シモーヌ フランスに最も愛された政治家のレビュー・感想・評価
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人の尊厳を守る。そのことに感動しませんか。
敬愛する哲学者、重力と恩寵のシモーヌと勘違いして見に行った。チラシとかポスターとか見て肉付きのよい堂々たる欧州議会のシモーヌ、なんか違うなと思ったがやはり違っていた。
それはともかく、ヨーロッパには立派な女性政治家がいてもうその方たちの数と質がかなり重層になっており日本とはジェンダーに関する基盤がかなり違う。
女性であるだけで、今もまだまだ日本では変わらないが、大きなハンディ、偏見がある中、化学の道を「家庭に入って」諦めた母親につよい影響を受けたシモーヌ。勉強して職業をもつことを諦めない自立することそして人に優しく接することを苦しみながら亡くなるまで身をもって教えた母。
若くして結婚しさんにんのこどもを持ち、しかもその前にショア、死の行進を生き抜き、凄まじいパワー、意思の力で法律家となり、フランスやアルジェの刑務所などを改革していく、議員外大臣となりフランスで人口中絶を合法化し、エイズ支援の国際フォーラムを作り、、、、、
アウシュビッツに痛みをともないながらも、子どもと孫を連れ再訪するラスト。
とにかく、刑務所で収容者はテロリストや犯罪者だとして、不衛生医療もない収容状態、これをまずは人として尊重し相応しい環境に整えたいと、上司に訴え流。そのこと、その提案に、感動しませんか?と問うのだ。
そのような大切な仕事が忙しくますます忙しく子どもとの時間が持てないことが夫婦の問題となったとき、子どもはシモーヌに、お母さんといられなくて辛いとは言わず、誇りに思っているよ、というところ、ぐっときた。夫の理解と支えがあればこそのここまでのシモーヌのキャリアでもある。
ナチスと戦った地下抵抗、レジスタンスは誇るがフランスも占領後はナチスに協力してユダヤ人が逮捕されていたこと、そのことは戦後はフランスではタブーとなりレジスタンスのように表立って証言したり話したりできなかったこと、ショアでは遠くリトアニア、ラトビアまで収容所があり連れて行かれたことなど知らないこともたくさん学べた。
日本の入管や刑務所やそもそも警察署内にある拘置所
とかその辺りの行政の人にも見ていただきたいと思った、
これだけやっても、まだまだと思うシモーヌ。我わ日本にいるものはまだまだまだまだどのくらいやればよいのか。でも小さなことから少しでも、人がみな等しく尊重された生活を送り大切にされるよう、するよう、そのためにできることを一人ひとりコツコツやっていくしかない。
字幕は文字数の制限もあるだろうが、子どもは子供と表記しないでほしかった、
ロングランでやってほしい映画、多くの人に見てほしい映画、議員政治家や公務員はみな見るべき映画ではないかな。
1974年、フランス・パリ、国会では人工中絶合法化の法案審議の真っ...
1974年、フランス・パリ、国会では人工中絶合法化の法案審議の真っ最中。
カトリックの議員が多数を占める中、法案を通そうと頑張っているのは、健康保健大臣シモーヌ・ヴェイユ(エルザ・ジルベルスタイン)。
彼女はユダヤ人ホロコーストの生還者で、常に、主流社会から顧みられることの少ない社会的弱者の立場を考えて行動をしてきた政治家だった・・・
といった内容で、映画は3つのパートに分かれています。
ひとつは、第二次世界大戦下、ユダヤ人迫害に遭った時代。
もうひつは、自伝を書くために半生をふりかえる最晩年。
そして、第二次世界大戦後から20世紀末までに至る時代(これは、いくつかの短いエピソードが綴られていきます)。
ただし、映画はそれが時代順に並んでいるわけでもなく、最晩年から振り返るという態でもないのが、観る側としては、やや混乱するところ。
もっとも重きが置かれているのは、第二次世界大戦の時代で、まぁ、映画としては、ここに力点を置くのは致し方ないところ。
冒頭で描かれる人工中絶合法化法案も予期せぬ妊娠、望まぬ妊娠を強いられた女性たちを救うためのものなのだが、その後もシモーヌは、薬物依存症者やエイズ罹患者など、主流社会から白眼視されるひとびとの人権を守ろうと活動をする。
主流社会からはみ出てしまったひとびとの人権を大切にしないのは、権力を持った主流社会側の傲慢であり、その傲慢さは暴力へとつながり、最終的には第二次大戦下での迫害へとつながる、根は同じものなのだ、と。
そう、シモーヌを通して見た第二次大戦後のヨーロッパ史でもあり、「わたしたちはこのような時代を生きてきた。君たちはどう生きるか」と問う映画でもあります。
そういう映画なので、ぜひ、若い人たちにも観てほしい映画ですね。
演出では、ワンカットの(ややフワフワした、流れるような)長回しが多く、なんだか褒められないなぁ、なんて思ったのですが、「個人の記憶の積み重ねが歴史になる」というモノローグもあることから、記憶の途切れなさを表しているのでしょう。
きちんとしたカット割りは、すでに定型化された歴史、個人から遠く離れた歴史、と監督はみているのかもしれません。
シモーヌ役は、第二次大戦時の十代後半から中年期までをレベッカ・マルデールが、中年期から晩年までをエルザ・ジルベルスタインが演じており、両女優とも力演・好演でした。
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