「設定は面白いものの、ラストの展開が腑に落ちない」世界の終わりから tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
設定は面白いものの、ラストの展開が腑に落ちない
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訳の分からないまま人類の命運を背負わされた少女の戸惑い、不安、頼りなさを表現しつつ、それでいて、この子なら何とかしてくるかもしれないと思わせる意志の強さを感じさせる伊東蒼の演技に引き込まれる。
特に、頻繁に映し出される(ポスターにもなっている)正面からのアップの、まっすぐにこちらを見据えてくるような視線が印象的である。
すべての運命は決まっているものの、夢の解釈によって未来を変えることができるという設定は面白く、「そうは言っても、どうせ世界は救われるんだろう」といった安直な予想を裏切るラストにも驚かされる。
ただし、そもそも、具体的にどうすれば世界を救えるのかがよく分からないため、ラストにしても、少女が、あえて世界を救わなかったのか、あるいは救おうとしたのに救えなかったのかが、今一つ釈然としない。
おそらく、暴力でしか問題を解決しようとしない自己中心的な人類に絶望して、少女は、「世界を救うこと」を積極的に放棄したのだろう。
しかし、その一方で、両親に愛されていたことを知り、いじめからも助けてもらい、仲の良い男子と映画を観に行く約束もしていた少女に、世界を滅ぽす動機などないのではないかとも思ってしまうのである。
あるいは、どうせ世界を滅ぼすのなら、パラレルワールドでのハッピーエンドなど必要なかったのではないだろうか?
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