「美しいパリの街並みで心が通じ合う二人。」パリタクシー しのぶさんの映画レビュー(感想・評価)
美しいパリの街並みで心が通じ合う二人。
金なし、休みなし、免停寸前のタクシー運転手のシャルルと終活に向かう92歳のマダムの名はマドレーヌ。なんでシャルルはこんなに不機嫌なんだろう?マドレーヌが車中で語りだす自身の過去の話を渋々聞いていくうちに心が少しずつ解れていく。聞かなければ分からないほどの苦労をしてきたマドレーヌの言葉だからこそ、八方塞のシャルルの心を解すことが出来たのだろう。最愛の息子を亡くしたマドレーヌにとって、車中で話している内に、シャルルが息子であり孫でもあるかのような気持ちになったところも有ったのではないかと。タクシーに乗ってからの数時間の間に半世紀以上前の女性の人権も存在しなかった頃にまで遡る。マドレーヌの波乱の人生を辿りながら、投げやりで荒くれたシャルルの気持ちが前を向いて生きて行こうと変化する心の動きにほっと心が温かくなった。タクシーの窓から見える昼のお洒落な街並みや夜景に輝く景色が美しい。パリに行ってみたいと増々思いが強くなる。
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