旧世代にとってロブ・ロウといえばやらかした人だった。その昔人気絶頂期に未成年に手をだし醜聞にまみれて失脚した。洋ピンにロブ・ブロウというパロディがあったのを覚えている。
ただしロブ・ロウは年不詳のグルーピーと羽目を外したのであってペドじゃなかった。とはいえ日本でもニュースになるほど騒がれた。
当時日本はブルセラ全盛期でキャバクラでふつうに高校生が働いていた時代だったからそれを考えるとアメリカは厳格だった。
『通常、アメリカ国内では未成年女性とのスキャンダルにはとくに厳しく、俳優活動も当時としては絶望視されたが、辛くも復帰。』(by Wikipedia)
甘いマスクで出演映画も順調だった矢先のスキャンダルだったのでロブ・ロウには軽い男のイメージが固着してしまった。
しかしかれは腐らずにハリウッドにしがみつき、ときには変な役でも自虐的にこなして、少しずつメインストリームに復帰してきた。
実生活では1991年に結婚したメイキャップアーティストのSheryl Lynn Berkoffと今日(2023)に至るまでおしどり夫婦を維持していて息子がふたりいるそうだ。
スキャンダラスなイメージに反しじっさいは真面目な男だった。
スピンオフドラマの9-1-1LONE STARは好きなシリーズだが映画のなかで見たのは久しぶりだった。
行方不明の犬をさがす話。
ゴンカー(犬)は時間制限のある病におかされていることでサスペンス要素も提供される。
ネットでも人間よりも犬猫のほうが同情があつまる。人間はどんな人間か解らないが、犬猫のばあいフォルムや基調気質がおなじだから。性格は飼い主によって形成されるものだ。
この映画の原作も実話にもとづいて書かれているそうで、父子の犬探しは人々のシンパシーを呼び込み、みるみる全国ネットになっていく。一方で家族の絆も深まる。
監督のスティーヴンヘレクもロブ・ロウ世代で、来歴を見たら質の高い商業映画がいっぱいあった。101、The Mighty Ducks、クリッター、ビルとテッドの大冒険、三銃士・・・。タイトルにおぼろげな記憶がある。
ブラットパックという80年代の若手俳優の呼称があった。ブレックファストクラブやセントエルモスファイアーに出ていた青春映画のスターのことだ。ロブロウもその一人だったが、なんかちょっとチャンネルのちがう人だった。
この“ちがい”の準拠となるのはジョンヒューズが使うか使わないかで、ロブロウとかチャーリーシーンとかマットディロンとかトムクルーズとかそういう抵抗値の少ないワーキャー型イケメンをジョンヒューズは使わなかった。アンドリューマッカーシーさえ使ったのはハワードドゥイッチだった。
だからヒューズ寄りなじぶんもロブ・ロウの若年期をほとんど覚えていない。でも本作のロブ・ロウを見て、年の功を感じた。かれが辿ってきた道のりを感じた。ひげ面に味わいがあった。若年期のかれはするりと忘れてしまうようなイケメンだったがはじめていい役者だなと思った。
もちろんじぶんが年をとっただけなのかもしれないが。
映画は犬好きなら刺さるだろう。でなくても記憶をつなぐいい映画だった。