「空母いぶきよりは断然アリ!ですが…。」沈黙の艦隊 九段等持さんの映画レビュー(感想・評価)
空母いぶきよりは断然アリ!ですが…。
まさかの映画化ということで気合を入れて鑑賞。
一言で言えば、物足りない!!
全編描くのは到底無理だとして、今作は序盤を丁寧に描写したのかと思いきや、映画オリジナルの展開がある一方で、戦闘シーンはかなり端折る形での進行…。
もちろん、大まかな戦術や内容は原作通りなんですが、思考についての言及がなかったり、後々効いてくるはずの海江田や周辺の人物の重要なセリフもところどころなかったりして、とにかく物足りない。
戦い方自体も、実はもっと物語が進んでから出てくるはずものが登場。
という事は、つまりあのサソリは続編でも登場しないのか、と思うと残念でなりません。
(使われたのが何のケーブルかの言及もありませんでした)
何より、個人的には海江田と深町とのライバル関係が好きだっただけに、映画では同期じゃなさそう、というのはかなり残念でした。
オリジナルキャラ?の上戸彩のニュースキャスターも、文句なしで美人なのはいいのですが、キャスターにしては声が出ていなさすぎて架空感が強かったです。
一方で、現代風にアレンジされた装備の設定や、水川あさみの速水副長はじめ女性陣も多用したその他の登場人物は特に違和感ありませんでした。
逆に、田所司令やライアン大佐、スタイガー大将などはかなり「まんま」で大変良かったです。
大沢たかおの海江田も、かわぐちかいじ先生が絶賛したと伝えられている通り、意外とハマっているなという印象。
複雑になりがちな水中戦もわかりやすく、その点はとても満足できました!
かわぐちかいじ作品はスケールが大きすぎるのか、映像化しても最後まで描かれなかったり(アニメ「沈黙の艦隊」「ジパング」)、「空母いぶき」(映画)のように大爆死してしまいがちですが、
特に沈黙の艦隊はその全貌が明らかになることで完成する作品なので、今回はなんとか最後まで描き切って欲しいです。
色々書きましたが、原作へのリスペクトを感じられ、空母いぶきよりは断然良かったので、期待を込めてレビューします。