「"yegua"」グレゴリオ・コルテスのバラッド 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
"yegua"
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西部劇のジャンルとしては銃撃戦など派手なシーンは控え目に追う者と追われる者を淡々と描きながら、どちら側からの正義も窺える主人公不在の物語。
記者を交えた保安官やテキサス・レンジャーの群れが和気藹々と蒸気機関車まで登場の大追跡、一人のメキシコ人は英語も話せず孤独な逃走劇を繰り広げながら馬を扱う描写に長けた、有刺鉄線に布を掛けて飛び越えるシーンが印象的でもあり、逃げ切れるのか、捕まるのか、それとも殺されてしまうのか、合間に事件の発端になった事柄を挟み込み、ラストは裁判でケリが付けられる意外な展開へと。
アメリカ合衆国のテキサス州がメキシコから独立した州だとは知らずに、先住民であるインディアンや黒人のみならずメキシコ人にも横柄なアメリカ人の正義が傲慢に思えてしまう、実話を描いた本作はスペイン語通訳者の誤訳から起こされてしまった事件でもあり、英語で馬を表す単語はhorseの一つだけに対してスペイン語では牡馬をカバジョ(caballo)と呼び、牝馬をジェーグワ(yegua)と二つの表現があるらしく言葉の意味合いや理解力を伴う言語の難しさが伝わる。
劇中、流れる音楽が80年代のB級SFやアクション映画みたいで場面に合っていないのが気になりながら!?
2023/01/31
国立映画アーカイブにて鑑賞。
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