「2時間49分に活劇のアイディアが詰まった奇跡」ジョン・ウィック コンセクエンス 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
2時間49分に活劇のアイディアが詰まった奇跡
上映時間が2時間49分。その間、殺し屋ジョン・ウィックを演じるキアヌ・リーブスはたったの380ワードしか話さず、ひたすら黙々とアクションに徹し続ける。そんなことが可能なのかと案じていたら、何と可能だった。なぜなら、監督のチャド・スタエルスキは『続・荒野の用心棒』('66年)『ブリット』('68)『ダーティハリー』('71年)そして『座頭市』('62年~)等、映画史を彩るアクション映画からもらったアイディアを活劇シーンに注入し、その上に元スタントマンとしての経験値を上乗せして、終始観客を飽きさせない。その際たるものはジョンが拳銃を敵に対して至近距離で構え、弾を撃ち込みながら、四方から走ってくる車と格闘する場面。距離感の斬新さ、理詰めで考えた動きの的確さは、いかにもスタエルスキならではの知恵だが、それをスタントなしで決める(スタンドインはいるがほぼスタントなしという触れ込みだ)キアヌの活劇俳優としてのスキルには改めて恐れ入る。
『アラビアのロレンス』('62年)にインスパイアされたという冒頭のシーンはヨルダンで撮影され、その後、ロケ地はフランス、ニューヨーク、ドイツ、日本と転々として、今更言うまでもなくロケーション・ムービーとしての楽しさも充分。何よりも、やりたい仕事は徹底してやり続けるキアヌ・リーブスの俳優としての有り様が、映画を面白くしている。
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