「悲しき運命」ジョン・ウィック コンセクエンス サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しき運命
大好きで止まない、キアヌ・リーブス主演のジョン・ウィックシリーズ。これまでは、ジョナサンが完全なる主人公としてストーリーが展開され、通称・ガンフーと呼ばれる銃とカンフーを掛け合わせた殺戮シーンが、あまりにも美しいと話題を呼んでいた。本シリーズは低予算で始まっており、1の世界的大ヒットにより、毎度の如くスケールをアップさせながらも、1を忘れないキアヌとスタッフの思いがファンの心を鷲掴み。そんな映画シリーズも、気づけば4作品目。実は、映画館で見るのは初めてということで、かなり期待してこの日を待っていた。
というのも、本作ではキアヌ・リーブスを初めとする、アクション好き、映画好きにはたまらないキャストが勢ぞろい。我らの真田広之、現代のカンフースター・イップマンことドニー・イェン、そしてペニーワイズでお馴染みビル・スカルスガルド。この面々が同じ映画で会話をしていると言うだけで、脳がショートしてぶっ倒れそう。予告公開時にたまらなく興奮したわけだが、それがついに劇場で見れるという幸せ。本当は公開日に見たかったのに、時間が合わず断念。日をずらしたからには、もちろんIMAXです。お待たせしました、ようやくレビューに入ります。。。
お分かりの通りです。
何なんですか、今年2023年は。「Babylon」「Dungeons&Dragons」「The Super Mario Brother movie」「Guardians Of The Galaxy Vol.3」「FastX」「Indiana Jones and the Dial of Destiny」「Mission: Impossible – Dead Reckoning Part One」、そして本作「John Wick: Chapter 4」と、洋画大作が面白過ぎる。1年でこんな贅沢、あっていいのでしょうか。いや、勿体ない。4年くらいに分けて欲しかった。感動と興奮が消化しきれない。今年のランキング、付けろという方が無謀だ。
まず、声を大にして1番に言いたいのが、
〈〈〈 大阪の描写、良すぎ!!!!! 〉〉〉
他国が日本を舞台とする場合、大抵ダサくて品がなくて、やたら滅多らなチャンバラになりがち。だけど、本作の日本はビッッックリするほど美しいし、同じ日本なのに、知っている街なのに、照明・美術・カメラワークのおかげで、見ていて信じられない高揚感が得られた。日本語カタコト野郎がいないのも最高。というか真田広之、腰抜かすほどカッコイイ。大阪を舞台にして、見たかったものを期待以上に実現してくれたし、ただの観光ムービーに収まらず、ストーリーにおいても重要なパートとなったことがシンプルに嬉しい。ジョン・ウィックと島津の会話もいいし、親子の会話も染みる。もう、この時点で星5では物足りない。
キアヌ・リーブス×真田広之がまさかの前菜。メインディッシュとデザートには、ドニー・イェンとビル・スカルスガルドが待っている、胃もたれで2日はダウンしそうな豪華ディナー。これまた、ドニー・イェンも足をじたばたしたくなるくらい最高なんだよなぁ...。彼が演じたのは、盲目の元殺し屋・ケイン。このキャラクター自体ジョン・ウィック史上、ダントツ1番で好き。そもそも、ドニーがこんなに繊細な演技ができる人だったんだと、ひとまず驚き。流石、現代のカンフーマスター。身体の動かし方のキレが、この映画に限らず、他のどの役者とも比較しようのないほどヤバい。こんなにも気持ちのいいアクションを見せてくれたら、今後アクション映画に出演する俳優たちが可哀想じゃないか。どうしてくれるんだ。もっとやってくれよ。
このケインという人物が、どれほど本作に大きな影響をもたらし、多大なる貢献をしたかは言うまでもない。ビル・スカルスガルドの侯爵も冷酷非道で、シリーズにガッチリハマっている好キャラだったんだけど、完全にケインが食っていた。なんなら、ジョナサンと主人公争いしそうな程。ネタバレなしなのであまり深いところまで言えないけど、普通に涙出たよね。ラストも含めて、このシリーズが好きでよかった、なんなら映画が好きでよかったとまで思えたし、エンドロール後なんて、もうなんと言ったらいいのか...。とにかく、ケイン主人公の映画をジョン・ウィックユニバースとして作って欲しくなったし、間違いなく今年見た映画で1番に好きなキャラクターでした。
何も考えずに楽しめるアクション映画として知名度を高め、人気を博してきたこのシリーズが、最後の最後に行きつく先がこれというのが、もう震えが止まらない。169分という長尺を全く感じさせず、しかしながら見応えは10000%。作中に散りばめられた多くのギミックが我々観客の五感全てを刺激し、この世のカッコイイを網羅しながら、アクションにおいてもドラマにおいてもこれ以上は考えられない、完璧で最高の名作。1シーン1シーン、感謝を述べ、感想を書きたい。そのくらい、想像を遥か遠く超える大大大傑作でした。
...ありがとう