「旅路の果てにながめる人生はどんな色をみせるだろうか。」パリタクシー humさんの映画レビュー(感想・評価)
旅路の果てにながめる人生はどんな色をみせるだろうか。
人生の窮地にいてイライラが隠せない中年タクシードライバー・シャルルがのせた客・老婦人マドレーヌ。
はじめはなんだか面倒くさそうな様子でマドレーヌの話かけに応じるシャルルなのだが、激動の時代をたくましく歩んだ彼女が語る生き様は説得力をもってシャルルの心を揺すりだす。
人生の緩急、複雑な重なりだからこその味わいを感じたシャルルはついには祖母をみるようなまなざしに。
マドレーヌも後部座席から助手席へ移り孫に乗せてもらっているような嬉しい顔をみせる。
そのころには自分も後ろの席に乗車していた錯覚が不思議である。
それはウィットに富んだ経験豊かなマドレーヌが、シャルルの不機嫌や短気で否定的な考え方を察知し、さりげなく明るくやわらげるのを目撃し、だんだん変わっていく空気を肌で感じとりながらいるせいだろう。
さて、二人の様子に安心しはじめると横を流れるパリの街並みはそれまでよりぐっと魅力的だ。
細い枝の先でおどるような緑も、流れる川のフォルムも、洗練された塔がなじむ石の道も、行き交う人々も、そばにある不安をとりのぞいた状態で眺めると、そこに受け入れられて立つ自分のありがたい命に触れるような感覚が際立つ。
やはり気分は捉え方を変え、捉え方は気分を変えるのだとつくづく思う。
そんなふうにして観客達はこの出会いが自分を含めて必要なものだったことを知っていく。
いいときもある。
わるいときもある。
でも
あなたはいつもまっすぐに顔をあげて進んでいけばいい。
タクシーに乗る前、わが家をじっとみつめたマドレーヌ。
今思えば、そんなふうに生きてきたことへの信念を住処を去るあのとき固く結んだのかもしれない。
そんなマドレーヌに会えたシャルルはラッキーだ。
他でもない自分自身がつくるたった一度きりの色。
マドレーヌのように塗り重ねて、あんなふうに豊かな色をおおらかに纏い去っていけたならそれは本望だろう。
wowowで少し前からパリ特集で本作やいろいろおフランス🇫🇷作品見させてもらっていますが、
ここまでなら、行ってみたい❣️と思っていたのに、ネット中心ながら、いっろんなパリのこと教えてもらったら、行く気がだいぶうせました💦ま、お金もかかるし。
おはようございます😃
共感ありがとうございます。🌸
揺すり出す←この表現いいですね。シャルルの頑なな心を揺すってほぐし揺すって、最後らへんは
祖母と孫❣️
できるならホームにシャルルが通いもっと親しくなじんで欲しかったとも思いますが、マドレーヌにとっては最高の旅路だったのでしょう。🌺
素敵なレビューですね⭐️
この作品は今年公開の中でも
心の真ん中に閉まっておきたい大事な
作品になりました
humさんのレビューを読んで再度鑑賞したくなりましたね
来年も穏やかで幸せになれる作品に沢山出会いたいですね!
忙しない日々ですが
どうぞお身体ご自愛下さい!