「AmazonStudioはよい仕事をしました。」沈黙の艦隊 カンタベリーさんの映画レビュー(感想・評価)
AmazonStudioはよい仕事をしました。
大沢たかおが海江田艦長を熱演、原作よりもカリスマ性と不気味さましましの海江田をとても楽しそうに演じています。原作好きなんだろうな。「シーバット(やまと)」の乗組員たちは一種のカルト集団のように描かれています。
対して玉木宏演じる深町艦長の乗る「たつなみ」は、深町の醸し出す兄貴ぽさも相まって、階級の上下に関係なく互いに補い合うチームワークの良さで「潜水艦野郎Aチーム」的な雰囲気。
日本の潜水艦映画としては、操艦場面、魚雷発射場面が白眉。ここは原作漫画よりも非常によくできていると思います。
命令と復唱の連鎖で多くの乗員が各自の持ち場で操作を行い,実際に艦が動いていくことを見せることで、リアルさと現実世界の重みが半端ないです。
ここがリアルなので「6番、8番発射準備」と指令を出すだけで「うわ撃つんだ」と緊迫感が漂います。
ストーリーもマンガ原作をよくブラッシュアップして現代に適合させている。「たつなみ」の副長を女性にしたり現代的。
副長が厨房を手伝いをする場面は「ジェンダーのステロタイプ?」と見せかけておいて、階級が下の男性隊員も同じように厨房手伝っていることを見せて、チーム深町は階級も性別も関係ないみんな同じチームの一員というのをうまく表現しています。
ここんところの描写はとてもうまくて、「シーバット(やまと)」のチーム海江田とのカラーの違いをうまく見せています。
マスコミが官邸に情報統制され、「シーバット(やまと)」の反乱や第7艦隊の異常行動などが全く報道されない様は非常に現代的。
脚本家チームはよい仕事をしています。
キャスティングもよく、実力派の俳優をそろえています。
竹上総理に笹野高史をよくあてたもんだ。このキャスティングは舌を巻きました。
情けないお飾り総理が、ちょっとずつ頭角を現して操り人形でなくなっていく片鱗がうかがえます。
続編が楽しみです。