「【“例え明日世界が滅びるとしても、今日貴方はリンゴの木を植える。そしてこの世界を愛したい。”今作は紀里谷監督が様々なバッシングを受けながらも、世界に絶望しない決意を描いた終末からの再生の物語である。】」世界の終わりから NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【“例え明日世界が滅びるとしても、今日貴方はリンゴの木を植える。そしてこの世界を愛したい。”今作は紀里谷監督が様々なバッシングを受けながらも、世界に絶望しない決意を描いた終末からの再生の物語である。】
ー 今作は、邦画では珍しい、紀里谷和明監督自身が書き下ろしたオリジナル脚本による近未来SF映画である。ー
■交通事故で両親を亡くし、生きる希望を見いだせずにいる女子高生シモンハナ(伊東蒼)。
ある日、彼女の前に政府の特別機関を名乗る男エザキ(毎熊克哉)が現れ、ハナの見た夢を教えてほしいと頼まれる。
混乱するハナだったが、その夜奇妙な夢を見る。
そこは、モノクロームの世界で残忍な男(北村一輝)達が村人を殺戮する夢であった。
だが、一人の少女ユキはそんな彼らに勇敢に立ち向かっていたのである。
そして、目を覚ました現代では、ハナを悪辣なる手段で苛める同級生達や、SNSで罵詈雑言を垂れ流す愚かしき男達が蠢いていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤は、ディストピア風合を濃厚に漂わせつつ、物語は進む。
・そして徐々に、エザキが極秘裏に世界を救うために、ハナに接触して来た事が分かって来る。ハナは未来が見える血を引いた人間の娘であることも、後半に明かされる。
・ハナを守る女サエキ(朝比奈彩)に助けられながら、彼女は老婆(夏木マリ)に世界の行く末を告げられながらも、老婆の言葉を信じようとする。
・だが、現実世界の絶望と混沌と、自身の孤独に打ち負かされつつあったハナに勇気を与える少女ユキの存在など、独特の不思議な世界観に引き込まれる。
■エザキもサエキも、愚かしき首相を狙う官房長官(高橋克典)や、残忍な男達に斃されるが、ハナは必死に生きようとする。
が、世界の滅亡は近づいていて、彼女はカセットテープに吹き込んだ”願い”をカプセルに入れ、幼馴染のタケルが観ている中、地中に埋めるのである。
そして、時は流れ荒涼とした地球に降り立ったソラ(富永愛)は、そのカプセルを掘り出し、過去の時を変えるためにカプセル状の宇宙船に乗り込むのである。
<今作は、邦画では珍しい紀里谷和明監督自身が書き下ろしたオリジナル脚本による近未来SF映画である。
中盤まではディストピア感が溢れ、ハナも世界を救う事を諦めかけるが”過去の人間の想い”が詰まった本を老婆に提示されたりし、世界を救うためにある行動に出るのである。
今作は、一見、難解に思えるかも知れないが、良く観て居ればストーリー展開はシンプルで”この世界を愛したい”と言うハナの言葉に代表される紀里谷和明監督が発信するメッセージもキチンと伝わって来る作品である。>