劇場公開日 2023年3月3日

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「本がますます愛おしく感じて・・・」丘の上の本屋さん しのぶさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本がますます愛おしく感じて・・・

2023年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

イタリアのそれはそれは綺麗な風景の小高い丘の上にある古書店。老店主リベロと本好きな移民の少年エシエンのほのぼのとした心の交流のお話。本を読みたいけれど購入するお金が無くて諦めてしまうエシエンにさり気なく本を手渡してあげる優しいリベロ。古書店の隣のカフェで働く二コラや店に訪れる色んなお客とのユーモアあふれる会話が愉しい。ザ・イタリアの陽気さが羨ましい。リベロから手渡された本「ピノッキオの冒険」から「星の王子さま」「白鯨」「ドン・キホーテ」etcを読んでいくエシエンは、一冊読むごとに様々な気付きを手に入れていく。リベロは目に見えない力をエシエンに手渡してくれる素晴らしい大人。私もそんな意味ある人になりたいと思わされた。体調の思わしくないリベロが最後に手渡した一冊それが「世界人権宣言」だった。移民と言う境遇にあるエシエンにとって、これから生きていく人生の中で幾度もぶつかるで有ろう壁を乗り越えるための重要な一冊を手渡すリベロがとても素敵に見えた。石畳の歩道、レンガを積み上げた壁、明るい日差しと爽やかな風~そして何気なく隣人を気遣う優しさ・・ここで暮らして行けたら幸せだろうなぁと思わせてくれるスクリーンに引き込まれていった心に優しく語り掛ける作品。

しのぶ