「まぁ、趣旨的に実話というのがすごいですね。」ブルドーザー少女 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
まぁ、趣旨的に実話というのがすごいですね。
今年288本目(合計938本目/今月(2023年8月度)27本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))。
映画館の説明にも「韓国で実際に起きた出来事をモチーフに、社会への怒りを真向から描き切った話題作。」とあるように、ある程度は変えてあるとしても趣旨として同趣旨の事件が起きていた、というのは驚きでしょうか。
もちろん、日本においても韓国においても法による適切な裁き(換言すれば、私人自力救済は原則認められない)のが妥当だとはいえ、映画ですのである程度誇張して描かれているんでしょうね…(このブルドーザーうんぬんの部分も本当だったりして?)。
まぁどちらにせよ、出てくる人みんな変なので(いきなり地区選か何かに立候補するあの人やら、競馬で負けて…といった方々)、ブルドーザーにのるかは別にしてもそりゃキレるよなぁ…というのは思ったところです。韓国の警察も一体何をやっていたんでしょうか…(監視カメラがない等と言っているあたり。この映画は2021年の作品です)。こんな感じなので、法の趣旨としては許されないもののブルドーザーによる反撃が始まってしまいます。まぁこりゃ「みんなやることが無茶苦茶なので仕方がないですね」になりますね。
※ 韓国にも競馬はありますが、すべていわゆるダート競走です(芝競走という概念はない/←地方競馬でよくみられるものが主流)。そういえば序盤にちらっと「野球くじ」もうつっていましたが、日本でいえば(サッカーの)totoか何かにあたるんでしょうか?
法律ワードこそどんどん飛んでくるため、法律系資格持ちとしてはそれを主軸に見なきゃいけないのですが、この映画の一つのポイントになる「お店の乗っ取り」について、民法186条(日本民法177条/不動産に関する物権の変動の対抗要件)や、不動産登記法、商業登記といった「登記」の話は出てこない(日韓で若干異なるが、主な点において異なるものではない)ので、ストーリー的に???と思いきや、「そりゃ同時履行の抗弁権」でしょ」と思えるようなシーンや、明確に法上アウトなのに何もしないシーンがあったり(スマホを故意に壊す行為。不法行為を構成します(日韓共通))、日本と韓国は民法体系が似ますのでので、これらの法律ワードならぬ「法律アクション」はどんどん出てきても「訴えてやるからな」は一切出てこない割に、最後の「ブルドーザー運転による逮捕だけ」は(さすがに警察がきて)やってくれるという、妙に変な映画だったりします。
この映画は法律ワードや法律アクションがどんどん転がっているところ、それをいちいち民事・刑事で問題にするとストーリーの趣旨が損なわれるのでほぼスルーされている模様です(上述のブルドーザーの勝手な運転除く)。
まぁそれもそれでバラバラ過ぎるなぁ、とは思ったものの(ただ、映画の趣旨的にそっちに寄せると、(韓国ではなく、日本の)法律系資格持ちではどうしようもない)、それらをカットしまくった結果、まさか「いくら怒っても他人の家をブルドーザーなるもので壊さないようにしましょう」という珍妙すぎることを伝えたい映画だというのも無理がありすぎるので、「やや」変な映画だな…というところです。
採点に関しては下記を考慮したものです。
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(減点0.3/「保証人なんだから」というところ)
・ いわゆる金銭貸借の(単純)保証人には検索の抗弁権ほかがありますので(日韓共通)、ここは「連帯保証人」というのが字幕上正しいです(ただ、この映画、上記のように法律ワードや法律アクションが多すぎる割に驚くほど裁判所ほか何も出てこないので、どうであろうが何の関係もない)。
(減点0.1/「標準約款に従って…」 ※ 「約款」には字幕上フリガナあり))
・ この映画、妙にざらついていて1970年代か80年代かのリバイバル上映か??と思うと、作成年は2021年のようです(エンディングロールにて)。23年時点で「日本で」見る場合、ここは「定型約款」が正しいです。
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