劇場公開日 2023年5月26日

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「うまく話しを整理していました」岸辺露伴 ルーヴルへ行く はて1984さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0うまく話しを整理していました

2023年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ドラマシリーズは好きですが、これをテレビドラマでやるのは、エンタメなのに海外ロケが必要になって(皆様の視聴料で成り立っているNHK的には)色々問題なので、映画にしたんでしょうか?

原作は、荒木先生の私小説的な雰囲気があります。前半は全く怪異は出てきません。21歳人妻とのひと夏のアバンチュールで、もしかしたらファム・ファタールになったかも知れませんが、彼女は青年の中に特別な位置を占めることを恐れ、自分から去っていく。そんな話です。最後に露伴が彼女が幽霊で守ってくれたと締めているんですが、ここは信頼がおけない語り手です。(携帯で旦那と別れ話をする幽霊なんています?)
つまり、荒木先生が人生で出会った様々な引っかかる出来事を、自分は作品に昇華しているんだ。とそういう話と読み取りました。

まあ、以上は原作の話ですが、映画の方は様々な要素をうまく組み合わせて、矛盾なく話を整理していました。ただ、仁左衛門の話などは、ちょっと説明過多だったかも知れません。原作のもつ神秘性が薄れてしまいました。ここらへんは好みの問題かと思いますが、私はやはり原作派だな、と思いました。

はて1984