世界の終わりからのレビュー・感想・評価
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何を救ったのか、救えたのか
予告編から漂う問題提起にひかれて観て来ました。この世は救うべきなのか、なくなってしまえばいいのか、結局最後までどちらが良かったのか分からなかったし、この結末は救えたのかどうか良く分かりませんでした。ユキちゃんは古のハナの姿かな、北村一輝は啓示を与える破滅の神かなくらいの事は感じましたが、結局ハナはこの世はなくなって良しと諦め、ユキだけは救ってあげたいと結論づけたのだと思います。夏木マリの役どころは最後まで理解出来ませんでした。またハナの家系が代々受け継いできたという輪廻師も理解不能。なのでなかなか入り込めませんでした。随所に色んなエピソードが溢れていて、それらも全部回収出来ていないように思ったので、もう少し丁寧に描いてくれたら良かったと思います。
設定は面白いものの、ラストの展開が腑に落ちない
訳の分からないまま人類の命運を背負わされた少女の戸惑い、不安、頼りなさを表現しつつ、それでいて、この子なら何とかしてくるかもしれないと思わせる意志の強さを感じさせる伊東蒼の演技に引き込まれる。
特に、頻繁に映し出される(ポスターにもなっている)正面からのアップの、まっすぐにこちらを見据えてくるような視線が印象的である。
すべての運命は決まっているものの、夢の解釈によって未来を変えることができるという設定は面白く、「そうは言っても、どうせ世界は救われるんだろう」といった安直な予想を裏切るラストにも驚かされる。
ただし、そもそも、具体的にどうすれば世界を救えるのかがよく分からないため、ラストにしても、少女が、あえて世界を救わなかったのか、あるいは救おうとしたのに救えなかったのかが、今一つ釈然としない。
おそらく、暴力でしか問題を解決しようとしない自己中心的な人類に絶望して、少女は、「世界を救うこと」を積極的に放棄したのだろう。
しかし、その一方で、両親に愛されていたことを知り、いじめからも助けてもらい、仲の良い男子と映画を観に行く約束もしていた少女に、世界を滅ぽす動機などないのではないかとも思ってしまうのである。
あるいは、どうせ世界を滅ぼすのなら、パラレルワールドでのハッピーエンドなど必要なかったのではないだろうか?
世界の終わりと夜明け前
輪郭はありきたりに見えるが、主人公のキャラ造形や結末への転回など面白さもあった。
正直設定は分かりづらく、まったく説明されない部分も多い。
しかしこれは主人公ハナと同じ目線であり、それもあって彼女の絶望にはとても共感できた。
伊東蒼はもとより、ユキ役の子も台詞回しは拙いながら表情が非常に上手かった。
ソラは、冨永愛のあの独特の雰囲気があってこそ行動に説得力が生まれていて素晴らしい。
しかし、演技や演出、特殊メイクなどあらゆる所が特撮っぽいというか、ジャ〇プ漫画の実写風というか。。
どことなくチープになっているのは残念でした。
また、ハナの絶望を深めるためとはいえ色々と詰め込まれ過ぎていて煩雑な印象も。
佐伯は殺されて江崎は生かされた理由も不明。(ピンピンしてたし、膝カックンされただけ説アリ)
老婆のいる地下空間など、雰囲気以上の意味がなさそうな要素も多数。
「私は愛されてた…」とか、全部台詞で言っちゃうのもいただけない。
カセットプレーヤーが綺麗すぎたり2日で家がゴミだらけになったりと、細部も甘い。
暴徒の出現自体も、本丸のハナを目の前にして老婆や江崎に群がるのも意味不明。
ただ先にも書いた通り主人公への共感性は非常に高く、響くものがあったのは確かです。
裏設定とか知れば、もう一歩面白くなりそうな予感。
想いの海
両親は既になく、唯一の身寄りだった祖母も亡くしてしまった孤独な高校生のハナ。
彼女は学校では苛められ、生活費を稼ぐのに精一杯のために進学することも諦め、人生に夢も希望も見出だせずにいた。
そんな彼女の前に突然政府の人間が現れ、彼女に世界を救う手助けをして欲しいと依頼する。
その方法は夢の内容を話すこと。
ここで冒頭の侍に襲われ両親を亡くした少女の場面の持つ意味が分かる。
ハナは夢を見る度に、戦の真っ只中にある過去の日本を舞台に、ユキという少女と行動を共にすることになる。
彼女たちは侍に襲われながら、ある手紙を祠に届けるという使命を受ける。
夢の中の行動の意味は何なのか、それが現実の世界にどう影響するのか、何故夢の内容を報告する必要があるのか、ハナ同様に観客にも情報は与えられない。
やがてハナは夢を通して過去から現実に影響を及ぼすことが出来る輪廻師の血を引いていることが分かる。
普通の人には変えられない運命を、ハナだけは変えられる可能性があるのだ。
SFの設定としては夢の中と現実の境目が分からなくなるので結構ややこしい内容ではあるが、この映画が描くのは人の想いの強さがどう世界を変えていくかだと思った。
強い想いは人を救いもするし、人を破滅に導きもする。
この映画では誰かの深い悲しみが、世界を終わりに導こうとしている。
想いは目に見えないからこそ恐ろしいものでもある。
強い想いが集まると人の感情は支配され、常識など簡単に通用しなくなってしまう。
怒りの感情に支配された暴徒の姿はとても恐ろしい。
ハナは世界を救うために身を削るが、その都度人間の身勝手さによって苦しめられてしまう。
彼女自身が人生の苦しみの中にいるために、果たしてこの世界を救う意味はあるのだろうかと考えてしまう。
一方でずっと孤独だと思っていた彼女は、両親からの愛の深さに気付き救われる場面もある。
彼女の両親は自分たちの身を犠牲にして、彼女を生かす道を選んだのだ。
幼馴染みのタケルもずっとハナに無償の愛を注いでいた。
これからも人間の営みが大きく変わることはないだろう。
不満や文句をぶつけるだけの人間もいるだろうし、自分勝手な人間もいるだろう。
しかし少しずつ人間の脳は意識のベクトルを変えつつあるのだと思いたい。
この映画が最後に込めた希望はとても優しい世界である。
たとえ争いがなくならないとしても、確実に世界が人に対して優しい方向に向かっていることを切に願いたい。
ストーリーも良かったが、この作品はキャスティングも絶妙だったと思う。
ハナ役を演じた伊東蒼は魅力的だが、決して華やかな女優ではない。
しかしそこがこの作品の世界観にとてもマッチしていたし、役に説得力があった。
彼女の表情の豊かさにはいつも感心させられる。
今後がますます楽しみな女優だ。
食わず嫌いだったんです
紀里谷作品、はじめてまともに観ました。それにこんなSF沢山見てきたし、邦画にあまり期待してないし、しかしこの作品好きです、よくできてる、細かい箇所の指摘はしません。キャスティングも素晴らしい。未来のAIの声はピース又吉さんかな。余談ですがその昔、岩井俊二作品『スワロウテイル』知人に「騙されたと思って観て!」と言われ観たら…良かったんです…。同じ気分です。
私はすごい作品だと思います。
設定や世界観、タイトルなど、今まで聞いたことはなくはないというのが第一印象でした。
ですが、物語の終盤で自分の先入観に騙されていたことに気づきました。
これは今までより一歩先に進んだ、新しい展開を観せられているんだ、と。
観終わってみれば、タイトルもこれでいいんです。
SFなのか、社会風刺なのか、私小説なのか、全てが織り交ぜられて物語は進んでいく。
SF映画としても俊逸なストーリーであり、一人の主人公の人生としても語られる価値のある物語。
地味なようで実は新しい。そう意味では損をしている気はします。
形としてはハッピーエンドになっていますが、ホントにそうか!?と考えさせられてしまうのも監督さんの思惑なのでしょうか。
クリエイターとしての監督さんの個性がにじみ出ている作品だと思いますが、僕は万人受けするものよりも、こういった作品の方が好きです。
できたら何度も観に行きたいのですが、隣の県まで高速を使って行かなければならない。
上映映画館も少なく、パンフレットもない。
もっと、多くの人のレビューを読んだり、雑誌の記事をみたり、製作者の想いを聞きたい作品です。
冨永愛さんは言うに及ばず、夏木マリさんがカッコよかった!毎熊克哉さんはイケボだし、伊東蒼さんの迫力はすごかった。
この映画を応援してくれたキットカットを私はこれから応援していくことにします。
観たことのない世界
主人公のハナちゃんと一緒に訳の分からない世界に放り込まれる。
観たことのない世界、途中からあれ、アニメにした方がよかったんじゃないかなとも思ったけど、最後まで飽きることなく楽しめた。
紀里谷監督作品に対しての先入観がないと言う先入観を持って?観に行ったのでハードルが上がってしまったけど率直に言って面白かったです。
湯を沸かす、空白、と(佐藤二朗のは観ていない)名演を見せてくれた伊東蒼が主役。世界最弱のヒロインを演じてまた魅せてくれる。
朝比奈彩ってあんなにカッコ良かったっけ。
伊東蒼をアイシタイ
いわゆる"セカイ系"ディストピア作品であり、紀里谷監督の世界観がアンゴルモアの如く、降り注がれる作品である 冒頭のモノクロシーンも、監督作品『キャシャーン』のような、白黒の中にゴールド感が散りばめてある色彩を採用しており、こだわりを十二分に発揮されている 自分は、世間の評価より『キャシャーン』の世界観が大好物であったし、何より、大変努力されている姿勢にも感銘している 以前、ある映画館で監督が所構わず観客に名刺を配って歩いていて、プロモーションにもおざなりになっていない人柄に素晴らしさを感じたほどである
そして本作、兎に角、主役の女の子の八面六臂な活躍が目を惹く まるで演劇のような感情剥き出しの演技で、この世の理不尽さを一心に背負った役柄は、彼女以外に出来ないのではと唸る程である
素早いカットの連続は好き嫌いがハッキリするだろうが、逆に言えば監督の親切心と捉えてもいいのではないだろうか? その他もどこかで観た映画作品のオマージュも散りばめられいて、これも又賛否両論だろう
只、それをどう捉えるかは、最初から否定的に捉えている人達からすれば益々神経を逆撫でするだろうが、ストーリーそのものを肯定的に捉えている人は監督の可愛さが滲み出ていると感じるから、まぁ、これも現代病である"二極分化"なのかもしれない
物語そのものはハッキリ言って"中二病" でも、自分も未だに引き摺っている未発達な人間だから、このどうにもならない閉塞感は浸っていたい内容である 但しこれではマズイと思ったのか、結末のオチは、日和ったかなぁと思ってしまったのも愛嬌であるかw
自分はペシミストであり、経済的弱者であり、活力に乏しい人間だから、最後に主人公の選択が痛いほど分る
そんな彼女に唯一実現出来たモノは幼馴染みの男の足を治したこと・・・ それと引替えの地球滅亡なんて、充分、面白いじゃないか
絶望を娯楽に昇華させた傑作
素晴らしい傑作。
紀里谷和明監督の強い想いを
深く没入出来る娯楽に昇華させる手腕。
タイトルからアート作品のような
作家性の強い表現を想像していましたが
娯楽として色々な視点で楽しめる
素晴らしい作品でした。
学校と世界。
過去と現在と未来。
絶望と希望。
終始感情を鷲掴みにされました。
終末を背負わされる女子高生を演じた
伊東蒼も素晴らしかった😭
キットカット買って帰ろう。
力作だと言うのは理解してます
紀里谷和明の最後の作品とのこと。日本映画界では奇才ってことになるんでしょうか。キャストは結構な豪華布陣です。話題性より実力重視の伊東蒼起用。カメオで岩井俊二が登場したりしてます。真面目に時間を掛けて撮ってます。色々とチープ感はあるけれど、ちゃんと知恵を出して工夫して頑張りました、なロケーションだったりセットだったり。すごくポジティブに感じる点が多いということは、最初に言いたい。
けれどけれどけれど。
微妙過ぎだす。とにかく、微妙w
まんずですよ。テンポ悪すぎですよ、長すぎますよ、枝葉が太すぎですよ、その枝葉に時間かけすぎですよ。もう、たるいったらありゃしない。
物語の方も、訳が分からんです。世界観が特殊すぎかも知れません。そもそも設定が2030年と言う、微妙な10年以内の将来になっている理由も分からない。ユキはアイヌっぽい、いや中国とかタイの少数民族っぽい恰好してるんですが、戦国落ち武者みたいなサムライが表れて無差別殺人なんかやってます。どうやら、これは「戦」らしいです。我が国の邦画界によくある、イメージだけからの設定。そもそも、ユキの世界は、同じ次元なのかと言う話であったりしますが、ここも微妙にゴマカシが入ってそう。から、いきなり2030年の世界で「祠」が発見されたりする。
さらにさらにさらに。
これが未来と一続きに繋がってたり。一人だけの地球人類が、どっからともなく、何の前振りもなく、伏線もなく、いきなり表れて救世主。ん?いや。救世主と言えるかどうかは微妙なんだけど、まぁ、そういう設定。
グダグダ過ぎるわ、これ。
生きる意味とか、勇気をもって戦うんだ!とか、世界を愛して。とかとかとか。
そんなんを言うがために、壮絶なハチャメチャお笑いSFにしてしまったエブエブは、ノリノリで楽しめたんですが。これは、なんかテンポ悪すぎ、暗すぎ、深刻感が仇となり、全く楽しくなかったし、ほぼ全く沁みるものもありませんでした。このテーマと流れから、2作品か3作品に切り分けることはできなかったんでしょうか?
唯一。
トンネルの中から手を振る「無限」と「輪廻」、と言う画はジーンと来ました。
それとですよ。
一時期、「全面核戦争」と言えば、世界が焼き尽くされる・人類絶滅、ってのが当たり前でしたが。
リアルには、そんなことにはならない訳で。
そもそも大陸間弾道ミサイルは発射準備に時間がかかります。燃料注いだ状態で、スタンバってるのは全体の10%未満。核弾頭もメンテが必要。敵地攻撃する標的は、敵のミサイルの方が人口密集地よりも先。よって、核ミサイルのほとんどは、発射前に敵の手によって破壊されます。世界レベルで、核爆発による直接の犠牲者は、最大3億人以下。日本も2,000万人だって言われてるしね。お。コレは米国が中朝露の核ミサイルを破壊してくれるという前提のもとの話です。よって、リアルには、あんなことにはなりませんし、2030年まにでにはわが国独自の、米国に頼らない敵基地攻撃が可能な装備が配備されているでしょうから、最悪数万人、ってところじゃないでしょうかね。
と、無駄なツッコミを心の中で入れながら見てました。
(先行上映につき一律ネタバレ扱い)正直???ワールドで何がなんだか…。
今年114本目(合計765本目/今月(2023年4月度)9本目)。
大阪のt-joy梅田(旧ブルク)でやっていたので見てきました。特に「地元枠」(ここでは大阪)ということではないようです。
正直一言でいうと「???で評価ができない…」というくらいです。
このように(何らかの理由で)先行上映でも1000円で見ることができますが(お体が不自由な方の扱いのため)、さすがに途中で出ようと思ったのですが、この映画、上記のような理由があったため、いわゆるマスコミを挟んだトークショーか何かがあるのであれば失礼だし(実際にはなかった…)、2時間20分頑張ってみました。
映画内で何を言いたいのか本当によくわからず、
・ 昔の時代(江戸か室町かそのあたりが想定される)の話
・ 現在の話(大半はここと上記の交互の描写)
・ よくわからない占い館か何かの話
・ (2030年という設定のもとで)支離滅裂な行政の暴走(行政手続法を無視する等)
・ 高校でのいじめの話
・ 不適切なSNSの利用法に関すること
…等が論点になってきますが、どれもが中途半端に出る上に何も注意書き等ない上(特に適正なSNSの利用法やいじめについて)、正直何が「映画の主義主張なのか」という点が正直はっきりしないところです。あえていえば「輪廻転生ではなかろうか」と思うのですが、この輪廻転生という語句も明確には出ません(特定の宗教に関する文脈は出ません)
ここまで「何がどうなっているかよくわからない」のも久しぶりな気がします。
ただ、監督の方も本作で7作品目ということもあり、「独特な色を出した」のは理解でき(往々にして新人やそれに準じる(概ね5回くらいまで)方は、時々エログロに走ることがあるので)、それ自体は理解できるのですが(一応PG12扱いですが、一部に不穏当な発言があることが影響していると思います。少なくとも「積極的な」違法行為の助長行為を描写しているシーンはない)、正直「何を言いたいか本当にわからない」点は言えます。正直感想を書き込むサイトなのに「感想を書けない」のも珍しいです。
評価は以下のようにしています(3.8を4.0まで切り上げています。3.5か3.0か迷いましたが、「積極的な悪意に基づいて意味不明」とまでは言えないことも考慮しています)。
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(減点1.2/映画の趣旨がよくわからない)
・ おそらく「輪廻転生」がテーマではないか…と思うのですが(この語句は明示的に出てこない)、そうかと思えば突然「暴走しまくった行政」が出てくるかと思えば、いきなり室町か江戸か何かの世界に飛んだりと、「何がどうなっているか」理解が一見して理解が困難です。
ただ、「理解がきわめて難しく映画のメッセージ性が何かわからない」だけで、他人を不愉快にするような発言その他はないので(ただ、不適切なSNSの利用法については一言ちゃんと書いてほしかった)、「超甘めにみて」この採点としています。
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