劇場公開日 2024年4月5日

「「Past」と「lives」の間に開く空間」パスト ライブス 再会 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「Past」と「lives」の間に開く空間

2024年4月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本日は本作公開1週目のサービスデイ。平日+荒天で客入りはイマイチでしたが、やはり作品性からいっても女性の割合が多かった印象です。
グレタ・リー、私が彼女に初めて気づいたのはAppleTV+作品の『ザ・モーニングショー(Season2以降)』。同作品の出演者として、Netflixで配信されたSAGアワード授賞式でも素敵な笑顔で参加されていましたが、本作はそのグレタが主演し、96回アカデミー賞において作品賞、脚本賞にノミネーションされていて公開を心待ちにしておりました。
まず観て思ったのは、意外なほどに韓国語がメイン言語な作品だったこと。グレタが普通に韓国語で話していたので鑑賞後にちょっと調べてみたら、グレタ自身がLA出身の韓国系移民2世ではあるものの、生まれた時からアメリカ国籍を持つ英語ネイティブ。ノラ役を演じるために相当な鍛錬を積んだようです。(この辺のエピソードはちょっと検索すると見つけられますので、興味があったらどうぞ。)
一方で役の上とは言え、ノラの相手役ヘソン(ユ・テオ)が韓国の大学で工学を学び留学までするくらいなのに、アーサーとの挨拶の際「nice to meet you」が片言なのはちょっとやり過ぎな気もしつつ、そんな彼が一人でニューヨークまでノラに会いに来るほどの切実さも伝わってきます。
106分という観やすい尺ですが、「恋愛orキャリア」と普通にありそうな話ながら、程よくドラマチックで見応えもあります。Facebookで相手を探して再会し、Skypeで昼夜問わず連絡を取り合う様子などみていると、同じ時代に恋愛をしていた40代や50代にとってはノスタルジーも感じられると思います。
そして、本編最後に出るタイトルの「Past」と「lives」の間に開く空間にしみじみと感じ入る恋愛弱者オジサンな私。ずっと煮え切らない態度のヘソンが何故今更、ノラのフィールドに飛び込もうと思ったのか。相手への未練?自分へのけじめ?いずれにしても、あからさまに「捨てきれない思いの丈」だけで飛び込んでいく「土足感」もヘソンくらいの年齢までですかね。。やはり女性監督はキツイところついてきますわ。

TWDera