「10分で飽きた人はきっとこの映画面白くないでしょうね」パリタクシー うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
10分で飽きた人はきっとこの映画面白くないでしょうね
感動した。非常に美しい物語。いや、現代のおとぎ話か
さえない中年男が人生に躓き、ひょんなことからタクシーに乗せた乗客の老婆と、いつの間にか心を通じ合い、その老婆の人生をたどるツアーが始まる。
ざっとこんなところだが、パリの街並みと少しの歴史が見事に挟み込まれ、まるで父親の運転でおばあちゃんの家に遊びに行く道中のような気分になる。
まあ、それ以上でもそれ以下でも無いのだけれど、簡潔にまとまって、スッキリ見終わることが出来る。
むかし『ハリーとトント』なんていう映画があったが、あれは老人が飼い猫と旅に出るロードムービーで、ハリーが猫のトントに話しかけることで身の上が語られていく巧みなストーリーテリングだった。ハリーは子供や血縁を頼ってあちこち訪ねまわるのだがどこでも厄介者扱いされ相手にされない。そんな独居老人の孤独とノスタルジーを語る映画だった。
この映画でも老婆は美しい思い出として昔を懐かしむが、それ以上につらい出来事が語られていく。誰しもが同情を禁じ得ないと思う。多かれ少なかれ生きていたら死ぬほど苦しい思いをしたことがあるはずだ、
出来過ぎていてちょっとついて行けないという意見もあるかもしれないが、私はとても楽しめました。
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