「原作・OVAファンからすると、「…え、これだけ?」」沈黙の艦隊 km621さんの映画レビュー(感想・評価)
原作・OVAファンからすると、「…え、これだけ?」
原作とアニメOVA履修済みの者です。
実写映画化されると聞いて、初日に見ました。
いろいろ言いたいことありますが、特に良かったところと悪いところをまとめると、こんな感じです。
【良い点】
・海江田と深町のキャスティング
特筆するは、大沢たかおさんの海江田と玉木宏さんの深町。大沢さんは海江田のどこか思考の読めない不思議な感じを、玉木さんは深町の海上自衛官として真っすぐでどこまでもなところを見事に演じていましたし、お二人のキャスティングについては良かった。
・潜水艦の潜航する映像
実際に潜航する潜水艦の映像がふんだんに使われていた。こんなところから映像が取れるんだというような場所から海に潜る潜水艦の様子を見れる。
【悪い点】
・物足りない
これはもう正直に言うと、2時間という時間の中では仕方ないとは思うものの、とにかく話の展開が遅い。最終的に第七艦隊と戦闘したが、実際に戦ったのは潜水艦だけでイージス艦との直接戦闘はないし、全体としてOVA VOYAGE1をスケールダウンしたような感じだった。
・テンポが悪い
随所随所に「これ本当に要る?」っというような尺稼ぎに思えるような場面があった。特に原作にはなかった入江兄弟の下りは、改変としては本当に取ってつけたような感じで、物語を大きく左右するようなものでもなかったので、なぜ入れたのか分かんない。
・竹上総理が気弱すぎる
これが特に個人的に納得できなかったところ。原作・OVAの竹上総理は、シーバットのことは全く知らなかったが、いざという時に決断する覚悟のある人物として描かれていたが、こっちでは計画に賛同しているうえに、物凄く優柔不断な人物になってる。もし続編があればこれから成長していくのだろうが、正直不安でしかない。
・海自の広報動画っぽい
所々で、「潜水艦乗りとはこういう職業なんですよ」みたいに暗に説明するようなパートや、乗組員の風景的な場面が挟まれてた。なんというか、人員募集のための広報動画みたいで、「これのために海自が協力したなんじゃないのだろうか?」と思ってしまった。
以上、総評すると全体的に物足りないうえに変な改変等もあって、あまり面白いとは言えない出来だった。
原作を全く知らない人から見たらまた違った評価だと思うが、少なくとも「沈黙の艦隊」という作品を知っている人間から見れば、これをもう一度見るために映画館へ足を運ぼうとはちょっと思わない。