「TVアニメを観てると分かりやすい作品」大雪海のカイナ ほしのけんじゃ ぎちょーさんの映画レビュー(感想・評価)
TVアニメを観てると分かりやすい作品
TVアニメの続きなので映画から観ると前提が良くわからないから、分からない作品かと思います。
シドニアの騎士もそうですが、クライマックスは映画でという作りにしているので、TVアニメ放送時から映画前提で話が展開していきます。
なので、TVアニメを鑑賞してから映画を鑑賞した方が、より楽しめる作品になっています。
ただ、映画自体も分かりやすいので、知識がなくても、そこそこ楽しめると思います。
あとカイナの物語のクライマックスを100分の中に良くまとめたなという印象ですね。
天膜で覆われているため星も見えないというのがTVアニメのクダリで出てきますが、それはテラフォーミングのため、有害な宇宙線などを遮断する役割を天膜が果たしていたこと、虫は天膜の補修役なので軌道樹を傷つけようとすると守るために襲ってくること、天膜が破れてきたとのクダリは地球化が終わったことを告げていたのだとラストでハッキリ分かります。
また、地球または地球から移民した惑星発の移民船が、この惑星に到着しテラフォーミングする中で文明が衰退していったこと、移民船の遺物が賢者の時代のものとして残り、カイナの時代ではオーバーテクノロジーとして扱われていることがハッキリ理解できます。
あと、軌道樹の花?から、白い物体が放出されるシーンがTVアニメではあり、それが地上に降り積もって雪海になる。雪海には浮力がないため、落ちると、どこまでも沈んでく。つまりは、地球の海水とは違うことが分かります。
この雪海が実は一番のミソで、年々水位が上がっているため、追い立てられるように人々は上へ上へと建物を増築しているとTVアニメでは語られています。
つまりは、雪海がある一定量貯まると地球化に必要な要素(海と大気)が揃うということ、それが揃えば天膜と軌道樹は役割を終えるので不要になることも分かります。
ヒカリは、地球化が完了した時に命令者からシグナルを受けて最終的な作業(雪海を大気と海に変換する)をする鍵であったことは分かりますが、ピュアな心を持つカイナとリリハしか見えないトリックは、最後まで不可思議でファンタジーだったものの、SF作品としては面白かったと思います。
最後のリリハとカイナの結婚式?のときも、アメロテが鎧の上からオシャレなマント?を纏ってたのはほっこりしました。あの鎧も遺物だったのは驚きでしたが最後くらい脱いでも良かったかも。
あとは、オリノガがアメロテをナンパして、アメロテも満更でもなかったので、その後がどうなったのか少し気になりました。
はっきり描かれてませんが、カイナとリリハは相思相愛なので分かりやすい結末でしたが(笑)
アニメも含め全体的に爽快感が残る作品かと思います。
ちなみに、『播種』という単語や『地球化』という言葉が『権限者の部屋』で表示されるので、シドニアの騎士と並走した世界なのか、シドニアの騎士で最後に飛び立った舟(シドニア)が辿り着いた先の世界なのか明確ではないですが繋がりを感じました。