劇場公開日 2023年10月13日

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「この映画と『サブスタンス』を見たら、「自分の身体は大事にしよう…」ときっと思うようになる一作」シック・オブ・マイセルフ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 この映画と『サブスタンス』を見たら、「自分の身体は大事にしよう…」ときっと思うようになる一作

2025年10月4日
PCから投稿

身体の変容を扱った、いわゆるボディ・ホラー的な要素と、病的な自己顕示欲(と自己嫌悪)という精神状態を絡めた本作。

インフルエンサーが自分に注目を集めたいばかりに、自らの身体を痛めつけていく、という物語は、いかにも現実のSNSでありそう…というか実際に起きている諸々の事件によって、妙な既視感があります。

原題に含まれる「シック」という語から、主人公シグネ(クリスティン・クヤトゥ・ソープ)が何らかの病を抱えているのかと思いきや、「シック・オブ(sick of)」とは何かにうんざりしている、という意味とのこと。その意味に従うなら、自分自身にうんざりしているシグネの物語、と見るべきのようです。

そのように考えると、根底に自己嫌悪があるからこそ、これだけ自分の身体を痛めつけ、そしてその姿を外部にさらすことに躊躇がないのだ、ということが分かってきます。自分を愛さない人間の末路、という点でも、近年のボディ・ホラーの傑作、という意味でも、本作と『サブスタンス』(2024)には共通した主題を見出すことができます。

ただどちらの作品も、かなり肉体的な痛みを疑似体験する物語でもあるので、万人にお勧めできる作品ではない、という点は注意です。

どちらの作品を観ても、「もっと自分の身体を大事にしよう…」と思うのは間違いないので、その点では一種の「道徳映画」なのかも。

yui
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