劇場公開日 2023年9月29日

  • 予告編を見る

「原作者が『沈黙の艦隊』で1番好きなキャラはベネット」沈黙の艦隊 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5原作者が『沈黙の艦隊』で1番好きなキャラはベネット

2023年10月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

2023年映画館鑑賞53作品目
10月9日(月)イオンシネマ石巻
ハッピーマンデー1100円

原作既読
原作は当時全巻買った
監督は『水曜日が消えた』『ハケンアニメ』の吉野耕平
高井光脚本作品初鑑賞

日本近海で海上自衛隊の潜水艦「やまなみ」が事故で沈没し深海で大破した
艦長の海江田四郎を含む全76名の死亡が報道された
しかしそれは偽装工作で彼らは全員生きていた
日米政府が極秘に進めていたシーバット計画
米艦隊所属という名目で日本初の原子力潜水艦「シーバット」の乗組員となった元やまなみ隊員76名
だが海江田四郎は米国に反旗を翻しシーバットに核ミサイルを搭載し独立国家「やまと」を宣言し日本との同盟を求めた

原作は男ばかりの男くさい世界を描いているが映画化にする際はその設定を変えて一部女性に変更している
まさかの水川あさみ起用は悪くない
男が圧倒的に多い職場でも女性が1人くらいいないと息が詰まる
思いきっていっそのこと副官の方ではなく深町を女性に変更した方が良かったような気もする
原作ファンだがわりとそこは柔軟だ
原作厨ほど頭は硬くないし保守的な人間ではない
この作品の話のキモは細かい人物描写をそのまま再現することではない
そもそも専門家からすれば原作が色々とあり得ないという評価だし

好きな俳優が出てるからという理由で見た潜水艦音痴の人たちにはおそらく海中での「戦闘シーン」は退屈かもしれない
自分は原作ファンでもありわかっていてもハラハラしたけど

戦争モノというより政治モノといえる
日本政府の会議でのオタオタぶり
特に頼りない総理大臣
リーダシップをはかる次期総理最有力候補であろう官房長官
防衛大臣と外務大臣の対立
総理大臣より偉そうなシーバット計画の黒幕でもある内閣官房参与
あの人間模様が面白い
女性防衛大臣というと『シン・ゴジラ』の余貴美子を思い出す

言論統制も政府の圧力というよりコロナワクチンやそれまでのジャニーズに対する忖度を思うと日本のマスコミの腐敗ぶりがリアルに再現してる
誘拐事件の報道自粛と同じ感覚なんだろう
大東亜戦争における戦争報道の反省は全く生かされていないというわけだ
その偽善ぶりに反吐が出る

そしてこれからというときにエンドロール
B'z音楽提供だがなぜか稲葉浩志本人ではなく「うっせぇわ」でブレイクしたAdoが熱唱してる
年配からすれば「あど」といえば関根勤がかつてよく真似した水森亜土だが彼女とは全く関係ない

エンドロールのあとに続編近日公開発表もなし
実写版の『ドラゴンボール』のようなことはあるまい
『猿の惑星』や『バックトゥザフューチャー』と違い『キングダム』のように初めから続編ありきのはず
中村錦之助主演『宮本武蔵』五部作で一本目見終わったあと「佐々木小次郎はどうした」「巌流島の戦いは?」「けしからん」と怒るようなマネは私はやらない
続編制作を信じて楽しみに待とう
評価は難しいが星3.5にしておこう
娯楽映画として楽しませてもらったことは間違いない
少なくとも星一つ二つは自分としては全くあり得ない

配役
アメリカ海軍原子力潜水艦「シーバット」艦長の海江田四郎に大沢たかお
「シーバット」副長の山中栄治に中村蒼
「シーバット」IC員の入江覚士に松岡広大
「シーバット」ソナーマンの溝口拓男に前原滉
太平洋艦隊司令官のローガン・スタイガーにアレクス・ポーノヴィッチ
ディーゼル潜水艦「たつなみ」艦長の深町洋に玉木宏
「たつなみ」副長の速水貴子に水川あさみ
「たつなみ」ソナーマンの南波栄一にユースケ・サンタマリア
覚士の兄でディーゼル潜水艦「ゆうなみ」の隊員の入江蒼士に中村倫也
統合幕僚長の赤垣浩次に手塚とおる
潜水艦隊司令官の田所進に大河内浩
内閣総理大臣の竹上登志雄に笹野高史
内閣官房長官の海原渉に江口洋介
外務大臣の影山誠司に酒向芳
防衛大臣の曽根崎仁美に夏川結衣
官房長官秘書の舟尾亮子に岡本多緒
内閣官房参与の海原大悟
アメリカ大統領のニコラス・ベネットにリック・アムスバリー
ニュースキャスターの市谷裕美に上戸彩

野川新栄