「独特の世界観と、今泉ワールドの融合」アンダーカレント ひでぼーさんの映画レビュー(感想・評価)
独特の世界観と、今泉ワールドの融合
今泉監督作品、『ちひろさん』に続き今年二本目。
最初のカットでなんとなく雰囲気がわかる。
なんだかわからないまま進むが、途中から事件が絡んできたり、過去や思いの開示がすぐに連れて、この作品のテーマがわかってくる。
原作があるからか、思ったよりはストレートに伝えてきたな、と印象。
水が重要な役割を果たしており、それをサポートする幻想的な音楽も世界観へ引き込む大事な要素になっていた。
今泉監督といえば、日常描写とクスリと笑うシーン。それもちゃんとしっかり入っていた。
ただ、真木よう子がどうしても、漫画の登場人物を演じているようで、「日常」感がいまいち感じられなかったのが正直なところ。複雑な役どころで難しかっただろうが、芯が強そうな女性という見た目しかハマるところがなかった。
作品の大半を彼女がしめるため、絵面的に惹かれなかったが、その違和感こそが狙いなのかもしれない。
脇を固める俳優陣はなかなか。井浦新ほ毎回似たような落ち着いていて秘密を抱えている役だけど、期待通りの演技。
リリーフランキーは一瞬で作る空気感、康すおんは初めて見たけど、役柄どおり、なかなか粋な演技で魅力的だった。
話の展開も面白かったが、誰しも思い当たる節があるテーマで、自分に当てはめて考えてみたくなる映画だった。
けど、漫画っぽさとわかりやすさは否めなかった。
2023年劇場鑑賞96本目
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