夏の終わりに願うことのレビュー・感想・評価
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一時の幸せ
病気で療養中の父の誕生日パーティーに参加する為、祖父の家に訪れた少女の物語。 ポスターやタイトルの雰囲気から、勝手にこの冬に観た傑作、コット始まりの夏的な展開を予想していたのだが…。 中々に難しい作品ですね。 特に序盤は、パーティー準備までの親族の様子がドキュメンタリーチックに描かれる。 わかりやすく泣かせにきたりするわけでもなく、淡々としているようでやはりどこか日常ではない彼らの様子は、観ている側に何を伝えようとしているのだろう? いよいよパーティーが始まりだしてからは、明るさの中にももの寂しさを感じるような。トナの笑顔が見られてよかった。 そしてラストのこの眼差しは…戦慄さえ覚える程。 この時が続けばと…そう思い固まっていたのだろうか? そしてサソリは…?形を変えて見守ってるとか? 兎にも角にも、退屈ということは決してないが、ワタクシレベルでは、この作品のメッセージをダイレクトに感じ取ることは少し難しかった。
夏の終わりの喪失の物語
まず、これは「コット はじめての夏」のような少女の出会いと別れ、そして成長を描いた作品ではない。原題の「Totem」ではさすがに商売にならないだろうから邦題はしょうがないと思うが、少女ものであるかの如くミスリードするのはいかがなものか?あまり取っつきのよい語り口でもないので「?」ってなってしまった人多いのでは? この作品はその7歳の少女ソルを含む家族の喪失の物語である。家族構成が全て理解できたかどうか自信はないのだが(説明的なシーンが極端に少ない映画なので)この家族は、気道切開で声を失った父親、その長女(お金の心配でいつもイライラしている)、二女(キッチンドランカーで、エステルの母親)、そして末弟のトナ(ソルの父親)で構成される。あと娘、息子の連れ合いとソルの従兄弟たち。 おそらくはこの一家の希望の星はトナだったのだろう。パーティーに呼ばれた友達の多さからいってもトナはアクティブで性格もよく、家族を金銭的、精神的に支えてきたのだと思う。 その彼ががんを患い余命は短い。家族は怪しげな治療法や除霊師に頼りつつも、実はもう駄目だと思っている。だから彼の誕生日に友達を呼び、ひょっとしたらお別れになるかもしれないパーティーをすることとした。 Totem(トーテム)はトーテムポールのそれで、氏族に宗教的に結びついた、端的にいうと祖先神である動物を指す。勢いのある氏族は強い動物をトーテムとして持っている。エンドロールで描かれているヘビやゾウやコウモリやサルなど。 一方、ソルとその家族の周りにいるのはネコやイヌ、鳥、そして昆虫たち。いかにも弱々しい。これらはトナを喪うことで家運が傾くというか、家族が内外に持つパワーが失われていることを指している。 パーティーの終わりにソルと母親はガエターナ・ドニセッテイのアリアの当て振りでオペラのシーンを輝かしく演じる。これがこの家族の「夏の終わり」。最後に望みを聞かれたトナはなにもないと答え、ソルは黙って蝋燭の火を見つめる。家族と別離する予感は限りなく悲しい。この映画の監督リラ・アビレスは若くしてパートナーを亡くしたようであるがその経験が色濃く反映されているのだろう。
嫁の気持ちがギュッとくる
予告で見ていた通りのストーリー。 でもひと夏で家族を失いそうな局面にある人々の様子をとても丁寧に、そしてリアルに描いている。 ファザコン娘としては父を失いそうな娘の気持ちに乗っかって涙するかと涙活期待したけど、さすがにソルちゃんは若過ぎた😅 むしろ旦那様を失いそうなお母さんの気持ちでウルウル💧
前情報なく観るのがおすすめ
今年291本目(合計1,383本目/今月(2024年8月度)16本目)。 ※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。 この作品、ここでは評価割れているみたいですね…。 結局のところ、主人公の少女ソルがおじいんちゃんの家にいったら、なぜかおじいんちゃん家はおおはしゃぎ、少女の年齢からは何がどうなっているかわからず、気が付いたときには…という趣旨のストーリーです。年齢としては「ありうる体験」だろうと思うし、余韻を残すような展開も良かったです。 一方でこの映画のマイナス点としていくつかあるのが、「登場人物の多さ」で、かなりの人数が集まる展開となるため、一度しか出てこない人物や人名がかなり多いです(あのドローンか何かをやっている少年やら、最初にルシアだったかルキアだったか呼ばれている女性など)。あわせると20人くらいいるんじゃないかと思うのですが、結局はソルとおじいちゃん視線での展開なので、それらは事実上ノイズで、そこが気になったところです(家族制度も日本のものと違うようで、誰が誰かを正確に把握しようにも限界がある)。 総じてここでは評価は低いようですが、何らか余韻を残すタイプの映画としては良かったかなといったところです。 採点に関しては特段気になる点まで見当たらないのでフルスコアにしています。
here
自分史上no.1に何も起こらない映画「here」を軽く抜き去る退屈さでした。本当に映画は寝ないのですがこれは危なかったです。ドキュメンタリーみたいで役者がお芝居をしてないんだと思います。だから響かない。リアリティとお芝居は別物で有ることを知る事ができたのが収穫でした。
期待していたのとは違う…
もっと父と娘のやりとりみたいなものを期待していたのだけど、お父さんになかなか会わせてもらえない中での家族達のなんやかやを描くのが中心だった。 ただね、それに興味が無いわけじゃないけど、ずっとそればっかりで、いったい何を観てるのか、って気持ちにはなる。 撮影は良いし、主人公の娘の演技も上手いのだけどね…
エア・オペラ。
病気療養中の為、祖父の家にいる父トナの誕生日を祝おうと、祖父の家に母と一緒に遊びに行った娘ソルのある夏の1日の話。
父トナに久しぶりに会えると楽しみにし祖父の家に着き、パパに会いたいと言うも「夜のパーティーまでは身体を休めてるから」を理由に会わせてもらえず…。
「夏の終わりに願うこと」ってタイトルとフライヤーに惹かれて楽しみにしてたのだけれど…。率直な感想はガッツリ娘と父の物語が観たかったし、感動出来る話かと思ったら全く違った。
トナの誕生日と色んな人達が集まり出てくるのはいいけど、話があちらこちらでとっ散らかってる感じで無駄な描写で時間使ってる様に見えたかなぁ~、上にも書いたけどもっと濃い娘と父の話を期待してた。
首にマイク当てて喋るオヤジのシーンはダメだけど笑ちゃった。ラストの誰もいないベッドの描写はそういうこと!?
【”一夏のたった一日の永遠のさよならパーティー。”今作品は一人の少女が経験した一夏の一日の父親との永遠の別れを徐々に察していく複雑な気持ちを、アーティスティックに描いた作品である。】
◼️7才の少女ソル(ナイマ・センティエス)は、ある夏の一日に、祖父の家を訪ねる。だが、父親トナには"身体を休めているから。"と親類縁者に言われ、なかなか会えない。
ー この、ナイマ・センティエスと言う可愛らしい少女の、何とも言えない切ない表情に引き込まれる。ー
◆感想
・今作品は、かなり、アーティスティックな作品である。少女と父親との涙の別れを期待すると、足下を掬われると思う。
・ソルの父親のトナは、ハッキリとは言及されないが、末期癌であろう。故に友人、知人達が彼の最後の誕生日パーティーに集まったのであろう。
怪しげな祈祷師に頼ったり、トナの親類縁者の心持ちも不安定な事が、随所で描かれる。
・トナの姉妹達は、料理を準備するが、直ぐ上の姉は、ケーキを焦がしてしまったり、酔っ払ってしまい、トナの誕生日パーティーに出る事を拒否するのである。祝う気持ちになれないのであろう。
<パーティーのラスト。
父親トナは、もう望む事はないと言う。
そして、父親の誕生日ケーキに蝋燭が立てられ、ソルは吹き消す前に、その炎を凝視する。
まるで、吹き消すと父親の命が終わってしまうかの様に。
劇中に流れるのは、ゴーと言う凄い音量の不協和音である。
今作品は、一人の少女が経験した、一夏の一日の父親との永遠の別れを察する気持ちを、アーティスティックに描いた作品なのである。>
何を伝えたいか分かりにくかった…
子供が家族に会いに行く話、それだけの情報で、あらすじ読まずに観ました。 子供目線?の純粋な描写があれば、家族間の他愛ないような話が延々と続いて、 いったい何を観せられてるんだ?と思ってたら、最後は難解。 意味が分からなかったんだけど、終わってから調べてみて意味が分かりました。 ぬるく、薄く、淡々としてて、眠くなる。 ウトウトしながら観ました。 自分には響かなかったですね。 『ミツバチのささやき』や『エル・スール』のビクトル・エリセ監督っぽさを感じました。 これから観る方は、あらすじを軽く読んでおいた方が分かりやすいと思います。
正直言うと、ちょっと嫌っていた私。。
感覚として、盆や正月は自分の好みの映画があまり劇場にかかりにくい印象があります。今週は何も観ずに見送ることも考えましたが、以前、ヒューマントラストシネマ有楽町で『WALK UP』を観に来た際に気になったトレーラー、子供がメインの映画3作『SCRAPPER スクラッパー』『クレオの夏休み』と本作『夏の終わりに願うこと』。結局のところ、全部劇場で観たことになりますが、中でも本作はIMDbやRotten Tomatoesの評価も高く鑑賞前から期待がやや高めでした。なお、初日第1回目(12時50分~)の客入りはそこそこです。 と言うことで、鑑賞前にまず気になっていたのが原題『Tótem』。ちょっと調べてみると恐らくは信仰の対象のようなものであり、確かに本作でもそれを思わせるシーンや表現などが多く出てきます。とは言え、直接的にスピリチュアルなことは少なく、それぞれが生きていくための指針であったり、或いは生活そのものであったりとむしろ日常的。そして、そここそが本作の主人公である7歳の少女ソルにとっての「通過儀礼」に深く関わります。逃れようのない悲しい現実に対して複雑な心境で向き合い、そして彼女なりの折り合いをつけていく言動、或いはその様子の一つ一つに切なさを感じます。からの終盤、とあるものを強い眼差しで見つめ、そして何かを念じていると思わせるシーンはとても印象的。ソルを演じるナイマ・センティエス、とても素晴らしいです。 ただその一方、ソルに感情移入すればするほどマイナス要素も思ってしまう私。国民性もあるのかもしれませんが、もう少し病人への労りと父娘の残り少ない時間を優先してあげて欲しいと思ってしまったり。。「自分はこれだけあなたを愛しています」の表明(合戦)は尊いのですが、1時間延長してやっとこさの娘(with妻)によるメーンイベントなど、バースデイパーティー全般についついイライラを感じてしまって本末転倒に。まぁ、言い換えればそれだけ心を持っていかれているのですが、、、 とは言え、そんなクサクサすら一気に反転、ついつい微笑まずにいられないのがソルの従妹、エステル(サオリ・グルサ)。母や猫、そして祖父との絡みに思わず笑わされてしまいます。まさに無邪気とはこのことで、だからこその大人に気を使ったソルが見せる「無邪気な振る舞い」との対比としても秀逸な演出になっています。 と、レビューの途中にも「好き嫌いの範疇」にて逡巡はしたものの、結局のところキャスティングや演出諸々が素晴らしく、監督、脚本そして製作にも加わったリラ・アビレス監督、今後も注目せざるを得ないと感じました。感服。
試写会に当選して、一般公開前に鑑賞です。 7歳の女子、大好きな父に...
試写会に当選して、一般公開前に鑑賞です。 7歳の女子、大好きな父に会いたいのに、父の容態がよくなくて。 その父の誕生日パーティーを催そうと、親類一同が集まるものの。 大人の険しい会話とか、喜ばしい出来事ばかりでもなく。 主役の女子の表情の変化、すごい見ごたえでした。 原題 Tótem は、代々受け継がれるものという意味があるようですね。
別れの時
大切な人を不治の病で亡くした経験がある人ならとても心に響くと思う。 少しずつお別れの時を覚悟をして心の準備をするんだけど、そんなに割り切れるものじゃない。 たぶん劇場にいた人たちもその場に自分がいるような気持ちで見ていたと思う。 ラストのソルのあの表情がグッとくる。 配給が決まったそうですが、ぜひアヴィルス監督の第一作目も公開記念で上映して欲しいです。 一般公開されたらまた観に行きます。
情報取得はほどほどに
観る前に公式ガイドブックの作品解説を読んだが、これがまずかった… 本作は父親トナの誕生日パーティに参加した7歳の娘ソルが、それが末期ガンに侵された父の最後のパーティとなることを知るという顛末を、様々な人間模様を交えて描いている。要はそれが全部解説に書かれており、いざ観たら解説以上の出来事が起こらないまま終わってしまったからだ。 そのせいかソルの親族の複雑な人間模様に関心が持てず、終始蛇足に感じてしまった。家計を圧迫する治療費の問題や、傍目は円満な姉妹でもその実は…という描写はある意味で現実的ともいえるが、トナの死後もあの関係は改善せぬままなのかな…という後味の悪さだけが。 唯一良かったのは、ラストでの全てを悟ったかのようなソルの表情。化粧していたとはいえ、7歳とは思えないほどの色気を醸し出していてドキッとしてしまった。ただ、あの表情を観るために94分も我慢しなければならないのは酷。監督は実娘にこの作品を捧げているが、娘はこれを捧げられても困るんじゃ…と余計な詮索をせずにいられず。 ガイドブックを先に見てしまった自分が悪いのだが、かといって詳しく解説が載ってなくても、この作品を観ようと思ったかは分からない。情報取得はほどほどに、情報解禁は出し過ぎず隠し過ぎずでお願いしたいもの。
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