「世界が終わり、またクルミライへの希望など、全く響かず」劇場版 君と世界が終わる日に FINAL 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
世界が終わり、またクルミライへの希望など、全く響かず
TVドラマの劇場版には2タイプある。
TVからの続きだが、あくまで劇場版ならではの話。昨今だと『ミステリと言う勿れ』がそうで、TVドラマを見てなくてもすんなり見れる。
一方…、TVからの完全な地続き。話も相関図もTVドラマを見てないと分からず、映画で“FINAL”。
そのほとんどがわざわざ映画でやるレベル?…なものが多く、昨今だと例えば『ネメシス』とか。
さて、本作は残念ながら後者。
TVと配信で5seasonとSP版。足掛け3年。
華々しいFINALを劇場大スクリーンで飾りたかったようだが…、
ずっと見てきたファンやキャストファンには興奮・感動のFINALだろうが…、
見てない者が言うなと言うのは分かっている。でも、それらを考慮した上でも…
TVドラマを見てなくてももっと見れると思ってた。作り手側もそう自負していた事だろう。
完全に当てが外れた。
一応、日本のTVドラマでは珍しい“ゾンビ物”というのは知っていた。詳細は知らんけど。
謎の感染症“ゴーレムウィルス”によって人々が化け物=“ゴーレム化”。噛まれた者も次々に。
そんな脅威によって日常と恋人・来美を失った響。
荒廃した世界で繰り広げられるサバイバル・ホラー・アクション×ラブストーリー。
このFINAL劇場版は…
抗体を持っていた来美。来美と響の間に生まれ、同じく抗体を持っているとされる幼い娘のミライ。
一部の限られた者しか入れない都市“ユートピア”。そこにそびえ立つ2つのタワー。
ミライは捕らわれ、ワクチン開発に利用されていた。ワクチン開発の為に、多くの人々も非人道的な実験に…。
響はミライを助ける為、道中出会った若者たちも各々の目的の為に、タワーへの潜入に挑む…。
グロい特殊メイクはなかなか。
が、ゾンビの脅威や大企業の陰謀など、“アレ”そっくり。
だけど、スリルも世界観もスケールも作り込みも何もかも及ばず。
邦画にも『アイアムアヒーロー』という本格的なゾンビ映画あったが、あれはまぐれだった…?
アクションもだけど、設定や台詞や演出もチープ。吉田鋼太郎の役柄なんてもうステレオタイプ。
感動やラブを押し売りにする所が如何にもなあざとい邦画典型。
竹内涼真演じる響と並行して、高橋文哉と堀田真由演じるカップルも主軸。劇場版の新キャラだとか。
響と高橋演じる大和のまだ平和な頃の出会いのシーンの描き方が下手くそ過ぎ。車のエンスト修理を巡ってあんなにぶっきらぼうに喧嘩する…? この開幕シーンだけで萎えた。
ラスト、響が娘に向けたメッセージ。響の最期。竹内涼真は自身の代表作にすべくの熱演だが…。
人類の存亡か、たった一人の娘か。研究側の言い分も分からんではないが…、やり方が間違っている。
かと言って響の行動も独善的。結果的にミライに抗体は無かった訳だが、もしあったら…。その辺の葛藤も含ませて欲しかった。お互いエゴ丸出し。
時折挿入される謎の一行と老人。何となく想像付いた。
ED後の映像にも興醒め。FINALじゃないの…?
私ゃ何も響かなかった。