パリタクシーのレビュー・感想・評価
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人間って人間によって変わる。
予告編だけでも人間の心を変えていく映画だと思って、観たかった。
昨日、暑さを凌ぐため、図書館へ行って新聞を読んでいた。ふとDVDの棚を覗いたらこれがあったので借りてきた。
たくさんの人が私も同意するレビューを書いているから、私は他のことを書こう。映画についていた、チャック・ローズ(Chuck Rose)のインタビューでクリスチャン・カリオン監督は(映画を米国でリーリースする前のインタビューだと。2021年−2022年だと察する)フランスでのDVは10年前でも公表することは、タブーであったと。そして、この映画は1950年の時代だから、『女は何も言えなかった』と。この映画の世界は現実だったようだ。
監督がこの車でのシーンはスタジオセットだと。
パリの風景を空から、前方後方側面から前もって取っておいて、役者たちは車の中で演技をしていて、それを合わせてったらしい。(言葉を知らないのでこんな言い方をしているが、映画撮影に詳しい人は訂正してほしい)私はパリのあちこちで車を運転して撮影したものかと思っていた。スタジオセットという違和感がなく、この話を聞いてからもそうなんだという感じ。
好きなシーンの一つは:
食事をしたあと、パリの街を車まで歩くシーンである。これが好き。なぜかというと、マドレーヌの後半の人生にこのような人がいなかったから。それに、このようなチャンスがなかったかもしれないから。
マドレーヌ(リーヌ・ルノー)「腕を取っていい。(腕をかして)」
シャルル(ダニー・ブーン)「喜んで。」
マドレーヌは息子がベトナム戦争でなくなって以来、女性人権運動に取り組んだようだ。息子が
マドレーヌが監獄に入っている間、世間からの誹謗中傷で苦労したことをマドレーヌに
いうが、マドレーヌはあたかも母親や息子の苦しみを理解せずに、弁護士になる道に進まなかった息子に失望していたように見えた。息子に対する謝罪の意味でも、DVから女性解放の道を進んだように私には見える。
あと、まず映画を観る前に、映画の試写を観たが、マドレーヌがレイと結婚していた時代にいっさい触れていないので、映画のストーリーを少し勘違いしていたようだ。
だから人生は素晴らしい
92歳の老婆のなんと魅力的なことか。有名なシャンソン歌手とのことでしたが、単なる演技であれだけの人物を演じられるとは思えません。人生の年輪のなせる表現なのでしょうね。
運転手は『フランス特殊部隊RAID』でヒロインの上司のち彼氏を演じた人。コメディアンだそうですが、表情の変化が絶妙でした。
作品については一言だけ、
「この映画に出逢えてよかった!」
ありがとうございました。
街と思い出
東横インのVODで『アイス・ロード』に続けて鑑賞。
タクシードライバーの男性にも老婦人にも、人生で嬉しいこと、辛いことが色々とあった。そういった思い出がパリの街と密接に結びついているのが、あの場所で〇〇をしたと語る2人から伝わってる。パリの街は2人にとっての人生そのものと言ってよい。思い出は、歳をとればとるほど重みを持つのが、老婦人の語りから感じられる。
街と思い出は密接に結びつくからこそ、彼女は旅に出ることを勧めている。あの時あの街にいてあんなことをしたと、後から振り返る時間をたくさん持てることが、人生を豊かにしてくれるだろう。そのように思える深みのある映画だった。
老婦人による真心のこもった手紙は泣けた。
尊大。
ヘイタクシー
タクシー運転手と客との思いがけない出会い
流れゆく景色の全てが美しく、ひとときの夢を共有した様な気持ちになる佳作。
「一年に地球3周も走るのに、楽しい思い出は、娘にせがまれて走ったイルミネーション輝くクリスマスのドライブの一回だけ」
タクシー運転手のシャルルの語る言葉のなんと重いことか。「タクシー運転手は自分に合っている」ともいうが、それはもちろん、周囲の人とうまく付き合うことができない自分を嘲る呪いの言葉。
成功している兄とはソリが合わない。娘が愛してやまない妻の実家を売却しなければならないほど金に困り、休みもろくに取れない。運転免許もあと2点で免停…。日常生活がうまくいってない彼の苛立ちは、観ている自分にもどこかしら響き合う。
そんな時に乗せた老婦人。
出会いは、クラクションを鳴らしたことへの叱責というマイナスからのスタート。早く距離を稼ぎたいシャルルなのに、この老婦人は急ぐことを目的とせず、遠回りになる寄り道を指示してくる。しかも、できればしゃべらずにいたいのに「幾つに見える?」と言ってめがねまで外す。
「歳をとった今も色気を忘れていないのか?面倒くさそう…。」そうなのだ。冒頭のわずかな時間で、気がつくと自分はすっかりシャルルになったつもりで老婦人を見ていた。
だから、その後、老婦人が92歳と聞くと、シャルル同様、素直にびっくりするし、面倒な寄り道にもキチンと意味があることがわかってくると、我々も、だんだん老婦人の人生の歩みに耳を傾けたくなっていく。
彼女は、自分が行動したことの責任は、全て自分自身で背負う。あんなに大切にしたいと願い、守ろうとしていた息子も、実は、彼女自身の行動が原因で、別の面から傷を負っていたことを知らされる。現代の眼差しで観ているこちらは、やるせなさがつのるのだが、彼女は決して「時代」そのものを否定しない。それどころか、時代を変えたきっかけの一つが彼女だったのにも関わらず、そのことを全くひけらかさない。
肉体的には、歩みがおぼつかず、トイレも近くて紛れもない老人である彼女なのだが、語られる言葉や行動は若き頃のままチャーミングで、シャルル同様、我々もどんどん彼女に惹かれていくのだ。
2人のパリの端から端まで、昼から夜までの小旅行は、それぞれの人間性回復の旅でもあった。
流れゆく景色の全てが美しく、ひとときの夢を共有した様な気持ちになる佳作。
邦題「パリタクシー」原題は「Une belle course」「美...
邦題「パリタクシー」原題は「Une belle course」「美しい、道のり」という感じでしょうか?英語版は「Madeleines Paris」マドレーヌ(老婆の名前)のパリ。
こじんまりとしてますが・・いい映画でした。小説もそうですが、人の置かれた環境、心理状態から生まれる、渇き、渇望、それを満たしてくれる潤いが、小説であり、映画なのかもしれません。ですから、それぞれの人にとっての良い映画、小説は、百人百様なのでしょうね。
という感じで、私にはこういう物語が必要なのかもしれません♪
物語は、パリのタクシー運転手が、介護施設へ入所する老婆を乗せて、パリの市内のおばあちゃんの思い出の場所を回るお話。
刺々しいタクシー運転手の態度、表情が徐々に緩んできて、素敵な笑顔を見せるようになり・・最後には・・・・。
今の世の中、こういう僥倖は、現実には・・などと思ってしまいますが・・・。今、目の前に生きている老人達にも、その人たちの数だけの、たった一つの恋があって、たった一つ人生の物語があった訳で・・。そういうお話を聞いてみたいし、大切にしたい・・・。
美しい心
孤独だったパリジェンヌが最期に2人で過ごした幸せな時間
波乱万丈の人生を生き抜いてきたマドレーヌが
仕事にも生活にも行き詰まった状況の
タクシー運転手シャルルと出逢った!
タクシーを走らせながら、マドレーヌの古い時代の悲しい過去と想い出が徐々に明かされていくストーリーでした。
タクシーが目的地に向かう途中、アクシデントがあってまさかの演技で切り抜ける
マドレーヌは歳を重ねてもチャーミングな
パリジェンヌそのものでした。
寄り道をした時間も無駄に思えないマドレーヌの生き方が表現されていました。
マドレーヌとシャルルが2人で食事した
ディナーは至福の時間だと思いました。
フランスの夜景、光るネオンのなかに消え逝く儚さを感じました。
マドレーヌがシャルルに出逢えたことは
偶然ではなく、必然的だったと思いました。
マドレーヌが残した「手紙」には
人生の再出発を願う気持ちが込められていました。
カメラで家族の写真をたくさん撮って。
人生の最期に幸せなひととき
喜びを分かち合うことが出来たロード・ムービーでした。
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