「人生辛いことばかり、と誰が言ったか。」パリタクシー ezuさんの映画レビュー(感想・評価)
人生辛いことばかり、と誰が言ったか。
人生の終わりに向かってタクシーに乗った90代の女性は、寡黙な運転手にポツリポツリと話しかける。
苦しみや悲しみに満ちた人生を振り返りながら、蝶々夫人の様な甘い記憶だけが心の支えだった。しかし、その記憶も誰にも共有できない孤独なもの。
信号無視を繰り返すタクシーはやがて警察に捕まり、ご老人は運命に翻弄されるロードムービーの主人公となった。
人生辛いことばかりと誰が言ったか。マリア・シェルの「居酒屋」が脳裏をかすめる。シネコンを満員御礼にした今年前半のベスト映画となった。
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