「もう少し何とかしてくれたらもっと…」宇宙人のあいつ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
もう少し何とかしてくれたらもっと…
つまらないわけではない。それなりに面白く観た。しかし、多くの方が指摘しているように、もう少し良くできたのではないかと感じずにはいられない。
どうすればいいのか分からないがあと一歩という作品はよくある。それが何なのか分かれば映画プロデューサーか監督になる。つまり一映画ファンでは分からない「何か」。しかし、この作品についてはそうではない。改善できそうなところがたくさんありすぎるのだ。
こうしたらいいと改善点をあげている方々の言っていることもバラバラだ。違ったことを言いながらそのほとんどが一理ある。そんなことってあまりない。
それだけこの作品にブラッシュアップ不足を感じてしまうのだ。
飯塚健監督の「FUNNY BUNNY」の時ような巧妙さが圧倒的に足りてない。
例えばまず、中村倫也演じる日出夫が土星人である必要性があまりない。彼が宇宙人でなかったとしても物語のほとんどが成立してしまう。
逆に宇宙人で、帰ることを前提とした家族の物語にしたいのであれば、最期の数日までの23年間は何をしてたんだという話になる。宇宙人であることをカミングアウトしたからといって何か変わったとは思えないのだから、カミングアウトしたあとの数日だけで物語が動くことに違和感がある。
基本はユルユルなコメディなのかもしれない。そこそこ笑えたと思う。
それでも兄弟3人分の問題全てを描くのはちょっと冗長だった。
常に笑えるわけではないし、それなりにシリアスな問題も含んでいるのだから、描くのは長女のことだけで足りたようにも思える。
最終的に誰も連れて行かないことはオープニングで明かされるわけだし「誰を連れて行くのか」のミステリー的な要素のための描写は不必要だ。
文句ばかりを書いたが、全く駄目というわけではない。ユルく観たい時には逆に充分ともいえる。
映画的にはイマイチでも、どハマリして絶賛している人の気持ちも分かる。