ピアニストを待ちながらのレビュー・感想・評価
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不在と無人は違う
そこに居ない人を想う。…JT。(違う)
オープニングが終わると、空調の音すら気になる無音の中、瞬介が目覚める。
驚きも戸惑いもないまま出口を探す違和感はあれど、雰囲気だけはある導入だった。
しかしそこから最後まで雰囲気だけ。
わざとだろうが、終始演劇的な動きや台詞回しなので、どこまでが劇中劇なのかが分かりづらい。
台詞の内容も演劇的なのか、詩的なのか、哲学的なのか…
結局あそこがどういう場所で、彼らがどういう存在で、何故彼らがあの場所にいるかなどはすべて不明。
行人が瞬介と貴織を恨んでいたとは?
演劇をやることについては、そこに意味があるかとか何のためにやるかがテーマに繋がるのは分かるが。
全部思わせぶりに並べて放り投げられた。
立ち位置や上着の有無などカットが繫がってなかったり、貴織だけ衣装が変わることに意味はあるのか。
いくらでもボカせるのに、コロナやスマホで時代を特定する意義は?
行人の死はまだしも、絵美さんのシングルマザー設定はどこかに効いていたのか。
単に登場人物が意味不明な状況に置かれたり、観客が理解不能なものが『不条理劇』ではないと思うが。
ボブ好きの自分にとって、木竜麻生が素敵だったことだけは収穫。
希望を持つ事が決断先延ばしの言い訳になってないか?
哲学的な話、、、に見えるだけ。
ヘンテコだけどクセになる
正解を求めず自分であれこれ考えて楽しみたい人におすすめ
鑑賞直後はナゾが多かったけど、よく噛んでから消化していったらいろいろな解釈が出てきて、面白い作品だと思いました。
すぐ答えを求める人にはわかりにくいかと思うが、自分で作品を調理して味わいたいタイプの人には結構おいしくいただける作品だと思います。
世の中は結構不条理なことは多いし、SNSの世界は狂気だらけ。
多くの人が顔面とスマホの短い距離のだけの世界に入り込んでいる現代、肉体全体を使って自分の意志や感情を表現することはあるか、という問いかけをストーリーに潜ませていると私は解釈しました。
また、舞台となった早稲田大学の村上春樹ライブラリーがかつて学生運動時代にどういうことが起きた場所であるか知っていれば、劇中やエンドロールにかすかに聞こえてくるシュプレヒコールの意味もわかってくると思います。
あと図書館という場所から、人それぞれに人生=ストーリーがあるということも暗喩しているのかと思いました(これも私個人的な解釈)
鑑賞後、作品を振り返ってあれやこれや妄想する楽しみ、余白がある作品。
観た人それぞれ十人十色の解釈があっていいと思いました。
秘密の儀式
タイトルなし
久々に映画に振り回される体験をしました。
こういうのが自分が「映画」と呼んでたものなんだけどな。
今年映画館で初めて脳みそ使ったかもしれない。
「関心領域」みたいな事なのかな。自動ドアを開けると早稲田の運動の音が聞こえてくる、という。
お芝居が"演劇的"と"日常的"を分けられればよかったような気もするし、故意に全て"演劇"なのかもしれない。
ルックが美しいカット連発。長い移動のカットが見たかったなあ。
主役の顔を捉える事を避けて話を進めていたらどうだったんだろう。
やっぱりカタルシスが欲しいな。
何にせよ、映画見て久々にこれだけ思えた時点で「映画」をちゃんと見ました。
世の中 理解とか共感とかばっかりで、俺はもうお腹いっぱい。映画は芸術だもの。
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