「そして最良の時へと帰っていく」パリタクシー komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
そして最良の時へと帰っていく
壮絶な経験しながら、なぜこの様に美しく聡明にいられるのか。ベトナムから戻った息子との二人きりの時間に何を語り合ったのだろうか。いろんなことを考えてしまう。
本人から語られることはないが、現在と過去のマドレーヌが手を取り合うシーンから、自身に恥じることのない後半生を歩んできた事が伝わってくる。
そんな彼女が女性警官と話し、シャルルを免停から救うシーンはとても象徴的。
マドレーヌは、きっと愛想の良い女性ではないと思う。どちらかといえば気難しい頑固者。しかし、マットを思い出すときの少女のような表情、輝く瞳は最高にキュートだ。
最後、整えられた身だしなみでベッドに上がりライトを消すマドレーヌ。音楽に合わせてマットと幸せそうに踊り続ける。
深い孤独を抱えつつも強くあろうとする意志の力で美しく生き抜く、そんな姿に胸を打たれた。
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追記20240310
マドレーヌ自身も、彼女の父と息子も典型的なフランス人闘士。その歴史を、現代フランス人の代表とも言えるシャルルに伝える形で、監督はフランス人らしさ、誇りを託そうとしたように思える。
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