。
そして、ソフィへのメッセージ、
💕ソフィ愛してるよ、忘れないで、💕
最後の夜、お金ないからかソフィーの分だけ
パフェ頼んだのかな。
記念のインスタント写真撮ってもらった。
いい休暇だった?と聞く父。
もっといたい、とソフィ。
踊ろう、とはしゃぐ父。
モノクロフラッシュ❗️
抱きしめる父、
モノクロフラッシュ❗️
歌も、最後のダンス、と。
空港でソフィと別れる父。
ビデオで11才の自分を観ていたソフィ。
ぐるっと回ってソフィを見送り、
ドアの向こうに消える父。
ソフィはこの時の父と同じ年の誕生日を迎えるに
あたり、父のことを思い出したのだろう。
この年以降の父の思い出や姿は無い。
ソフィとの旅行以後、亡くなったのか。
父が買った絨毯とこの旅行のビデオがソフィの
手元にあるということは、父亡き後手に入れたのか。
それとも、愛するソフィとの旅行の記念に
ソフィへのプレゼントだったのか。
笑顔の合間に見える父の苦悩。
亡くなったのは‥‥。
カラムが出たドア周辺から飛行機には乗らずに出口に。
トルコに住んでいたようにとれる。
スコットランドの実家には帰らないと
決心するほどの何があったのか。
ソフィに好きに生きろ、と言うあたり自分は
がんじがらめで逃げ出したのか。
10代で家を飛び出し一緒になった女性とは
娘をもうけるも別れて暮らし最後の再会。
何を悩んでいたのか。
コメントありがとうございます。ポール・メスカルいいですよね。ご覧になられているかもしれませんが《異人たち》でも孤独な男性を演じていました。彼の演技力がないと本作は成立しなかったですよね。
コメントありがとうございました。
父は、鬱病なのかどうかはわかりませんが、離婚した妻との電話の中で「監視」という言葉が出てくることから、確実に希死念慮は抱えていて、なんらかの自傷行為を行って、病院なり施設なりの世話になっていたということは描かれているのだと思います。そして、彼の様々な唐突な行動は、娘とのバカンスの間は、その希死念慮を必死に逸らそうとしているという表現ではないでしょうか。ただし、11歳の娘にはそこまで読み取れず、父と同じ年になった今ビデオを見返すことによって、初めてわかったという描き方なのかなと思いました。
父が同性愛者というのは、少なくとも自分は読み取れませんでしたし、それ故の自死というのは、余りに観念的で短絡的な気がします。実際のところ、自分の性自認や性的指向で悩みを持った若者が、希死念慮を抱く割合が高いというデータは見たことがありますが、この作品の父は、自分はそういう理由とは思えないですし、そこは想像の余地があった方が、より豊かな鑑賞体験になる部分だと思います。また、娘がレズビアンだから、それも父からの遺伝というような捉え方も、誤ったステレオタイプな捉え方のような気が自分はします。
ただ、父と同じ年になった娘の表情から見て、理由は何にせよ、自分も父は既にこの世を去っているのだろうなとは思いました。