「ザ・スミスが好きならもっと加点できた」ザ・キラー kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
ザ・スミスが好きならもっと加点できた
殺し屋を描く物語もだいぶ多様化してきた。アクションよりのものやコメディよりのもの、ゆるーい日常を描くもの。本作は、地味系独白タイプの殺し屋だ。
冒頭の殺しのシーンが意外と長い。しかもほとんどが待つ時間。退屈に耐えられない人は殺し屋映画を観てはいけないってことか。
でも、その後は彼女と自分の身を守るために、各国を飛び回るあたりから面白くなる。アクションというよりも、事前の準備で彼の殺し屋としてのスキルの高さを見せていくのが特徴的。どんなセキュリティの高いところでも難なく入れるんじゃないかと思えるくらいに彼のスキルは高かった。しかもあまり特別なことはしていないんだから怖い。
これ、グラフィックノベルを原作にしているだけあって、全体的にハードボイルドな雰囲気でシブい。だから、ものすごくテンションが上がるわけではないし、ドキドキ・ワクワクもあまりない。ただ、トレント・レズナーが手がける音楽はさすが。あの不協和音が醸し出す不穏な雰囲気はさすがの出来だった。そういう意味ではフィンチャーっぽい映画ではあるが、期待値が高かったのか個人的にはあまり心に響かなかった。メインに使われたのがスミスじゃなかったらもっと高い点数になっていたかもしれない。それくらいに殺し屋のあの実直な感じとスミスの曲は妙にマッチしていた。逆にスミス好きならたまらないんじゃないかと思う。
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