「自分は何者?と悩む小さなアイトールがとても愛おしい」ミツバチと私 しのぶさんの映画レビュー(感想・評価)
自分は何者?と悩む小さなアイトールがとても愛おしい
第73回ベルリン国際映画祭で当時9歳にして史上最年少で最優秀主演俳優賞受賞の話題作。
ココ(アイトール)役のソフィア・オテロの表情・仕草がとても自然で自身のジェンダーに悩むココの存在感が際立っていた。まだまだ8歳の子どもが自分の気持ちを言葉で言い表せないもどかしさや身体の内に有るモヤモヤとした感情。そんなココに接する大人たちの戸惑いや否定や肯定。観ていて感じたことは、やっぱりヨーロッパは日本と違って人権が根付いていると言う事。日本なら「子供のくせに」「まだ子供なんだから」とか全く一人の人としては接してもらえないことも多いと思うし、私もそんな接し方になると思う。
映画の中では、大人だからと言って子供に対して一方的な物言いにはならず、一人の個人として接していることに目が行った。
大きな悩みを持った小さなココに寄り添いながら、周りの大人たちが変化していく・・ラストのベッドでの母アネの横で目頭に涙を浮かべたココが見せる表情。台詞も無いのにすべてが分かってしまうような素晴らしい演技。
ゆったりと時間が流れるスペイン・バスク地方の温かな、そして優しい物語で観た私も優しい気持ちになれた作品でした。
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