「なんか途中から涙が出てきた。あざといと言えばあざとい話なんだけど、これが映画のマジックかな?」マジック・マイク ラストダンス もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
なんか途中から涙が出てきた。あざといと言えばあざとい話なんだけど、これが映画のマジックかな?
①演出がしっかりしているな、と思ったら監督がスティーブン・ソンターバーグなんだ。道理で。
②年齢的に激しいダンスをするのが難しくなったから、というのもあるのだろうけれど、チャニング・テイタムを振付や演出にまわっし、ストリップダンスの方は代わりに複数の男性ダンサー達に踊らせた、というのが成功したと思う。
それほど、各ダンサー達の技術が驚くほど高く、ソロでも群舞でもその見事さに圧倒され、見ているだけで嘆息する、いくら扇情的な振付であったとしても。
最近の日本や韓国のアイドルグループ達は歌いながら踊るのが多いが比較にならない(別に彼らを引き合いに出すこともないんだけど)。
③また、端的に言うとこの映画は、男性ダンサー達のセクシーなストリップダンスとそれを楽しむ女性たち(だけではないだろうけど)という男女逆転の構図を越えて、男性ダンサー達の素晴らしいダンスからなるショーを主旋律とすると、男性─女性の新しい関係の形の模索、特に女性を従来の男社会の枠から解放することを模索していることを副旋律にしているたのだと感じさせられた。
元の劇の主役であった女優の言うように“このカマトト女みたいに、(女は)どうして二者択一しなければならないの?”という叫び、ストリップダンスのひとつの演目の題名を“permission(許可、許してあげること)”=紛らわしい「同意」や「合意」ではなく=としていることに特にそれを感じる。
④週刊誌的に言えば、“金は有り余っているんだけど人生に絶望している中年女が、たまたま開いたパーティーにいたバーテンダーが男性ストリッパーのレジェンドだと知って、一夜限りの楽しみのつもりで買ってみたら、そのテクニックにたちまち魅せられてしまいパトロンとなり云々・・・果たして中年女のミッドエイジ・クライシスか、年下の男にうまいように利用されているのか”というような記事になりそうな話にみせかけながら・・・
“経済的に余裕がありクリエイティブなセンスのある女性が、見出だした男性に夢を託してサポートしても全然おかしくないじゃない、勝負に出てもいいじゃない”という主張にも思える。
幕切れのあまりのアッサリさに恋愛はこの映画の主旋律ではなかったのか、と思わされたし。