鋳鉄

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鋳鉄

解説

「月曜日に乾杯!」「皆さま、ごきげんよう」などで日本でも知られ、フランスを拠点に活動する名匠オタール・イオセリアーニが、祖国ジョージア時代の1964年に手がけた短編作品。

ジョージア南部のルスタビ冶金工場で働く工員たちの日常を捉え、溶鉱炉での過酷な作業や休憩時間に喫煙しながら談笑する姿などを映し出す。

イオセリアーニ監督は本作を制作するため、身分を隠して4カ月間、同工場で精錬工として働いた。日本では2023年2月開催の特集上映「オタール・イオセリアーニ映画祭 ジョージア、そしてパリ」にて劇場初公開。

1964年製作/17分/ソ連
原題または英題:Tudzhi
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2023年3月1日

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映画レビュー

3.0月曜に乾杯の

2023年6月23日
iPhoneアプリから投稿

月曜に乾杯の失踪する父親を思い出した。

この映画のために身分を隠して、鋳鉄場で働いたイオセリアーニ(すごい映画魂)の労働者や街の人々を描く目線の低さが、彼の映画の魅力なのか改めてと思った。

そして、裕福な人々にも変わらぬ目線で描くのも魅力的。このフラットさが独特な心地よさを生んでいるような気がする。

イオセリアーニ映画祭/シネマクレールで鑑賞

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madu

3.0巨匠イオセリアーニによる、製鉄所での鋳鉄のようすを描く短編ドキュメンタリー

2023年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

イオセリアーニ映画祭にて視聴。
『エウスカディ、1982年夏』他、短編1編と同時上映。

ルスタヴィ冶金工場で働く工員たちの姿を描いた短いドキュメンタリー・フィルムで、まだイオセリアーニがグルジア時代の作品。
1964年ということは、監督は30歳。
ちょうど『四月』の2年後、『落葉』の2年前といった時期にあたる。
監督はこの作品を撮るために、なんと身分を隠して4カ月もこの工場で精錬工として働いていたらしい(!!) 同じ日に彼の半自伝的映画『汽車はふたたび故郷へ』を観たけど、若い頃のイオセリアーニって結構脱法的というか、かなりめちゃくちゃやってるんだよね……(笑)。

内容的には、ロジカルなカメラワークとモンタージュが縦横に駆使されており、まずは「短編映画」としてきちんと成立している。イオセリアーニが、若い頃から「技術的」にすぐれた映像作家であったことが確認できるはずだ。

コンテの組み立ては、どこか「音楽的」だ。
まず第一楽章にメインテーマとなる「鋳鉄」がガツッと呈示され、中間楽章で冷えて固まった鉄鉱石をこそげとる単純労働と工員たちの束の間の休息が描写され、終楽章にふたたび派手で豪快な溶鉱炉の作業がドカーンと出てくる。そして、工員たちが帰途につくエピローグ。
もとは作曲家だったイオセリアーニらしい、絶妙の感覚だ。
(そういえば、僕はブルックナーの8番や9番のスケルツォ楽章を聴くたびに、なぜか夜の鉄工所で巨大な機械が製鉄している様子を思い浮かべてしまう。)

フィルモグラフィ上は、ジョージアの風土・文化と名もなき民を称揚し、フィルムに焼き付けるという傾向の強かった初期イオセリアーニにとっては、「家族」を描いた『水彩画』、「自然」を描いた『珍しい花の歌』、「古い街」を描いた『四月』に続いて、名もなき工場労働者の姿を刻印した作品ということで、きわめて重要な位置を占める。
このあと、「民族音楽」を記録した『ジョージアの古い歌』、「ワインづくりの職人」の姿を描く『落葉』、「農村の生活」の様子を描く『田園詩』と続けていったうえで、彼はフィルモグラフィとしての「ジョージア探求」に、いったんの区切りをつける。
そして第一次パリ滞在を経て、総括的なドキュメンタリーとしての『唯一、ゲオルギア』と、イオセリアーニ的群像劇の形式でジョージア(グルジア)の暴力史をまとめあげた『群盗、第七章』を結実させることになるわけだ。

『鋳鉄』には、どこかホモソーシャルでインティメットな男どうしの醸し出す空気感や、黙々と完遂される「労働」における身体言語の美しさなど、イオセリアーニの作品を貫く核心のようなものが、ちゃんと備わっている。
これ単品で観てもしょうじき仕方ない気はするが、イオセリアーニの業績を考えるうえでは無視できない作品だと思う。

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じゃい